このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
慰謝料コラム
「不倫の誓約書に仕方なくサインしたけど、もし守らなかった場合どうなるの…?」
「サインさせても、もし守らなかったら、どうしたらいいの…?」
この記事では、「不倫発覚を機に誓約書(念書)を作成したが、これに違反した」場合に起こりうる法的責任やリスク、具体的なトラブル内容を弁護士が解説します。
誓約書に違反したらどうなるのか、 金銭や損害賠償の支払は認められるのか、 裁判例を交えながら徹底解説。
さらに、 無効になる誓約書の特徴や、 不当な誓約書から身を守る方法、 請求を拒否できるケースまで、 具体的な解決策を網羅。
後悔しないために、 ぜひ最後までお読みください。
目次
誓約書(念書)は差し入れる人の約束や誓いなどを記載した書類のことで(※)、「不倫(浮気)した人が、不倫(浮気)された人に差し入れる」という形が多いです。
例えば、「夫が独身女性と関係を持った」という場合なら、独身女性が妻に差し入れるほか、夫が妻に差し入れることもあります。
このコラムでは主に前者(不倫相手の誓約書)を対象として、その誓約に違反した場合にどのような法的責任やリスクが生じるのかを解説します。
(※)示談書・合意書の条項の1つとして、誓約(約束)が組み込まれている場合もあります。
先程の、女性が妻に差し入れる不倫の誓約書(不倫相手の誓約書)は、例えば以下のようなものです。
(例)
女性が妻に対し、不貞行為のことで謝罪や約束をしていることになります。
誓約書の内容としては、このように「不倫や交際をしない。違反したら違約金(違反金)を支払う」といったものが多いです。
もっとも先に述べたように、「女性と妻が示談書を締結する。その示談書の条項として、こうした謝罪や誓約が入っている。示談書には双方が署名押印する」という場合もあります。
ありません。
しかし、誓約書へのサインを単純に拒否するだけでは、「謝罪するつもりはないのか、これからも連絡を取るつもりか」などと指摘される可能性も高いです。
「その誓約書にはサインできないが、お互い納得のいく内容で示談書を作成しよう」という方向で交渉してみるのも1つの方法です。
不倫の誓約書に違反した場合、請求がありえるかどうか、ありえるとして何の請求が考えられるかは、誓約書自体の内容や、違反行為の内容などによって異なってきます。
誓約書には、「二度と会わない。約束に違反した場合は違約金50万円を支払う」といったように、破った場合の文言が設けられていることが多いです。
この場合、約束違反を理由として、違約金(違反金)50万円を請求される可能性があります。
あるいは「今後不貞行為をしない」という誓約を破った場合、新たな不貞行為について損害賠償(慰謝料)を請求される可能性があり、誓約にもかかわらず再度関係を持ったという点で悪質だと評価される可能性があります(もし誓約書がなくても、新たな不貞行為についての損害賠償を請求される可能性はあります)。
すなわち、ありうる請求として「誓約書を根拠として違約金を請求する」ほかにも、「不貞行為(不法行為)を根拠として慰謝料を請求する。その違法性・悪質性を示す1つの事情として、誓約違反の事実を挙げる」といった場合も考えられます。
後者は、端的に言うと「不貞が発覚し、誓約書で約束したのに再度不貞したから、極めて悪質だ」ということです。
違約金などの請求は、約束違反があった、新たな問題行為があった、という指摘とともに開始されます。
もし話し合いがまとまらなければ、最終的には訴訟で、その請求が認められるかどうかを裁判官に判断してもらうことになります。
不倫の誓約書違反(示談書・合意書中の誓約の違反)が問題となった裁判例はいくつかありますが、その判決文の中で指摘されている内容の一部を紹介します。
裁判例はあくまで当該事案について判断したものであり、単純に一般化できないことには注意が必要です。
ただいずれにせよ、誓約書を作成する際には、内容を明確にし、違反した場合の責任を具体的に定めておくことが重要であること、とはいうもののその内容が広範・高額すぎると結果的に無効となる可能性が高くなる傾向にあるということ、は言えるでしょう。
誓約書には一応法的効力がありますので、違反すると、その法的責任を問われたり、事実上の紛争を引き起こしたりする可能性があります。
もっとも後述のとおり、取消し・無効により、法的効力が無くなる場合もあります。
