附帯処分って何?

裁判所は、申立てにより、婚姻の取消し又は離婚の訴えを認容する判決において、①子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分(ex.養育費の分担)、②財産の分与に関する処分、③標準報酬等の按分割合に関する処分(=年金分割)についての裁判をしなければならない、と法律で定められています(人事訴訟法32条)。これらが附帯処分です。

たとえば、離婚の訴えを認容する(=離婚を認めるという判決)が出てから財産分与を求める審判を申し立てないといけないとすると離婚を求める側にとっては面倒ですし、離婚訴訟で出てきた資料が財産分与についての裁判官の判断にも役立つことも期待できますので、離婚訴訟でこれらの問題についても一回的に解決するために認められています。

附帯処分を求める手続き

当事者の書面による申立てが必要であり、申立てがないのに裁判所が職権ですることはできません。なお、この書面には申立の趣旨及び理由を記載し、証拠となるべき文書で重要なものを添付しなければならず、さらに相手方に送達しなければならないとされています。なお、附帯処分の申立ては、口頭弁論終結時までは可能とされています。

附帯処分についての審理

裁判所は、「当事者が主張・証明すべきことは当事者の責任で行うべきで、裁判所が職権で証拠調べをするのは例外的なもの」という位置づけをしています。すなわち、当事者が積極的に主張立証することが期待されています。

裁判所は、附帯処分についての裁判をするにあたり、事実の調査をすることができます。その典型は、親権者あるいは監護者をどちらに指定するかについての家庭裁判所調査官による調査です(具体的には、当事者や学校の調査、家庭訪問など)。調査の結果は、家庭裁判所調査官から書面で裁判所に報告されることになります。そして、その調査結果を裁判所が最終的な判断の材料にすることになります。ちなみに、家庭裁判所調査官による事実の調査は、家庭裁判所の職権で命じられるものであって、当事者に申立権はないとされています。また、事実の調査にあたって、当事者の立会権は認められていません。

附帯処分についての不服申立て

「離婚を認める判断には不服はないが附帯処分については不服がある」という場合(ex.「親権者が夫と判断されたのは納得いかない」)に、その部分のみに対する控訴・上告も可能とされています(最高裁昭和61年1月21日判決)。