浮気の証拠の取り方
目次(各箇所へのリンク)
はじめに
不貞行為(以下では性行為、肉体関係とも表記します。)は密室で行われることが通常です。
「不貞行為があった」といえる証拠を集めるのは、容易ではありません。
証拠を取る方法としては、探偵をつけるなど費用を掛けるやり方もあれば、費用を掛けずに行なえるやり方もあります。
どのようなものが証拠になるのかが理解できれば、それを集めるための手段として何を使えばよいのかということも分かります。
(備考)説明の分かりやすさを優先しておりますので、法的議論の正確さを犠牲にしている部分があることはご了承ください。
証拠で証明すべきこと(前提知識)
不貞行為があったこと
不貞行為の存在を証明する必要があります。
配偶者とその浮気相手が肉体関係にあった事実を証明できないと、不倫慰謝料を認めてもらうのは難しくなります。
不貞行為まではいえなくても・・
不貞行為を証明できなくても、常識外れに親密な交際をしていた事実が証明できるのであれば、不倫慰謝料が認められる可能性はあります。
どういったものが証拠になるの?
主にどういったものが証拠になりうるのかを押さえておきましょう。
実際のご相談で特に多いのは写真、メールやLINE、配偶者の自白です。
これらの取得方法やその注意点等は、まとめて後述します。
動画、写真
性行為中の動画、写真
性行為中の動画や写真が、DVDなどの記録メディアに保存されていたり、配偶者の携帯電話端末やクラウド(Googleドライブ、OneDriveなど)に保存されていたりすることがあります。
肉体関係がなければ撮れない内容のもの
写っている内容が性行為そのものではなくても、裸でポーズを取っているところ、裸で抱き合っているところ、ラブホテルのベッドでの寝顔といったような場合もありえます。
このようなものは、基本的には肉体関係がなければ撮れない可能性が高い、言い換えれば肉体関係を推測させるものだと考えられます。
ホテルや住居に入るところの写真
「夜ラブホテルに二人で入るところの写真」と「翌朝二人で出てきたところの写真」というのが典型です。
少なくとも数時間程度はその同じ場所で過ごしていたようだ、と判断される内容でないといけません。
旅行などの動画、写真
当然ながら、それだけでは不貞行為があったという直接的な証拠にはなりません。
それでも他の証拠と合わせれば、たとえば二人が同宿していたというような形で、不貞行為の事実を伺わせる証拠になりえます。
メール、LINEなど
当の不貞相手との間で不貞行為をしたことを推測させる内容が含まれているのであれば、一つの証拠になります。
配偶者の自白
配偶者が不貞行為を自ら認めた場合、不貞相手に対する関係でも証拠になります。
「認めたのは配偶者だけだから、不貞相手に対しては何の意味も持たない」というわけではありません。
GPS
配偶者が特定の日時にラブホテルに居たという証拠にはなりえます。
ただし、その際の相手が具体的に誰だったのかという点については、別の証拠が必要となります。
夫の戸籍謄本
ケースとして多くはありませんが、夫が不貞相手を妊娠・出産させその子を認知していた、ということもあります。
その場合、夫の戸籍謄本に認知の事実が載りますので、不貞行為の証拠になります。
DNA鑑定
逆に妻が不貞相手の子を妊娠・出産した場合、妻の戸籍謄本を見たところで、不貞行為の証拠は載っていません。
この場合は、DNA鑑定で夫でない男性の子であることが分かれば、不貞行為の証拠になりえます。
もっとも、厳密に言えば、それだけでは妻が自由意思で夫以外の男性と性行為をしたかどうかは分かりません。
(ちなみに妻が男性から強姦された場合、離婚原因としての不貞行為には該当しません)
証拠を取る方法
どのようなものが証拠になるか、その主なものを見てきました。
以下では、主な証拠の取り方やその注意点について解説します。
配偶者の所有物を調べる
あなた自身で行えて費用も掛かりませんので、ある意味気軽に実行できる方法ではあります。
しかし当然ながら、なんでもかんでもやっていいというわけではありません。
そもそも配偶者の所有物を勝手に調べていいの?
同居している配偶者が部屋に無造作に置いていたDVDを再生して見るといったように、配偶者の所有権を害さず平穏な方法で調べるかぎり、実際上はあまり問題にはならないと思われます。
しかし、施錠された引出しをこじ開けて中身を見るというような行為は、明らかに配偶者の意思に反するものであって平穏な方法での調査とは言い難く、後々問題になる可能性があります。
配偶者の携帯電話やパソコンを操作して内容を見ていいの?
配偶者の携帯電話やパソコンを操作して、その中にあるメールやLINEの内容をチェックするとか、(あなたのパソコンを操作する場合であっても)配偶者のアカウントのクラウドの内容を見るということは、厳密に言えば不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。したがって、見ていいとは言えません。
もっとも、実際のご相談や裁判においては、配偶者の携帯電話の画面を自分の携帯電話で撮影した写真など、このような形で入手した内容の情報が証拠として提出されることは、非常によくあります。
不倫慰謝料問題を判断する裁判所が、そのような証拠を「証拠として認められない」と判断することは、あまりありません。不正アクセス禁止法に違反するかどうかと民事裁判で証拠として使えるかどうかというのは、全く別の問題だからです。
配偶者を問い詰める
所有物を調べるのに比べれば精神的負担があるかもしれませんが、それでも容易な手段といえますし費用も掛かりません。問い詰めた上で「正直に全部話してくれれば許すし、離婚もしない」と言えば、正直に全てを認めるかもしれません。
配偶者が認めるのであれば、不貞行為の日時、内容、頻度はもちろん、相手方がどこの誰なのかという点についても、書面の形にするか、少なくとも録音を取っておくべきです。
探偵をつける
配偶者が浮気の痕跡を何も残していない場合、証拠を押さえるためにはこの方法によるしかないことも多いでしょう。
もっとも、場合によっては多額の調査費用が掛かる可能性もありますし、証拠が確実に取れるとも限りません。配偶者の行動パターンを把握できるのかなど、費用対効果が見込めるのかといった点については、事前によく検討しておくべきです。
まとめ
浮気の証拠を取るのは、不貞行為があったこと、もしくは常識外れに親密な関係にあったことを証明できるようにするためです。性行為中の動画や写真はもとより、不貞相手へのメール、配偶者の自白といったものも証拠となりえます。
配偶者の携帯電話やパソコンのメールを調べるような手段は、厳密に言えば不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。しかし現実問題としては、そのような手段で集めた証拠が不倫慰謝料請求訴訟や離婚訴訟で提出されてくることは、しばしば見受けられます。
探偵をつけて調査することが効果的なこともありますが、事前に費用対効果をよく検討してからにすべきです。
当事務所では不倫慰謝料問題を多数手がけてきております。
不倫相手への請求をお考えであれば、まずは今後どう対応すべきかご相談いただくことをお勧めします。