このコラムの監修者
-
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
慰謝料コラム
(1)債務不存在確認訴訟というのは、裁判所に「被告に対する義務はない、と認めてほしい」と訴え出る裁判のことです。
不倫問題でいえば、「不倫慰謝料を払え」と請求されている人が、裁判所から「慰謝料支払義務はない」と認めてもらうために、自分の方から相手方(慰謝料を請求してきた人)を被告として訴える、というものです。
不倫問題が裁判に持ち込まれる場合、多くは「慰謝料を請求する人が、不倫した人を訴える」という形になりますが、債務不存在確認訴訟では、逆の形になります。
(2)債務不存在確認訴訟は、不倫慰謝料を請求される側が「訴訟という手続きを使って、紛争を積極的かつ最終的に解決したい」と考える場合にも、活用可能な手続きです。
「義務はない」と主張したい場合だけではなく、「一定程度は払うつもりはあるが、相手方のいう金額には応じられない」という場合にも、債務不存在確認訴訟という手段を取ることができます。
例えば、示談交渉がまとまる見込みもないのに連絡を受け続けているというような場合には、債務不存在確認訴訟を提起して、その訴訟の中で明確に解決するという方向性を検討してみても良いかもしれません。
(3)債務不存在確認訴訟は、原則として、慰謝料を請求してきた人の住所地を管轄する裁判所(多くの場合は地方裁判所)に提起する形になってきます。
債務不存在確認訴訟を提起すると、多くの場合、被告が弁護士に依頼して、逆に「不倫慰謝料を支払え」という訴訟(反訴)を提起してくることになります。
反訴を提起してこずに、債務不存在確認訴訟の審理が進められることもあります。
(4)債務不存在確認訴訟や反訴の手続きを進めていくと、裁判官を介した和解交渉が実施されることが多いです。
和解が成立すれば、それで最終解決が実現できたことになります。
反訴で「慰謝料●円を払え」という判決が出た場合や、債務不存在確認訴訟で「債務が存在しないことを確認する」という判決が出た場合も、明確な決着がついたことになります。
(5)債務不存在確認訴訟という手段があることは知っておいてよいでしょう。
ただ、いつでも自由に提起できるわけではなく、法的な要件を満たす必要がありますし、相手方を訴えることによって、その感情を逆撫でしてしまうおそれなどもあります。
実際に提起するかどうか、どの段階で提起するかは、弁護士とよく検討することが必要です。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
「不倫の誓約書に仕方なくサインしたけど、もし守らなかった場合どうなるの…?」 「サインさせても、もし守らなかったら、どうしたらいいの…?」 この記事では、「不倫発覚を機に誓約書(念書)を作成したが、これに違反した」場合に起こりうる法的責任やリスク、具体的なトラブル内容を弁護士が解説します。 誓約書に違反したらどうなるのか、 金銭や損害賠償の支・・・
はじめに Cさんは不倫がばれてしまい、不倫慰謝料を払えという連絡が届いてしまいました。 Cさんは、そのことを交際相手Bに相談しました。 するとBから『請求を取り下げてくれるように、妻Aには自分が頼んでみるから気にしなくていい、放っておいて大丈夫』と言われました。 …このような話を耳にすることも、ままあります。 本当にそのまま放っておいても大丈夫なのでしょうか・・・
1 はじめに 不倫や不貞行為がバレて、交際相手の配偶者から慰謝料を請求されたとき、どうしたらよいのでしょうか? この記事では,不倫・不貞行為の慰謝料を「請求された側」の適切な対処法や予備知識を弁護士が解説していきます。 (注)「交際相手」=不倫関係を持った相手,「相手方」=慰謝料を請求してきた人(=交際相手の配偶者)のことを指して・・・
不倫での妊娠と出てくる問題(はじめに) 不倫と一言でいっても、実際には色々な交際の形があります。 一夜限り、いわゆるセフレ関係、結婚(再婚)前提のお付き合い、すでに同棲中、…etc。 いずれにせよ、不倫であなたの妊娠が発覚したなら、今後のことを真剣に考えて対処する必要があります。 (中絶、出産、認知、不倫交際や離婚問題の帰趨、慰謝料など) &n・・・
「最後までしていないけど、不貞行為になる?」「キスやハグだけでも不貞行為になる?」 既婚者と性交渉はしていないけれど、それでも不貞行為として不倫慰謝料の問題になってしまうのか、どこまでなら許されるのか。 この記事では、異性の既婚者と親しくしている人、すなわち不倫慰謝料を請求された人やされるかもと心配な人を対象として、 弁護士が、「最後までしてな・・・
はじめに 「ラブホに入ったけど何もなかったって言うんです…。そんな言い訳って通用するんですか!?」というご質問を頂くことがあります。 ラブホテルに入ったが不貞行為はなかった(性行為はしなかった)と言い訳されたら、どうしたらいいのでしょうか? ラブホテルに入った≒性行為があった 性行為をするための場所 ラブホテルは性行為をするための場所だというのが一般常識です・・・
はじめに 「今回の不倫については慰謝料50万円で手打ちにするが、二度と不倫しないように違約金を約束させたい」 「今は慰謝料ゼロでいい。ただし今度不倫したらペナルティを与えたい」 このようなご希望をいただくことがあります。 離婚せずに配偶者とやり直す選択をされた方にとっては、不倫相手に近づかせないのが再優先だからです。 違約金がペナルティの典型で・・・
不倫の示談書:要点を一言でまとめると 不倫・浮気が発覚して、慰謝料について話し合い、示談することになったとします。 示談したら、双方の間で約束したことを書面に記載することになります。 その書面が示談書です。 示談書は示談の証拠書類として、約束した内容を確認することを目的として作成するものです。 示談書には慰謝料の金額、支払い期限などの内容を掲載・・・
パートナーの裏切りを表す言葉として、「浮気」「不倫」「不貞」という用語が使われます。 これらは一見同じように思えるかもしれませんが、それぞれの意味する内容やニュアンスは異なります。 民法には「不貞な行為」という表現が出てきます(770条)。 しかしそれが具体的に何なのかは、民法には規定がありません。 浮気、不倫についても、民法上の定めはありませ・・・