不倫慰謝料請求と訴訟告知 | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

不倫慰謝料請求と訴訟告知

不倫慰謝料と訴訟告知

はじめに

訴訟告知をごく単純に言うと、「こういう裁判をやっていて、今こういう段階になっています」というのを、裁判所を介して知らせることです。

不倫慰謝料請求問題との関係でいえば、「Aが不貞相手(=C)を訴えた。B(=Aの配偶者)に対して、Cが訴訟告知した」というのが典型的な例です(以下、この例をもとに説明していきます)。

なぜ訴訟告知をするのか、もし被告が訴訟告知をしたらどうしたらいいのか、自分が訴訟告知を受け取ったらどうしたらいいのかといった点について、以下解説していきます。

慰謝料被請求側と訴訟告知

訴訟告知を被告Cがする目的は?

Cとしては、主に下記の理由から訴訟告知を検討することになります。

訴訟告知できる人

訴訟告知というのは、ある訴訟の当事者になっていない第三者に、その訴訟に参加する機会を与えるための手続きです。

先の例でいうと、Aが原告、Cが被告となって、この二人の間で裁判が行われています。Cと不貞したBは、もちろん不貞問題の当事者ではあるのですが、裁判の当事者にはなっていないのです。

(備考)もしAがBとCを相手に訴えた場合、Bも被告として裁判の当事者になっています。

もちろん、訴訟に参加する機会を誰にでも(誰彼とも無く)与えることはできませんので、訴訟告知できる人は限定されています。

こと不倫慰謝料請求の場面でいえば、「自分一人だけが不倫慰謝料を請求されてしまったという人が、『一緒に不貞した人』に対して、訴訟告知ができる」と理解すればよいと思われます(上記の例では、CがBに訴訟告知できる)。

これに対して、たとえば「AがCの母に訴訟告知する」「CがAの不倫相手に訴訟告知する」というようなことはできません。Cの母やAの不倫相手は、この訴訟の結末に対して法律的な利害関係がないからです。

「一緒に不貞した人」を関与させたい

Cは、「訴訟告知をして、一緒に不貞したBを訴訟に関与させ、自分に有利になるよう手続きを進めていきたい」と考えることがあります。

CがBに訴訟告知をすると、Bとしては、①その訴訟にA・Cどちらかの味方として参加する、②訴訟には参加しない、という選択肢があります。ですから確実に関与させることができるとまではいえません。

しかし、もしBが自分の味方として参加してくれれば、「もともと婚姻関係は破綻していた」という色々な情報・証拠を訴訟で明らかにしてくれるかもしれません。

あるいは、もしかしたら「CとBとが一緒になって●円を払う」という方向性に持ち込めるかもしれません。

すなわちCとしては、自分一人で払うよりも多額を用意できることになり、結果としてAとの和解がまとまりやすくなるかもしれません。

また、Aに慰謝料を支払った後でその一部をBに請求する(求償請求する)までもなく、ABC三者間で和解が成立して一挙に事件を解決できるかもしれません。

敗訴判決のリスクを転嫁したい

訴訟告知をすると、裁判の効力を第三者に及ぼすことができますので、Cが敗訴判決(慰謝料●円を払えという判決)を受けた場合のリスクをBに転嫁できます。

先の例では、裁判の当事者はあくまでAとCだけでした。そのままもし「CはAに200万円を支払え」という判決が出たとします。

その後にCがBに「200万円のうち一部を負担してほしい」と請求したとときに(求償請求したときに)、Bは「自分はその裁判に参加していなかったから、200万円と言われたって困る」と言えることになります。

しかしCがBに訴訟告知をしておくと、Bは(実際にその訴訟に参加していようといまいと)そのような反論ができなくなります。

すなわちCとしては、Bとの間で慰謝料額についての争いが生じることを事前に封じることができるわけです。

 

訴訟告知された人

訴訟告知を受けたBは、どうしたらいいの?