事実上の紛争の典型は、職場や家族に不倫や誓約書違反の事実を告げられてしまう、といったことです。
特に誓約する側は、誓約書を交わす前に、事前に内容を十分に理解し、安易な約束はしないようにしましょう。
万が一、誓約書違反をしてしまった場合は、早めに弁護士に相談し、適切な対応をとることが重要です。
不倫の誓約書の内容を守らなかった場合、その後の状況は、誓約書の内容や違反の程度などによって異なってきます。
ここでは、不倫相手の誓約書と夫婦間の誓約書という2つのケースに分け、具体的なトラブルを解説します。
不倫相手が誓約書に違反した場合、多くの場合、違約金(違反金)の支払い義務が発生します。
誓約書には、「違反したら、違約金○○万円を支払う」といったように、破った場合に備えた文言が記載されていることが非常に多いからです。
もし金額の記載がなくても、約束違反により精神的苦痛を受けたということで慰謝料を請求される可能性はありますし、改めて不貞行為に及んだ場合、新たな不法行為についての損害賠償(慰謝料)を支払う義務が生じてきます。
もっとも、誓約書を自由意思で作成したといえない場合、たとえば強迫があった場合には取消すことで無効とすることができます。
誓約書に記載された内容が、あまりにも高額な違約金や不当な内容である場合、そのすべてが認められるとは限りません。
裁判所は、具体的な状況を考慮し、金額を減額したり、一部の条項を無効と判断したりすることがあります。
誓約書違反を指摘された側としては、請求された金額に納得がいかない場合は、弁護士に相談し、交渉を依頼することも1つの方法です。
誓約書の内容を活かしたままにすると更に後日争いとなることが懸念される場合は、「新たに示談書を締結し、その中で、誓約書は効力を持たないことを双方が確認する」という形を目指して交渉を試みるべきでしょう。
違反を指摘されているのに放置すると、家族や職場などを巻き込んでのトラブルにも発展しかねません。
誓約書違反を指摘する側としては、主に違約金の支払を求める形で、交渉や訴訟により不倫相手への圧力を掛けていくことになります。
不倫のことで夫婦間で交わした誓約書に違反することがあります。
例えば、夫が「二度と浮気しない」という誓約書を妻に差し入れていたのに、これを破って浮気相手(不倫相手)と関係を持ったような場合です。
誓約書を差し入れて改心を示した前提で婚姻を継続してきたのに、これを破ったのですから、離婚話が具体化する可能性があります。
離婚話が具体化すれば、配偶者の地位を失うことも含めた慰謝料(離婚慰謝料)の問題になってきます。
離婚慰謝料と、財産分与や養育費などは本来別の問題ですが、財産分与や養育費の増額により事実上慰謝料を支払ってもらう(あるいは慰謝料に上乗せしてもらう)、という話になる可能性もあります。
離婚はしないまでも、きちんと慰謝料(不倫慰謝料)を支払ってもらう、ということになる可能性もあるでしょう。
もっとも、誓約書の内容が不当なものである場合などは、その効力が認められないことがあります。
例えば、妻が「離婚したら子どもに絶対会わせない」といって夫がこれを承諾したとしても、子の福祉(父との交流で健やかに成長する利益)を害するもので正当とはいえないと判断される可能性が高いでしょう。
慰謝料額については、ある裁判例では、慰謝料1500万円及び連絡禁止の違約金1回あたり800万円という内容を一部無効としつつ、慰謝料を450万円としたものがあります(東京地裁、R4)。
夫婦間の誓約書の違反があっても、改めて誓約するなどして婚姻関係を継続することも事実上多いかとは思われます。
その場合でも、作成した誓約書は離婚協議や調停などにおいて重要な証拠となることがありますので、注意が必要です。
誓約書の種類 | 違反した場合の主な影響 |
---|---|
不倫の誓約書 | 違約金(慰謝料) |
夫婦間の誓約書 | 離婚、慰謝料 |
不倫の誓約書にサインする(させる)前に、内容をしっかりと確認することが不可欠です。
特に誓約する側にとって重要ですが、誓約してもらう側にとっても、それで本当に問題がないかどうか、誓約書を巡って争いになってしまわないか、といった点に目配りしておくことは大切です。
ここでは、無効になる誓約書の特徴と、サインする前に注意すべき点について解説します。
「脅された」「無理やり書かされた」など、書いた人の自由な意思に基づいて作成されていない誓約書は、無効となる可能性があります。
