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浮気・不倫・不貞…同じじゃない?弁護士が解説する3つの意味と違い(用語集)

パートナーの裏切りを表す言葉として、「浮気」「不倫」「不貞」という用語が使われます。

これらは一見同じように思えるかもしれませんが、それぞれの意味する内容やニュアンスは異なります。

 

民法には「不貞な行為」という表現が出てきます(770条)。

しかしそれが具体的に何なのかは、民法には規定がありません。

浮気、不倫についても、民法上の定めはありません。

 

本記事では、弁護士の立場からこの3つの用語の違いについて解説します。

 

浮気とは?

浮気というのは、3つの中ではもっとも日常的に使われている言葉かと思います。

広辞苑第七版では「他の異性に心を移すこと」という解説があります。

(先述のとおり、民法上の定義は存在しません)

 

浮気という言葉を用いる場合、心を移す人・相手のどちらとも、独身か既婚かというのはあまり問題にはしていないように思われます。

(例:「彼氏(独身)が、既婚女性と浮気した」「妻が、独身男性と浮気した」)

 

言葉が指す内容としても、異性と頻繁にLINEをしていたり2人きりで食事をしていたりすれば「浮気だ」と感じる人もいるでしょうし、「身体の関係がなければ浮気ではない」と考える人もいるでしょう。

アイドルやバーチャルな存在に熱を上げている状態を「浮気だ」と考える人もいるでしょうが、「そもそも手の届かない存在だから浮気にならない」と考える人もいるでしょう。

何が浮気にあたるのかは、個人の価値観などにも左右されることになります。

 

不倫とは?

広辞苑第七版では「人倫にはずれること。・・・特に、近年では男女の婚姻外の関係について言う」という解説があります。

(先述のとおり、民法上の定義は存在しません)

 

道徳的に非難される不義の恋といったところですが、既婚者が配偶者以外の異性と恋愛関係を持っている状態(=相手の立場からいうと、既婚者と恋愛関係を持っている状態)を指すものと言ってよいでしょう。

 

単なる友人付き合いを超えた男女交際ということで、性的関係・肉体関係が存在していることも事実上多いかと思われます。

 

不貞とは?

民法上に「不貞な行為」(770条)という言葉が出てきます。

この民法770条は、裁判上の離婚が認められる要件を定める条文です。

そこでいう「不貞な行為」が何を指すのかは民法には載っていませんが、最高裁判所の判例があります(最高裁S48.11.15判決)。

 

最高裁は、不貞な行為=「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と言っています。

(ちなみに離婚問題の場面では、同性との性的関係・肉体関係は、民法770条の「不貞な行為」というより「婚姻を継続し難い重大な事由」の問題だと考えられています)

 

そこで不貞という言葉は、配偶者以外の者と性的関係・肉体関係を持つこと(=相手の立場からいうと、既婚者とそのような関係を持つこと)という意味で使われることが多いです。

(広辞苑第七版でも「貞操を守らないこと」という解説があります)

 

それを前提とすれば「恋愛感情だけで性的関係は一切ない」(プラトニックな関係)という場合、浮気・不倫はともかく不貞には当てはまらない、ということになります。

よくある誤解:不倫=慰謝料ではない

「不倫したら必ず慰謝料の問題になる」(支払ってもらえる/支払わないといけない)と考えている方は少なくありませんが、これは正確ではありません。

 

慰謝料を請求する権利(損害賠償請求権)は法的な権利で、認められるのは、民法の「不法行為」の要件が満たされる場合です(709条)。

浮気・不倫・不貞があったとしても、不法行為の要件が満たされなければ、慰謝料は発生しません。

たとえば以下のようなものが問題になります。

 

①故意・過失

・既婚者と知らなかったことに過失がなければ、慰謝料は発生しません。

 

②他人の権利又は法律上保護される利益があること

・もともと婚姻関係が事実上破綻していた場合、慰謝料は発生しません(最高裁H8.3.26判決)

 

③侵害行為

・異性との肉体関係(不貞)が典型です。

・同性との行為で慰謝料を認めた裁判例もあります。

・婚姻関係を破綻に至らせる可能性のある交流があった、というような理由で慰謝料を認めた裁判例もあります。

 

③因果関係

・「ショックで心療内科に通うようになった」という場合がありますが、そもそも不貞のせいと言えるのかどうかが問題となります。

まとめ:重要なのは不法行為の要件

浮気、不倫、不貞という言葉は、似ているようで異なります。

いずれも、民法にはっきりとした定義は書かれていません。

違いをあえてまとめると、以下のような形になるでしょう。

 

浮気:他の人に心を移すこと

不倫:配偶者以外との恋愛関係(既婚者との恋愛関係)

不貞:配偶者以外との性的関係(既婚者との性的関係)

 

不倫慰謝料が発生するのは、不法行為の要件が認められる場合です。

 

典型は不貞(肉体関係)があった場合ですが、婚姻関係を破綻に至らせる可能性のある交流があったという理由で慰謝料が認められた裁判例もあります。

 

不貞等があったとしても、過失がないとか以前から婚姻関係が破綻していたというような場合には、慰謝料が認められなかったり、減額されたりすることがあります。

 

不法行為の要件が満たされて一旦慰謝料が発生したとしても、時効で消滅することもあります。

 

(参照)不倫の慰謝料請求の時効は何年?

 

不倫・不貞の慰謝料問題については、弁護士の法律相談を受けることをおすすめします。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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