非嫡出子と父との間の親子関係は、父が認知して初めて発生します。

認知には、①父が自分の自由な意思で認知する任意認知と、②父が任意認知をしないときに、裁判所の力を借りて強制的に認知させる強制認知の2つがあります。

なお、法律上は母も認知ができると書いてありますが(民法779条)、母と子の関係は分娩の事実によって当然発生すると考えられています(最高裁昭和37年4月27日判決)。そのため、認知はもっぱら父親についてのみ問題になります。

任意認知

役場にある認知届を提出して行います。父子の戸籍謄本、父の身分証、印鑑などが必要です。また、遺言で認知することもできます。遺言者が死亡した時に認知の効力が発生しますが、遺言執行者が10日以内に届出をしなければなりません。

成人の子を認知するときは、その子の承諾が必要とされています。「未成年のうちは子どもを養育せず放っておいて、成人してから認知してその子に扶養してもらおう」という利己的な行動を封じるためです。

胎児を認知するときは、母の承諾が必要です。

強制認知

認知調停

いきなり認知の訴えを提起することはできず、まずは認知調停を申し立てる必要があります(離婚の場合と同様です)。

仮に母が父から金銭等を受け取った代わりに「認知を求めない」と約束していた場合であっても、子は認知を求めることができます。

認知の訴え

「子、その直系卑属又はこれらの法定代理人は、父に対して認知の訴えを提起することができる」とされています(民法787条)。父が生存している間なら、いつでも提起できます。父が死亡している場合、その死後3年以内なら、検察官を相手に認知の訴えを提起できます。

非嫡出子が、認知ではなく父との「親子関係存在確認の訴え」を提起することは、認められません(最高裁平成2年7月19日判決)。

どのように証明するの?

被告が父であることを原告側で証明しなければなりません。この点について、昔の最高裁判決は、①子を妊娠可能な時期に、被告と母が継続的に肉体関係を持っていたこと、②被告以外の男性と母が肉体関係を持っていた事情が認められないこと、③原告と被告との間に、血液型の背馳(食い違い)がないこと、の3事情から、被告との父子関係を証明できたといってよいとしています(最高裁昭和32年6月21日判決)。

現在ではDNA鑑定がありますので、より直接に父子関係を証明できることになります。

被告がDNA鑑定を拒んだらどうなるの?

被告が採血を拒んだ事例で、「科学的裏付けなしに親子関係が存在すると推認することが不相当であるということはできない」と述べ、認知請求を認めたケースがあります(東京高裁昭和57年6月30日判決)。