「住宅ローンの名義は夫だが、頭金1000万円は全て私の結婚前の貯金から出した」というように、住宅ローンの頭金を夫婦のどちらかが多めに出しているということがしばしば見受けられます。そのような場合、住宅ローンの頭金はどのように考慮されて、財産分与はどのように計算されることになるのでしょうか?

なお、以下で述べる内容は、住宅の価値から住宅ローンの残額を引くとプラスになる(=アンダーローン)の場合を前提としています。

計算方法が法律で決まっているわけではありません。

家庭裁判所は、一切の事情を考慮して、財産分与の額やその方法を定めることとされています(民法768条)。それ以上の細かい規定は法律にはありません。

どのような計算方法があるの?

購入時5000万、現在時価4500万、頭金1000万(妻の特有財産から)、ローン残4000万というケースを考えてみます。i現在の主流は②の考え方に近いようです。

考え方の例①:頭金分を返済分の寄与に上乗せする

この夫婦は、双方の努力で1000万円のローンを返してきました。その結果として現在、この不動産は実質的に500万円の価値を有しています(なお、努力の割合=寄与度は平等と仮定します)。そこで、500万円を、「夫500万円(ローン返済への寄与):妻500万円(ローン返済への寄与)+1000万円(頭金分の寄与)」の割合で、精算することになります。この考え方によれば、妻の取得額は375万円です。

考え方の例②:頭金の割合を除いた部分を財産分与対象と考える

頭金は妻が出していますので、この夫婦が形成した実質的共有財産といえるのは、頭金を除いた部分です。(取得額)-(取得額に占める頭金の割合分)=(財産分与の対象)ということです。取得額に占める頭金の割合は1000/5000(=1/5)ですので、財産分与対象となるのは500万円×4/5=400万円です。これを50:50(=夫婦の寄与度平等)の割合で、清算することになりますが、財産分与対象とならない100万円(=500-400)は妻の頭金に対応するものですから、妻に帰属すべきものです。この考え方によれば、妻の取得額は、200+100=300万円です。

まとめ

住宅ローンの頭金をどのように考えるのかについて、法律上の取り決めは特にありません。その意味では自分に有利になるように計算すればよいともいえます。とはいえ、自分勝手な計算をしても相手方は納得せず話し合いがまとまるわけがありませんし、調停でもまとまらず審判になると裁判官が判断することになってしまいます。逆に、自分から特に何も主張しなくても勝手に裁判所が適切に計算してくれる、というわけでもありません。

財産分与の話し合いでは、住宅ローンの頭金の処理以外にも多くの問題が発生してくることが多いです。話し合いがまとまらず離婚手続きが進まないということでお悩みであれば、経験豊富な弁護士に相談してみることをお勧めします。