違法性のある強迫によって意思表示をした場合、その意思表示を取り消すことができ(民法96条)、取消しが認められるとその結果無効となります(121条)。
「自由な意思に基づいて誓約書が作成されたとは言えない」ということを裏付ける事情としては、例えば以下のようなものが考えられますが、こうした事情があれば直ちに「強制的だった」ということになるわけではなく、裁判官が諸事情を総合的に判断して結論を出すことになります。
誓約させる側(サインさせる側)としても、不当な圧力を掛けたのではないかと第三者から疑わかねない要素を排除するよう、注意する必要があります。
そのような要素があると、後で紛争となる可能性が高くなり、誓約書を作らせることによって事態の沈静化を図ろうとする趣旨が叶えられなくなってしまうからです。
誓約書の内容が公序良俗(公の秩序や善良の風俗)に反する場合、その誓約書は無効です(民法90条)。
公序良俗違反にはいくつかの類型があり、暴利行為、個人の自由を極度に制限するもの、不当な利益を収得するもの、といったものがあります。
誓約書違反との関係で問題になるのは、多くの場合、「慰謝料・違約金の額が大きすぎる、暴利行為ではないか」という点です。
公序良俗違反が認められるとしても、必ずしもその全部が無効とされるわけではありません。
「一定限度で有効だが、超える部分は無効」という判断がなされることもあります(上記参照)。
誓約させる側としては、「それならできるだけ大きい額を定めておけば良いのでは」と思うかもしれませんが、公序良俗違反を巡る紛争が生じる可能性を自ら高めてしまうことが懸念されます。
不倫の誓約書は、不倫した人に反省や約束を求める趣旨のものですし、ある程度の要求が入っていることはもともと想定されるものです。
しかし、その内容が曖昧である場合、要求が合理的限度を超える場合、過度に一方的な内容が含まれている場合などは、後々トラブルに発展するリスクが大きくなります。
実務上しばしば見られるのは、禁止内容が広すぎてすぐに違反が生じてしまう(違反を回避できない)、違約金が高額すぎる、退職や転職など大きな負担を与える、といったケースです。
誓約書を作ったりサインしたりする前に、以下のような点に注意して内容を精査しましょう。
特に誓約をする側は、内容に疑問や不安を感じる場合は、安易にサインせず、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
サインしてその場を切り抜けたつもりでも、誓約を守れずに後々トラブルになるのでは、意味がありません。
誓約書にサインしたことで不利な状況に置かれる可能性もあるため、慎重な判断が重要です。
「サインしないと家族や会社に不倫をばらす」などと脅され、不利な内容の誓約書にサインせざるを得なかった…。
そんな状況に陥ってしまった場合でも、直ちに諦める必要はありません。
不当な誓約書から身を守るための手段は存在します。
誓約書にサインしてしまった場合、まず重要なのは、その状況を客観的に記録することです。
例えば、以下の点を記録しておきましょう。
これらの記録は、後々、誓約書の公序良俗違反や強迫取消しなどを主張する際に、重要な証拠となります。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったかを日本郵便が証明してくれるサービスです。
この内容証明郵便を利用して、誓約書にサインしたのは強要されたからであり本意ではない、したがって誓約書の内容には拘束されない、という認識を明確に伝えることができます。
具体的には、例えば以下のような内容を記載した内容証明郵便を送付します。
このような内容の内容証明郵便を送付することで、誓約書は無効だという認識を持っていることや、誓約書を理由に請求されても応じるつもりは無い旨の意思を伝えたことの証拠になります。
ただし、裁判所がその内容(言い分)を認めてくれるかどうかは別問題です。
後日に裁判所が「取消しや無効の主張は認められない=誓約書の約束は有効である」と判断する可能性もあります。
また、内容証明郵便を受け取った側が態度を硬化させ、弁護士をたてて改めて誓約書の遵守を求めてくるとか、違約金を支払えという裁判を提起してくる可能性なども考えられます。
不倫の誓約書にサインしたからといって、必ず違約金や慰謝料を支払わなければならない、というわけではありません。
請求を拒否できるケースも存在します。
以下に、主なケースを解説します。
