はじめに

姻族関係の終了には、①離婚、②生存配偶者による姻族関係を終了させる意思表示、の二パターンがあります。一時期「死後離婚」という言葉が流行した(?)ことがありましたが、これは②のことを指しています。

離婚による姻族関係終了

姻族関係は婚姻によって発生します。したがって、離婚によって相手方配偶者との関係が解消される場合には、姻族関係も当然に終了します(民法728条1項)。「夫とは不仲なので離婚する。しかし夫の両親とは仲がいいので、離婚後も姻族関係を続けたい」というのは、現在の法制度上では不可能です。

生存配偶者による姻族関係終了の意思表示(「死後離婚」)

「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」にも、姻族関係は終了します(民法728条2項)。具体的には、役所に「姻族関係終了届」を提出する形になります(戸籍法96条)。言い換えれば、夫婦の一方(ex.夫)が死亡したからといって、生存配偶者(ex.妻)と死亡配偶者血族(ex.夫の父)との間の姻族関係は、当然に終了するわけではありません。ちなみに、死亡配偶者(ex.夫)と生存配偶者血族(ex.妻の母)との間の姻族関係は、(死亡によって)当然に消滅します。姻族関係終了の意思表示は、たとえば「夫が死亡したのにもかかわらず夫の父の面倒を見るのは嫌」といった理由でなされることがあり、「死後離婚」と呼ばれることがあります。

直系姻族間の婚姻の禁止

離婚あるいは姻族関係終了の意思表示によって姻族ではなくなった後も、直系姻族間の婚姻禁止が及びます(民法735条)。たとえば「夫と離婚後に、夫の父と婚姻する」「妻が死亡し夫が姻族関係終了届を提出した。その後、夫が亡妻の母と婚姻する」ということはできません。