浮気・不倫・不貞…同じじゃない?弁護士が解説する3つの意味と違い(用語集) | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

浮気・不倫・不貞…同じじゃない?弁護士が解説する3つの意味と違い(用語集)

パートナーの裏切りを表す言葉として、「浮気」「不倫」「不貞」という用語が使われます。

これらは一見同じように思えるかもしれませんが、それぞれの意味する内容やニュアンスは異なります。

 

民法には「不貞な行為」という表現が出てきます(770条)。

しかしそれが具体的に何なのかは、民法には規定がありません。

浮気、不倫についても、民法上の定めはありません。

 

本記事では、弁護士の立場からこの3つの用語の違いについて解説します。

 

浮気とは?

浮気というのは、3つの中ではもっとも日常的に使われている言葉かと思います。

広辞苑第七版では「他の異性に心を移すこと」という解説があります。

(先述のとおり、民法上の定義は存在しません)

 

浮気という言葉を用いる場合、心を移す人・相手のどちらとも、独身か既婚かというのはあまり問題にはしていないように思われます。

(例:「彼氏(独身)が、既婚女性と浮気した」「妻が、独身男性と浮気した」)

 

言葉が指す内容としても、異性と頻繁にLINEをしていたり2人きりで食事をしていたりすれば「浮気だ」と感じる人もいるでしょうし、「身体の関係がなければ浮気ではない」と考える人もいるでしょう。

アイドルやバーチャルな存在に熱を上げている状態を「浮気だ」と考える人もいるでしょうが、「そもそも手の届かない存在だから浮気にならない」と考える人もいるでしょう。

何が浮気にあたるのかは、個人の価値観などにも左右されることになります。

 

不倫とは?

広辞苑第七版では「人倫にはずれること。・・・特に、近年では男女の婚姻外の関係について言う」という解説があります。

(先述のとおり、民法上の定義は存在しません)

 

道徳的に非難される不義の恋といったところですが、既婚者が配偶者以外の異性と恋愛関係を持っている状態(=相手の立場からいうと、既婚者と恋愛関係を持っている状態)を指すものと言ってよいでしょう。

 

単なる友人付き合いを超えた男女交際ということで、性的関係・肉体関係が存在していることも事実上多いかと思われます。

 

不貞とは?

民法上に「不貞な行為」(770条)という言葉が出てきます。

この民法770条は、裁判上の離婚が認められる要件を定める条文です。

そこでいう「不貞な行為」が何を指すのかは民法には載っていませんが、最高裁判所の判例があります(最高裁S48.11.15判決)。

 

最高裁は、不貞な行為=「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と言っています。

(ちなみに離婚問題の場面では、同性との性的関係・肉体関係は、民法770条の「不貞な行為」というより「婚姻を継続し難い重大な事由」の問題だと考えられています)

 

そこで不貞という言葉は、配偶者以外の者と性的関係・肉体関係を持つこと(=相手の立場からいうと、既婚者とそのような関係を持つこと)という意味で使われることが多いです。

(広辞苑第七版でも「貞操を守らないこと」という解説があります)

 

それを前提とすれば「恋愛感情だけで性的関係は一切ない」(プラトニックな関係)という場合、浮気・不倫はともかく不貞には当てはまらない、ということになります。

よくある誤解:不倫=慰謝料ではない

「不倫したら必ず慰謝料の問題になる」(支払ってもらえる/支払わないといけない)と考えている方は少なくありませんが、これは正確ではありません。

 

慰謝料を請求する権利(損害賠償請求権)は法的な権利で、認められるのは、民法の「不法行為」の要件が満たされる場合です(709条)。

浮気・不倫・不貞があったとしても、不法行為の要件が満たされなければ、慰謝料は発生しません。

たとえば以下のようなものが問題になります。

 

①故意・過失

・既婚者と知らなかったことに過失がなければ、慰謝料は発生しません。

 

②他人の権利又は法律上保護される利益があること

・もともと婚姻関係が事実上破綻していた場合、慰謝料は発生しません(最高裁H8.3.26判決)

 

③侵害行為

・異性との肉体関係(不貞)が典型です。

・同性との行為で慰謝料を認めた裁判例もあります。

・婚姻関係を破綻に至らせる可能性のある交流があった、というような理由で慰謝料を認めた裁判例もあります。

 

③因果関係

・「ショックで心療内科に通うようになった」という場合がありますが、そもそも不貞のせいと言えるのかどうかが問題となります。

まとめ:重要なのは不法行為の要件

浮気、不倫、不貞という言葉は、似ているようで異なります。

いずれも、民法にはっきりとした定義は書かれていません。

違いをあえてまとめると、以下のような形になるでしょう。

 

浮気:他の人に心を移すこと

不倫:配偶者以外との恋愛関係(既婚者との恋愛関係)

不貞:配偶者以外との性的関係(既婚者との性的関係)

 

不倫慰謝料が発生するのは、不法行為の要件が認められる場合です。

 

典型は不貞(肉体関係)があった場合ですが、婚姻関係を破綻に至らせる可能性のある交流があったという理由で慰謝料が認められた裁判例もあります。

 

不貞等があったとしても、過失がないとか以前から婚姻関係が破綻していたというような場合には、慰謝料が認められなかったり、減額されたりすることがあります。

 

不法行為の要件が満たされて一旦慰謝料が発生したとしても、時効で消滅することもあります。

 

(参照)不倫の慰謝料請求の時効は何年?