誓約書の約束内容が公序良俗に反する場合や、強迫によって書かされた場合など、取消しや無効を主張できる場合があります。
無効となる場合でも、裁判所が「一部有効、一部無効」と判断する場合もあります。
具体的事実が違反に該当するのか明確ではない、という場合には、請求を拒否できる可能性があります。
そもそも約束自体が不明確である、違反に該当せず許された行為である、違反は事実だが不可抗力である、といった場合も同様です。
違約金の金額が、違反行為によって生じた損害に比べて著しく高額であるとか公序良俗に違反するような場合、その金額の一部または全部が認められないことがあります。
金額それ自体だけではなく、禁止内容などとも比較のうえで判断されることになります。
違反行為により違約金が発生しても、そこから一定期間が経過すると、違約金を請求する権利が消滅時効にかかることになります。
消滅時効期間は、違約金を請求できると知ってから5年あるいは違約金を請求できる時から10年となり(民法166条)、期間が満了していれば、時効を援用して、請求を拒否することができます。
上記のような、拒否できるケースに該当しなさそうな場合でも、交渉のうえで減額や改めての示談締結を打診してみれば、話がまとまる場合もあります。
違約金の請求を拒否するだけではなく、「サインしてしまった誓約書それ自体は無かったことにして、改めてきちんとした内容の示談書を取り交わす」ことができれば、そのほうが将来のリスク回避という意味では価値があります。
誓約書の内容が不当だと思うのであれば、内容を改めるべく、交渉を試みてみるべきです。
誓約書違反による請求を拒否したい場合や、「誓約書を無かったことにしてきちんと示談書を取り交わしたい」というような場合には、弁護士に依頼して交渉すべきです。
自分自身で交渉しようとしても、感情的な反発を招きかねません。
弁護士に依頼する主なメリットは以下の通りです。
誓約書の有効性を争う場合、法的知識に基づいた適切な主張が必要です。
「書かされた」「不当だ」などと言うだけではなく、どのような事実から公序良俗違反や強迫だと言えるのか等を主張し、きちんと反論していく必要があります。
裁判に発展する可能性も十分ありますので、交渉段階から、法的な検討も必要となります。
誓約書の有効性を争うべく自分で交渉するのは、おすすめできません。
「納得したからサインしたのではないのか。約束を反故にするのか、反省していないのか」などと反論されて、交渉の実が得られないことが予想されます。
交渉を弁護士に代行してもらうことで、精神的な負担を軽減することができるうえ、冷静な話し合いを試みることができますし、相手方が自ら弁護士へ依頼したり訴訟提起したりする煩わしさを避けて交渉に乗ってくる可能性も出てきます。
交渉がまとまらない場合、「違約金を払え」といった訴訟を提起される可能性が出てきます。
その場合でも、弁護士に依頼していれば、答弁書・準備書面の作成や、訴訟への参加(多くの場合Web会議)、裁判官を通した和解交渉など、必要な手続きを全て任せることができます。
自分で書面を作成したり裁判所に出頭したりするよりも、時間や労力を大幅に削減することができます。
弁護士に依頼する費用はかかりますが、精神的な負担が軽減できること、自分で交渉するよりも効果が見込めること、仮に訴えられても裁判官を介した交渉で妥当な内容で決着できる可能性が出てくること等からすると、総合的に考えるとメリットが大きいと言えるでしょう。
不倫の誓約書を巡るトラブルは、サインした方は「書かされた、不当だ」と、サインさせた方は「自らサインしておきながら今更何だ」というように、感情的な対立が絡み合い、当事者間での解決が難しいケースも少なくありません。
ここでは、弁護士の視点から、誓約書トラブルを避けるための最適な解決策を解説します。
不倫の誓約書は、多くの場合、「約束してもらう側(不倫・浮気された人)が書面内容を作成し、そこに約束する側(不倫した人)がサインする」という形になります(※)。
慰謝料額、接触禁止の内容、違約金など、意図する内容がきちんと反映されているか注意が必要です。
「再度の不倫を防ぐため、重い負担・ペナルティを課して縛りを掛けておきたい」という意図があるとしても、公序良俗違反や強迫取消しなどの問題が勃発しないよう、合理性のある(しかし圧力としては機能する)内容に留めておくほうが、結果的には有意義です。
