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接触禁止文言とは

目次

接触禁止文言って何?

今後一切連絡しない、というような文言のことです。

不倫慰謝料問題を解決するとき、和解(示談)の内容として、「接触禁止文言」というものを入れることがあります(法律上の用語ではありません)。

接触禁止文言の具体例は、たとえば次のようなものです。

「今後一切、夫には連絡しない」

「携帯電話から情報を削除する」

「業務上の必要がないかぎり、連絡をとらない」

「再度不貞行為をしない」 ・・・など

接触禁止文言は、配偶者と不貞相手とが関係を断つことを約束させる、という趣旨で入れるものです。

接触禁止に違反した場合のペナルティを取り決める場合もあります。

「二度と不貞行為をしない。もし違反したら違約金100万円を支払う」

という違約金条項がその典型です(ペナルティ条項、いわゆる「罰金」の約束)。

接触禁止文言を入れるためには、お互いの合意が必要です。

接触禁止文言を強制的に入れることはできません。

接触禁止文言は、お互いが合意することで、示談書(和解条項)の内容に入れることができます。

裁判になる前に、交渉がまとまり示談するとき。

裁判になった後で、和解交渉がまとまるとき。

接触禁止文言を盛り込むことができるのは、接触禁止の内容や文言についての話し合いがまとまるときだけです。

接触禁止の内容や文言で折り合わないときは?

接触禁止の内容や文言で折り合わない場合があります。

たとえばAさんが「一切接触しないと約束しろ」と要求していて、Bさんが「再度不貞しないとは約束できる」と回答している場合を考えてみます。

Aさんとしては、Bさんの態度が変わらないなら、「一切接触しない」という約束を取り付けることはできません。

しかし、「接触禁止の約束が何も無いよりは、再度不貞しないという内容だけでもマシだ」とAさんは考えるかもしれません。

Aさんが譲歩すれば「再度不貞しない」という内容の接触禁止約束を取り付けることができます。

双方の話し合いがまとまらず、訴訟が判決で決着する場合もあります。

その場合、接触禁止文言を強制的に入れてもらうことはできません。

(違約金など、違反した場合のペナルティも同様です)

