家庭内別居状態のあなたが離婚を考えたとき、①家庭内別居のままで手続きを進める方法と、②完全別居に踏み切ってから進める方法との2つがあります。

相手方が離婚に応じてくれるならどちらでも特に問題はありませんが、もし離婚を拒否してきそうな場合には、家庭内別居のまま進めるのは不利な点が多くなります。その場合には、適当なタイミングで別居に踏み切るのが望ましいです。

家庭内別居で離婚を進める利点

完全別居よりは話をしやすい

完全別居の場合、電話が通じなかったりLINEが返ってこなかったりするとそれだけで離婚協議が止まってしまうことがあります。しかし家庭内別居の場合には、相手方と形の上では同居していますので、離婚の話をしやすいという点はあります。もっとも実際には、離婚の話をしようとしても相手方が自分の部屋に閉じこもってしまって話ができない、というような場合も多いようです。

証拠を集めやすい

家庭内別居とはいえ物理的に同居しているわけですから、相手方の不貞の証拠や、財産分与に関連してどこにどのような資産を持っているかという証拠を集めやすいことになります。相手方が自分の部屋に普段から施錠している場合もあるでしょうが、相手方に届く郵便物をチェックしたり脱いだ衣類に入っているものを見たりするなど、完全別居の場合と比べれば証拠を集めることのできる機会は多いはずです。

住居費が余分にかからない

別居する場合、実家に戻るのでもない限りは、別居先住居の家賃負担などが新たに生じてしまいます。家庭内別居のままであればそのような余分なコストはかかりませんので、その点では有利です。

家庭内別居で離婚を進めた場合の不利な点

「長期の別居で婚姻破綻」と言いにくくなる

完全別居の場合、別居期間を積み重ねるとそれ自体が離婚原因となり裁判離婚を認めてもらえる可能性も出てきます。しかし、家庭内別居期間をいくら積み重ねても、それ自体を離婚原因として認めてもらうのは難しいです。というのは、いくら家庭内別居で会話も全く無いとはいえ、同じ屋根の下で暮らしているわけですから、傍から見ていて婚姻生活が破綻しているということが明確にならないからです。もし相手方が話し合いでの離婚を拒否する可能性があるのであれば、完全に別居する方向で進める方が望ましいでしょう。

証拠を集められやすい

あなたが証拠を集めやすいということは、逆に相手方も証拠を集めやすいということです。そのため、あなたの資産情報などを極力知られないように注意をしておく必要があります。必要な資料等を全て持ち出して完全に別居している場合なら比較的容易ですが、家庭内別居とはいえ物理的に同居している場合には難しいこともあります。

手続きの方針を知られる可能性

上記にも関連しますが、例えばあなたが日記やカレンダーに「これから調停を申し立てる予定」「弁護士に相談する予定」などと記載していると、あなたが今後どのように離婚手続きを進めていくつもりなのかがバレてしまう可能性があります。その程度ならまだしも、調停などで提出する書面や証拠を自分の部屋に保存していたら、不在中に覗き見されたり写真を撮られたりしてしまい、先回りして対抗策を練られてしまうといったこともあります。

まとめ

相手方が話し合いで離婚に応じてくれそうなのであれば、家庭内別居状態で離婚協議を進めても良いでしょう。しかし、家庭内別居状態で離婚手続きを進める場合に念頭に置いておかなければいけないことは、「相手方に不貞などの離婚原因が特になく、しかも相手方が離婚を徹頭徹尾拒否してきた場合に、離婚する方法がなくなってしまう」という可能性があることです。もちろん、その状況になってから完全別居に踏み切って裁判離婚を狙うという選択肢はありますが、結果的に離婚できるのが後ろ倒しになってしまいます。相手方が家庭内別居状態にある意味安住している状態だと、話し合いで離婚に応じずにズルズルと時間だけが過ぎてしまう可能性も高いです。そのため、どうしても離婚したいという気持ちを最優先するのであれば、完全別居のうえで離婚手続きを進めていくことも検討すべきです。

なお、完全別居のメリット・デメリットについてはリンク先もご参照ください。