(※)示談書や合意書の中の条項として誓約が入っている場合は、双方がサインする形になります。
最も基本的かつ重要なことは、「守れない約束をしない=確実に守れる内容だけを約束する」ことです。
無理に約束しても、結局は守れずにトラブルになるだけで、かえって不信感を持たれたり責められたりしてしまいます。
特に、以下のようなケースでは慎重な判断が必要です。
不倫の誓約書には、約束違反があった場合に備えて、違約金などのペナルティが記載されていることが非常に多いです。
どういう場合に約束違反となるのかという点に加えて、違反したらどのような結果になるのか、を十分に検討することが不可欠です。
明確に把握・理解できない場合や、ペナルティの内容が重いという場合には、サインせずにすぐ弁護士に相談することをおすすめします。
不倫の誓約書にサインしてしまったが内容が不当だと考える場合、誓約書を無かったことにする前提で示談できるよう、交渉を試みるのも1つの方法です。
誓約書の内容にもよりますが、サインをしてしまっている以上、後々になって約束違反を問われるなどのリスクが残るからです。
「誓約書を無かったことにする」ことと「誓約内容自体を無かったことにする」ことはまた別問題ですが、誓約が広すぎたり内容が重すぎたりするような場合には、誓約内容や違約金を合理的ラインにまで引き下げるべく交渉してみるべきです。
不倫の誓約書の約束を求める手続きは、多くの場合、違約金請求という形をとります。
「約束に違反して接触した。したがって違約金○万円を払え」という請求を行い、それでも支払ってこなければ、「約束したとおりの違約金を払え」という訴えを起こすことになります。
裁判の中で和解となる場合には、和解調書の中で改めて誓約してもらう(裁判官の前で再度きちんと約束してもらう)ということも考えられます。
裁判所関与のもとで約束してもらうのですから、後で問題が生じる可能性は低くなります。
ポイント | 詳細 |
---|---|
意図した内容が反映されているか(約束を求める側) | 意図がきちんと反映されているか、圧力として機能する合理的な内容になっているか |
約束は確実に守れることだけ(約束する側) | 明確かつ確実に守れる内容以外のことは、約束しない |
約束違反になる場合と違反の効果を検討(約束する側) | はっきり理解できない場合や重い場合は、サインしない |
誓約書を無かったことにする交渉を試みる(約束した側) | 誓約書を無かったことにして後のトラブルを防止し、最終的に解決する |
誓約書の約束を求める手続き(約束させた側) | 違約金を請求し、その裁判の中で改めて約束させる |
「誓約書のサインはあるが、約束が果たされない」という状況を放置したままでは、何の解決にもならないうえ、トラブルの火種になりかねません。
約束させた側からいえば「責任を取ってもらっていない、不倫はまだ続いているのではないか」といった話になりかねませんし、約束した側からいえば「誓約書を根拠にいつ強硬手段に出られるか分からない」ということになってしまいます。
きちんと示談書を交わして最終的解決を図るべきです。
本記事では、不倫の誓約書を破った場合に起こりうる法的責任やリスク、無効になる誓約書の特徴、そして不当な誓約書から身を守る方法について詳しく解説しました。
また、違約金や慰謝料の請求を拒否する方法や、誓約書トラブルに強い弁護士が教える最適な解決策についてもご紹介しました。
誓約書は、サインする前に内容を十分に理解し、慎重に対応する必要があります。
誓約書の内容に不安がある場合や、トラブルに発展してしまった場合には、早めに専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
誓約書トラブルを放置すると、誓約した側・させた側双方とも、望まぬ事態に陥る可能性があります。
ある意味、誓約書自体がトラブルの種になってしまっている状況ですし、最終的解決を目指して交渉等を進めていきましょう。
(監修:弁護士橋本俊之)
参照:不倫で誓約書(念書)にサインしろと言われたら、どうしたらいい?
参照:不倫問題の示談書・合意書・誓約書などの役割を弁護士が解説
参照:不倫で示談書などを書かされた。内容に納得できない、どうしたら…
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
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