はじめに

養育費とは、子を育てるためにかかる費用(民法766条「子の監護に要する費用」)のことです。

養育費は「未成熟子が成熟するまで」認められます。

未成熟子って何?

経済的独立が期待できない子どものことです。

「経済的に独立をして自分の生活費を稼いでくる」ことを期待できない子どものことです。

成人(18歳)になった子どもであっても、その子どもに持病や障害がある場合や、大学在学中であるといった場合には、未成熟子であり養育費が発生するとされる可能性があります。

もっとも、当然ながら無期限に認められるわけではなく、例えば大学在学中であれば卒業すべき日までとされることが一般的かと思われますし、大学卒業後無職無収入だが心身は健康だという場合、未成熟子とは言いがたいのではないかとも思われます。

未成熟子と認めた裁判例について

・東京高裁決定S46.3.15

生来病弱で再三にわたって入院加療を続け,現在もなお自宅でもつぱら母親たる相手方の世話になり療養生活を送つており,とうてい相手方と離れ独立して生活を営むに足る能力」がないとされたケース(自閉症,肝炎のため)。

・福岡家裁小倉支部審判S47.3.31

21歳だが貧血で通常の就職稼働ができないとされたケース

・大阪高裁決定H2.8.7

父(医師)と母(薬剤師)がそれぞれ大学の医学部や薬学部を卒業して社会生活を営んでおり,現に子どもも薬科大学に進学していることなどを理由に,未成熟子と認められたケース

どういった事情が考慮されるの?

諸般の事情が考慮されますが,例えば次のような事情があげられます。

・両親の事情

職業
学歴
経済的水準
子どもの教育についての意向

・子どもの事情

健康状態
働く能力
進学状況

成年年齢引下げとの関係

民法改正により、R4.4.1からは18歳で成年とされています。

もっとも、その後「養育費は18歳まで」とされているわけではありません。

民法改正前に「成年に達する日まで」と取り決めていた場合、「満20歳に達する日まで」で変わりはない、とされています(参照:法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」)

まとめ

養育費は未成熟の子が成熟するまで発生するものです。

民法改正により成人年齢が18歳とされました。とはいえ、養育費が18歳までとされているわけではなく、たとえば大学卒業まで認められることも多いです。

逆に、無職無収入だからといってずっと養育費が発生するということでもありません。