判決では、裁判官が判断するのは、不倫慰謝料や調査費用などのお金の金額(損害賠償額)についてだけです。

接触禁止は、交渉での取引材料になりえます。

接触禁止文言を強制的に入れることはできません。

そうすると、以下のように、交渉で取引材料に使うことが可能になりえます。

・不倫慰謝料を請求する側:「接触禁止文言を入れてくれるなら、不倫慰謝料の額を下げても良い」

・請求される側:「接触禁止文言を入れてもいい。だから不倫慰謝料額を下げてほしい」

もっとも、接触禁止文言に相手方が全く無関心で交渉材料にならない、という場合もありえます。

たとえば、不倫慰謝料を請求する側が、配偶者と離婚する場合が考えられます。

請求される側が「接触禁止文言を入れる代わりに減額を」と言っても、請求する側は「離婚する以上、接触禁止は求めない。減額には応じない」ということも多いでしょう。

接触禁止文言を入れるときの注意

接触禁止=具体的に何をしてはいけないのか明確にする

接触禁止の具体的な内容として、「何をしてはいけないのか」をできるだけきちんと明確にしておきましょう。

逆に言えば、「どこまでなら許容されるのか」を明確にしておく、ということです。

接触禁止として、たとえば「一切連絡しない」という約束がされることもあります。

「一切」という文言を素直に読めば、無限定での接触を禁止するものです。

どういう方法、理由であろうが、とにかく接触不可ということになります。

これは接触禁止を約束させる側に有利で、約束させられる側にはかなり不利なものです。

ただしここまで広い接触を禁止すると、ちょっとした形式的な違反があってもこの約束を破ったという話になりかねません。

その結果、かえって後で紛争が再発する危険もあります。

特に違約金条項を入れるような場合は、なおさらです。

不倫慰謝料を請求する側からいえば…

できるだけ厳しい内容の接触禁止文言に約束させたい。

もし接触禁止を破ったら多額のペナルティを払わせたい。

そういうご希望はもっともです。

しかし、そのことで相手方が応じてこず接触禁止文言を全く入れることができないとなると、本末転倒ではないでしょうか。

たとえば、不貞相手が配偶者の同僚であるとします。

その場合に「公私問わず一切会うな。違反したら1回ごとに100万円のペナルティを払え」と要求したとします。

不貞相手からは「同じ職場だし会わないのは無理。それでペナルティと言われたらたまらない」という反応が予想されます。

一般論としては、不貞相手がある程度の接触禁止に応じてくる可能性は十分あります。

かといって、守るのが事実上難しい約束をせよと不貞相手に要求しても、上手くいかないでしょう。

交渉の中で不貞相手の態度を見極めながら、接触禁止文言を入れてもらえるようにうまく進めていく必要があります。

「不倫慰謝料の請求を猶予する」というような文言を入れてしまうと・・

不倫慰謝料請求が難しくなる可能性があります。

「接触禁止の約束が守られている限りは、不倫慰謝料の請求を猶予する」

このような文言を入れてしまうことがあります。

不貞相手と配偶者との関係を断つことをどうしても優先したい、という場合に見られます。

その文言を入れた後で、不貞相手に慰謝料請求するとします。

不貞相手からは「接触していないから、不倫慰謝料を支払う義務はない」と反論されてしまいます。

そうなると、あなたが「接触があった」と証明しないと、話が前に進まなくなってしまうでしょう。

結論として、不倫慰謝料請求が困難になってしまう可能性があります。

不倫慰謝料を請求された側からいえば…

「接触禁止文言を入れることに合意する代わり、慰謝料額を下げろ」

そういった形で、交渉材料に使うことができるかもしれません。

しかし相手方によっては、そうした交渉をしようとすると「誠意がないのか」などと言われて話にならないこともあります。

また、あまりに広漠とした内容の接触禁止文言を入れてしまうと、思ってもみないことがきっかけで、相手方から接触禁止違反だと糾弾される可能性があります。

たとえば「二度と会わない。連絡もしない」と約束したとします。

その後で、会社の業務で連絡せざるを得なくなり連絡したら、その着信履歴を相手方に見られてしまった。

…というようなこともありえます。

接触禁止文言を入れることに同意するのなら、きちんと守れる範囲・内容で約束すること、が鉄則です。

接触禁止違反を糾弾され再度争いが発生してしまったら、全く意味がありません。

まとめ

接触禁止文言というのは、「今後会わない・連絡しない」というような、配偶者との接触を禁止する文言のことです。

これは、典型的には不倫慰謝料を請求する側が配偶者と婚姻継続していく場合に、配偶者と不貞相手との関係を断たせることを目的として、示談書(和解条項)に入れるものです。

接触禁止文言は、お互いの合意がないと入れられません。また、お互いにとって許容できる範囲内・内容で設けられるにすぎません。

もし訴訟となって最終的に判決で解決となる場合には、裁判官に接触禁止文言を入れてもらうことはできません。

接触禁止文言を取り付けたいのなら、入れてもらえるように相手方とうまく交渉を進める必要があるということです。

接触禁止文言を示談書にそもそも入れるほうが良いのかどうか、入れるとしてどのような文言にするのか、違反した場合のペナルティはどうするのか等々、示談後の状況も見越した上での細部にわたる交渉がしばしば必要となります。そして、交渉相手の態度を見極めながら話し合いを進めなければなりません。

当事務所では不倫慰謝料問題を多数手がけてきております。

不貞相手に請求をする前の段階で、あるいは相手方から請求を受けた段階で、今後どう対応すべきかご相談いただくことをお勧めします。

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