選択肢①参加しない

AとCとの判決の内容をそのまま受け入れ、後で女性から求償を受けたら淡々と応じよう、という方向です。

「Cと関係を持ってはしまったが、Aとの離婚は考えておらず、Cとは関係を絶つ」というような場合だと、AC双方の対立にあえて首を突っ込まず大人しくしておくというのはある意味賢明であり、この方向が選択される場合が多いように思われます。自分でCと不貞しておきながらわざわざAの味方をするため参加するというのは、BがCに対してよほど何か含むところがあるような場合ではないかと想像されます。

選択肢②訴訟に参加する

Aとの離婚を希望するような場合だと、あえてCの味方として訴訟に参加して、離婚実現の方向へ進めていくという選択肢が採られることもあります。

訴訟に参加することで一定の発言力が出てきますし、Cと協力して慰謝料減額を図ることができます。

(備考3)Bがこの訴訟の中で離婚を実現できるわけではありません。しかし慰謝料の点が解決できれば、別途の離婚手続きでの争点を一つ減らせることになります。

 

慰謝料請求側と訴訟告知

訴訟告知を被告Cがしたら、原告Aはどう受け止めればいいの?

「一緒に不貞した人」の意向がある程度推し量れます。

訴訟告知を受けたBが、①その訴訟に参加するのか、参加するとしてどちらの味方として参加するのか、②参加せずにおくのかが分かります。

そうすると、BがAやCとの関係を今後どうしようと考えているのかもある程度推し量れることがあります。

たとえばBがAと離婚したいような場合ならCの味方として訴訟に参加してくることが予想されますし、Cと関係を絶って婚姻関係を修復したいような場合なら参加せずにいることが予想されます。

参加してこなかった場合

Aとしては、それまでどおりCとの裁判を続けていけばよいだけです。訴訟告知があろうとなかろうと、Aにとっては特段関係はありません。

参加してきた場合

Bがどちらの味方として参加してきたのかにもよりますが、多くの場合はCの味方として、ではないかと予想されます。

そうすると、Bが、たとえば夫婦仲が悪かったとか、不貞が理由で離婚話になっているわけではないとかいうようなことを明らかにしてくるかもしれませんし、また、裁判官を介した和解交渉ではBを入れた三者間での解決が模索されるかもしれませんので、Cだけを相手にしていたときとは裁判の進め方が変わってくる可能性があります。

(備考2)端的に言って敵が増えるというマイナス面が出てきます。しかし他方で、Cには資力がなく回収困難と思っていたがBが慰謝料を払ってくれることになった、というようなプラス面も出てくるかもしれません。

もしBがAの味方として参加してきてくれたのであれば、Cが主張している不貞期間が実際には違う(ex.もっと昔から不貞している)といったようなことを明らかにしてくれるかもしれません。

なお、BがわざわざAの味方をするため参加してくるケースというのは少ないように思われます。AとBは婚姻関係にあるのですから、わざわざ訴訟に参加しなくても、事実上情報を伝えるなどしてAの味方ができるからです。もっとも、Bの同意により訴訟に関与してもらい三者間で和解することで、事件を一挙に解決したり(後でBがCから求償請求されることを防止する)、BにもCに接触しないと約束させたりすることも考えられます。

まとめ

被告としては、一緒に不貞した人に訴訟への関与を求めたり敗訴判決のリスクを転嫁したりしたいということで、訴訟告知を検討する価値があります。

原告としては、特に訴訟告知を受けた人が被告の味方として参加してきた場合には、被告だけを相手にしていたときとは裁判の進め方が変わってくる可能性があります。

敵が増えるマイナス面もありますが、訴訟告知を受けた人が被告の資力を補ってくれるといったプラス面も出てくるかもしれません。

訴訟告知を受けた人は、訴訟に参加することもできますが、参加しなくても構いません。参加せずに原告被告間の判決が出たら、その内容を争うことはできなくなります。

「不貞相手が訴えられたので、原告の配偶者(=被告の交際相手)に訴訟告知した」という典型例でいえば、訴訟に参加するかどうかは、原告との婚姻関係をどうしたいのか(修復したいのか離婚したいのか)で変わってくることが多いと思われます。

当事務所では訴訟告知を利用して解決していった実績があります。「不倫慰謝料請求で自分一人だけが訴えられてしまった」「訴訟告知が自分に届いており、被告の味方をしたい」という方は、一度ご相談いただくことをお勧めします。

参照(一例):500万超の訴状が届いたが、訴訟告知して尋問前に50万円で和解した事例

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • その他

浮気相手から慰謝料を請求された場合の対処法は?

浮気相手からの慰謝料請求:関係者の整理 浮気相手から慰謝料(損害賠償)を請求された、という場合があります。 たとえば「夫Aには妻Bがいる。Aは女性Cと肉体関係を持っていた。夫Aが女性Cから慰謝料を請求された」というケースです。 (AからみればCと浮気しており、CからみるとAと不倫している状況)   Aとしては「お互い合意のもとで男女の仲になって交際・・・

詳しく見る
  • その他

不倫慰謝料事件が終わるまで時間はどれくらい掛かるの?