 

不倫・不貞の慰謝料問題については、弁護士の法律相談を受けることをおすすめします。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • 不倫慰謝料を請求された

「最後までしてない」不倫キスやハグの不貞行為の慰謝料は?弁護士が徹底解説

「最後までしていないけど、不貞行為になる?」「キスやハグだけでも不貞行為になる?」 既婚者と性交渉はしていないけれど、それでも不貞行為として不倫慰謝料の問題になってしまうのか、どこまでなら許されるのか。   この記事では、異性の既婚者と親しくしている人、すなわち不倫慰謝料を請求された人やされるかもと心配な人を対象として、 弁護士が、「最後までしてな・・・

詳しく見る
  • その他

不倫慰謝料の示談書(請求側・される側双方の視点から)

不倫の示談書:要点を一言でまとめると 不倫・浮気が発覚して、慰謝料について話し合い、示談することになったとします。 示談したら、双方の間で約束したことを書面に記載することになります。 その書面が示談書です。   示談書は示談の証拠書類として、約束した内容を確認することを目的として作成するものです。 示談書には慰謝料の金額、支払い期限などの内容を掲載・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で示談書などを書かされた。内容に納得できない、どうしたら…

はじめに 「不倫の件で示談書(念書、誓約書など。)を相手方(=交際相手の夫・妻)に書かされた、どうしたらいいですか?」 「交際相手に一切接触するなというのは構わない。でも示談金500万円なんて…」 このようなご相談も多く寄せられます。   不倫がバレて相手方から呼び出されると、色々と問い詰められます。 「書くしかない」「とにかく書かないと許してもら・・・

詳しく見る
  • その他

不倫の誓約書を守らなかった場合どうなる?後悔しないためのトラブル解決ガイド

「不倫の誓約書に仕方なくサインしたけど、もし守らなかった場合どうなるの…?」 「サインさせても、もし守らなかったら、どうしたらいいの…?」    この記事では、「不倫発覚を機に誓約書(念書)を作成したが、これに違反した」場合に起こりうる法的責任やリスク、具体的なトラブル内容を弁護士が解説します。 誓約書に違反したらどうなるのか、 金銭や損害賠償の支・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

示談書なく口約束で不倫慰謝料を支払って大丈夫?

示談書を作らず口約束で済ませると、後で争いが生じたりする可能性があるため望ましくありません。交渉結果をきちんと示談書にまとめてから支払うべきです。

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で内容証明郵便が届いたら、どうすればいい?

はじめに:不倫・不貞行為で内容証明郵便が届いたら 不倫がバレて内容証明郵便が相手方(=交際相手の妻/夫)から届くと、不安でいっぱいになります。 「とてもこんな金額は払えない…」 「すぐ訴えられてしまうの…?」 「どうしよう、職場や自分の家族にバラされるかも…」 そんな思いで仕事や家事も手につかないことでしょう。   でも、内容証明郵便が届いたときに・・・

詳しく見る
  • その他

貞操権侵害の慰謝料とは?相場と対処方法についての知識を解説

貞操権侵害の慰謝料と相場は? 貞操権とは、一言でいうと「性的関係を持つか持たないかを決める権利」「性的なことがらについての自己決定権」です。 (民法で定義があるわけではありません)   貞操権侵害で慰謝料が認められるのは、「既婚者なのに独身だと騙して肉体関係を持ち、結婚前提で交際していた」という場合が典型です。   貞操権侵害の慰謝料の相・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料請求調停の連絡が裁判所から届いたら?

はじめに 「不倫慰謝料を請求されて話し合っていたが、その件で調停を申し立てられたという手紙が裁判所から届いた。どうしたらいいの?」 そういうご相談がたまにあります。 裁判所からの連絡(「不倫慰謝料調停の期日に来てください」という呼出状)は放置していいのでしょうか?不倫慰謝料調停には一応行くべきなのでしょうか? 結論をいえば、自分自身で不倫慰謝料調停に行くメリ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

肉体関係がなければ不倫慰謝料を払う義務はない?

はじめに 「肉体関係はないから、不倫慰謝料(不貞慰謝料)を払う義務もないですよね?」 そのようなご質問を受けることがあります。 確かに、不倫慰謝料を支払わなくてはいけない典型的なケースは肉体関係がある場合です。 しかし、「肉体関係がなければ慰謝料を支払う義務はない」とは限りません。 婚姻関係を破綻に至らせるような接触→慰謝料の可能性 不倫慰謝料請求は、民法の・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

ダブル不倫の慰謝料を請求されたら?相場と対処方法の解説

ダブル不倫の慰謝料を請求されたら(はじめに) ダブル不倫(W不倫)とは? (1)ダブル不倫(W不倫)とは、既婚者同士の不倫のことです。   「交際している男女がいる。その男性には別に妻がおり、女性にも別に夫がいる」という状況です。   (2)既婚者同士が不倫しているので、当事者双方の家庭に、不倫の加害者と被害者が共に存在します。 &nbs・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050