性格の不一致は「離婚原因」になるの? |墨田区・台東区・江東区・江戸川区の離婚・男女問題弁護士

性格の不一致は「離婚原因」になるの?

はじめに

離婚問題が持ち上がる理由の中で、最も多いといわれているのは、「性格の不一致」です。平成27年司法統計年報(裁判所ホームページで公開されています)によれば、家事調停を申し立てた人の約半数が、「性格が合わない」ということを理由にしています。

では、性格の不一致があれば、相手が離婚したくない場合でも強制的に離婚することができるのでしょうか?または、相手から性格が合わないので離婚したいと言われたら離婚しなければならないのでしょうか?

一言で言えば、性格の不一致だけで強制的に裁判離婚が認められることはほとんどありません。性格の不一致だけでは「離婚原因」にはならないからです。

しかし、性格の不一致について夫婦が話し合い、その結果として離婚が成立することはよくあることです。離婚したい側から言えば、性格がどうしても合わないので離婚したいという場合でも、「離婚原因」がないから離婚は無理だと諦める必要はありません。離婚を切り出された側から言えば、相手から性格の不一致だけを理由として離婚を要求された場合でも、離婚せず済むだろうと安心するのは早計です。

参照:性格の不一致で夫と離婚できる4つの法則

性格の不一致は法律的な「離婚原因」とはなりません。

「離婚原因」=裁判離婚が認められる要件

法律で定められている「離婚原因」というのは、簡単に言えば裁判離婚が認められるための要件です。

日常生活でいう「離婚の原因」「離婚の理由」は様々あります(ex.他に好きな人ができた、収入が少ない、家事をしない、意見が食い違うことが多い、姑との折り合いが悪い…)

しかし「離婚原因」は、それらとは違うものです。

性格の不一致≠「離婚原因」

性格の不一致は、通常、このような意味での「離婚原因」には該当しないと考えられています。もし、性格の不一致を原因として裁判で離婚が認められることになれば、夫婦の片方が離婚したいと考えて「性格の不一致がある」と主張すれば、簡単に離婚が認められることにもなりかねません。また、家庭も育ちも全く異なる男女が出会って結婚するわけですから、性格がぴったり一致するほうが珍しいともいえるでしょう。したがって、一度結婚(婚姻)してしまったら、相手方も離婚に同意しない限り、そう簡単に離婚は認められないのです。相手方と結婚してから「こんな人だと思わなかった」と思うことも少なくないかもしれませんが、そういう意味では、結婚する前に、本当にこの人と結婚して幸せになれるかをよく考えることが大切とも言えます。

性格の不一致が原因で結果的に「離婚原因」が発生することがあります。

例えば、性格の不一致を理由として、どちらかが出て行ってしまい、長期間の別居状態が続いているというような場合は、その状態が「離婚原因」となって、裁判で離婚が認められることもあります。

なお、別居が離婚原因になることやそのメリット・デメリットについては、別コラム「離婚のメリット・デメリット」をご参照ください。

協議・調停では厳密な意味での「離婚原因」は不要です。

離婚協議・離婚調停と、離婚裁判の違いは?

離婚協議は夫婦間で自由に行う話し合いであり、離婚調停は裁判所の場を借りて行うという点で違いはありますが、どちらも夫婦がお互いの自由意思で離婚の話し合いをするという点では同じです。したがって、片方が離婚を拒否している場合は、話し合いが決裂し、結論を出すことができないままとなります。

離婚裁判では、一方が離婚を完全に拒否していても、裁判官が「離婚原因」があると認めれば、裁判所から離婚を命じられることになります。

「離婚原因」が厳密に要求されるのは離婚裁判だけです。

「離婚原因」は裁判離婚が認められるための要件ですから、厳密な意味でこれが要求されるのは離婚裁判だけです。

他方で離婚協議・離婚調停では、仮に「離婚原因」がなくても夫婦が離婚することに合意すれば、その意思に基づいて離婚が成立することになります。

性格の不一致の場合、協議・調停では交渉力が必要です。

離婚協議・離婚調停では、「離婚原因」は厳密な意味では不要です。しかし、性格の不一致のようにはっきりとした「離婚原因」がない場合、離婚したくない側はどのように考えるでしょうか。

「『離婚原因』がない以上、離婚裁判になっても自分が勝てるはずだ。だから離婚の申し出には応じない」という態度に出てくる可能性があります。

離婚拒否側の収入が低く、離婚するまでは婚姻費用の支払を要求できるという場合は尚更です。その場合、高収入の離婚請求側からいえばタフな交渉が必要になります。

もっとも離婚拒否側から言うと、離婚請求側が家を出て別居が長く続いている状態が続いていくと、別居自体が「離婚原因」となって最終的には裁判離婚が認められる可能性が出てきます。

そのため「拒否していれば十分だ」とは限りません。もし離婚拒否側が「条件次第では離婚して構わない」というのであれば、その有利な立場を生かして相場よりも多額の財産分与を取得するなど、将来を予測しながら交渉する必要があります。

したがって、どちらの立場でも、希望する解決を得るためには交渉力が必要となります。

まとめ

性格の不一致だけでは「離婚原因」にはなりません。「離婚原因」は裁判離婚を認めてもらうための要件なので、性格の不一致だけでは裁判離婚は認められないということになります。もっとも、「離婚原因」が厳密な意味で必要とされるのは裁判の場合です。協議・調停では必ずしも必要とはされません。協議・調停では、双方の合意さえあれば離婚が成立するからです。

離婚請求する側・請求されている側のどちらであっても、交渉や駆け引きに長けた弁護士に依頼する方が、最終的に満足のいく結果がもたらされることが多いでしょう。

なお,「明確な「離婚原因」はないが,離婚の上多額の財産分与を得た」解決事例もご参照ください。

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