はじめに 不倫慰謝料事件が解決するまでには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。 不倫慰謝料を請求するにせよされているにせよ、どうしても気になるところでしょう。 不倫慰謝料の標準的なケースではどれくらい時間が掛かるのか、以下で見ていきましょう。 実際には、相手方のキャラクターや対応に左右される部分も大きいです。 予想よりも時間が掛かってしまったり、話が全く・・・

詳しく見る
  • その他

不倫がバレるきっかけ、トップ3は?

はじめに そもそもどんなきっかけで、不倫がバレるのでしょうか? 不倫がバレたきっかけを当事務所のご相談内容から分析すると、トップ3はつぎのとおりでした。 ①交際相手が配偶者にスマホなどを見られた ②不倫を問い詰められた交際相手が認めた ③交際相手と一緒にいるところを探偵に撮られた ①交際相手がスマホなどを見られた… 知られたかもしれない情報 交際相手とのやり・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫・不貞行為で会社を辞めろと要求されたら?

はじめに 「会社を辞めろ。今後一切夫に関わるな」というように、相手方(=交際相手の妻)から、強く退職を要求されることがあります。 交際相手が同じ職場の上司だったとか同僚同士の不倫の場合には、しばしば問題になることです。 会社を辞めろと言われても、当然ながらそう簡単に辞められるわけではありません。 とはいえ「ただでさえ不倫がバレて激高されているのに、要求を断っ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫バレして誠意を見せろと言われたら?

「誠意を見せろ」などと抽象的な要求を受けたとき、要求を具体的に特定せず進めてしまうと、後から追加で請求を受けてしまうなど重大な不利益を被ってしまう可能性もあります。

詳しく見る
  • その他

不倫の求償権請求をするorされたときには弁護士をつけたほうがいいの?

  はじめに ABが夫婦で、Bの不貞相手がCだとします。 不倫慰謝料をAがCに請求し、その問題は決着がつきました。 その後でCがBに請求するのが、求償権の請求です。 求償権の請求は、不倫慰謝料を最終的にどちらがどれだけ負担するかという問題です。言ってみれば不倫交際の後始末の問題です。 求償権請求の問題については、弁護士をつけずにCB二人が話し合って・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

ラブホテルに入ったけど不倫・不貞行為はしていない、何もなかった…で済まされるの?

ラブホに入って何もなかった?(はじめに) 不倫問題に関連して、「ラブホに入ったけど何もなかったって言うんです…。そんな言い訳って通用するんですか!?」というご質問を頂くことがあります。 「ラブホテルには行ったが、不貞行為(性交渉)はなかった」「不倫・浮気はしていない」などと言い訳されたら、どうしたらいいのでしょうか? ラブホテルに入った≒性行為があった 性行・・・

詳しく見る
  • その他

浮気・不倫・不貞…同じじゃない?弁護士が解説する3つの意味と違い(用語集)

パートナーの裏切りを表す言葉として、「浮気」「不倫」「不貞」という用語が使われます。 これらは一見同じように思えるかもしれませんが、それぞれの意味する内容やニュアンスは異なります。   民法には「不貞な行為」という表現が出てきます(770条)。 しかしそれが具体的に何なのかは、民法には規定がありません。 浮気、不倫についても、民法上の定めはありませ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料請求を取り下げてほしい…

はじめに Cさんは不倫がばれてしまい、不倫慰謝料を払えという連絡が届いてしまいました。 Cさんは、そのことを交際相手Bに相談しました。 するとBから『請求を取り下げてくれるように、妻Aには自分が頼んでみるから気にしなくていい、放っておいて大丈夫』と言われました。 …このような話を耳にすることも、ままあります。 本当にそのまま放っておいても大丈夫なのでしょうか・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料、一体いくら減額できる?減額交渉を有利に進める戦略ガイド

不倫の慰謝料を請求されたけれど、「高すぎる…本当にこの金額を払わないといけないの?」と、途方に暮れていませんか? 不倫慰謝料は、減額できる可能性は十分あります。   この記事では、慰謝料減額の可能性から、具体的な交渉戦略、有効な証拠の集め方、 示談書の注意点まで、徹底的に解説します。 弁護士に依頼すべきかどうかの判断基準や、よくある質問とその対策も・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050