請求の手続き
目次
はじめに
不倫慰謝料を請求する手続きは、交渉から始まります。
交渉せずいきなり訴訟を提起してはいけないという法律はありませんが、訴訟を提起するのは金銭的にも労力的にもコストがかかります。
そのため、ふつうは交渉を先行させます。
交渉
まず決めるべきこと
不倫慰謝料を請求する側は、少なくとも次のことを決めたうえで相手方に連絡を取り、交渉を開始します。
①そもそも誰を相手方として請求するのか
②いくらを請求するのか
③どのような形で連絡を取るのか
①請求の相手方
相手方になりうるのは、不貞相手だけ、配偶者だけ、二人とも、のいずれかです。
そもそも不貞相手がどこの誰なのか分かっているのか、慰謝料を支払う能力はありそうか、配偶者と今後離婚する方向なのか、などを慎重に考えて、誰に請求すべきかを決定します。
②請求額
請求金額に法律上の上限はありません。
その金額を請求したら相手方はどう反応してくるだろうかということを予測したうえで決定します。
できるだけ高額にすればよい、というような単純なものでもありません。
③連絡方法
配偶者はまだしも不貞相手を相手方とする場合、そもそも連絡先が分からなければ交渉のしようがありません。
内容証明を送る、電話を掛ける、LINEメッセージを送る、などいくつかの方法がありえます。
弁護士をつけるかどうかも考えるべきです。
不倫慰謝料を請求する側/される側どちらにとっても、弁護士に依頼するメリットがあります。
交渉のポイント
ただやみくもに、言いたいことを言えばよいわけではありません。
詳細は下記記事をご参照ください。
交渉の断念
交渉がまとまらないときもあります。
交渉を断念して訴訟を提起するのか、あるいは請求自体を諦めるかというのは、請求側が自由に決めることです。
証拠が全く何もないということであれば、仮に訴訟提起しても最終的に慰謝料は認められない可能性が極めて高いです。
しかし、微妙ではあってもそれなりの証拠があるのであれば、訴訟提起によってプレッシャーを掛けるという選択肢は十分ありえます。
特に請求された側が弁護士をつけていない場合には、それが効果的になるでしょう。
裁判
訴訟の提起
請求側(=原告)が訴訟を提起すると、被請求側(=被告)の住所に訴状が送達(配達)されます。
郵便物の中には第1回目の裁判がいつ開かれるかという連絡や答弁書催告状などが入っています。答弁書というのは、訴状に対する被告の意見をまとめた書面のことです。答弁書催告状には、第1回目の裁判の2週間前までに裁判所に答弁書を提出しなさい、というようなことが書かれています。
裁判の流れ(概略)
第1回目 | 原告(請求側)のみ法廷に出席 |
(注1)請求される側が答弁書を出さないと、請求側の言い分どおりの判決が下される可能性があります。弁護士に依頼していれば、請求する本人は、これ以後尋問以外は自分自身で出席する必要はありません。 | |
第2回目 | 被告(請求される側)も出席 場合によってはこの回から弁論準備手続に |
(注2)弁護士に依頼していれば、請求される本人は、これ以後尋問以外は自分自身で出席する必要はありません。 (注3)裁判所内の小部屋で、裁判官を間に挟んで双方の意見をすり合わせ、和解に向けて話し合う手続きです。手続きは第三者には非公開です。 |
|
第3回目~数回 | 弁論準備手続 和解がまとまれば訴訟終了 |
第●回 | 尋問手続き |
(注4)裁判官の面前で、双方の当事者が事情を聴かれます。手続きは公開の法廷で行われます。 | |
その後数回 | 弁論準備手続 |
第◆回 | 弁論終結 |
(注5)双方が裁判手続きで何かをするのは、この日が最後です。双方がお互いに訴訟で言うべきことを言い終わり、和解がまとまらないことも確定して,後は裁判官の判決を待つだけ、という状態になります。 | |
判決 |
和解で終わることが多いです。
実際には、裁判になったとしても、ほとんどの場合は和解で終わっています。
言い換えれば、判決という形で終了することはかなり少ないです。
裁判官が双方に対して和解に応じるよう強烈なプレッシャーを掛けてきますし、原告・被告問わず尋問をしたくない人も多く、早期解決を志向する人も多いからです。
もちろん、特に請求側が頑なな態度を崩さない場合(裁判官の説得に耳を貸さない場合)には、判決によらざるを得なくなります。
まとめ
交渉をしても話し合いがまとまらなければ、請求側は訴訟を提起するかどうかを検討します。
訴訟になったとしても、結果的には和解で終了することが多いです。
「交渉がまとまらなければ訴訟を提起するぞ」というのは、一般的には、被請求側に対するプレッシャーになります。
しかし場合によっては「もし交渉でまとめることに失敗すれば、訴訟ではそこまでの金額は認めてもらえない」という形で、逆に請求側に対するプレッシャーになることもあります。
言葉を換えると、請求側が相場より過大な慰謝料に固執して話がまとまらない場合には、訴訟という手段を通じて、減額のうえで解決されることがあるということです(下記関連記事を参照)。
当事務所では慰謝料問題を多数手がけてきております。
不貞相手に請求をする前の段階で、あるいは相手方から請求を受けた段階で、今後どう対応すべきかご相談いただくことをお勧めします。