別居中に堂々不倫する夫。不倫相手に慰謝料請求するときは? | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

別居中に堂々不倫する夫。不倫相手に慰謝料請求するときは?

別居後に堂々不倫

はじめに

「別居して冷却期間を置いているつもりだったが、いつの間にか夫が他の女性と堂々と交際しているようだ」といったケースもあります。

まだ籍を抜いていないのに、夫は夫婦関係が終わったものとして行動しているわけです。

こうした場合の不倫相手への慰謝料請求は、別居していることの影響を検討する必要があります。

前提知識:破綻後の不貞…慰謝料支払い義務なし

既婚者だと知って肉体関係を持った場合でも、婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、不倫慰謝料を支払う義務はありません。

なぜなら、既に破綻している以上、婚姻共同生活の維持という保護に値する利益が存在しないからです(最高裁平成8年3月26日判決)。

別居は不倫慰謝料請求にどう影響するの?

「別居して破綻した後のことだから、不倫慰謝料を支払う義務はない」と相手方から反論される可能性がありえます。

別居の趣旨

一口に別居と言っても、内実は単なる単身赴任にすぎない場合もあれば、離婚をほぼ合意済で近々籍を抜く予定がある場合もあります。

別居に至る経緯などの事情は様々です。

具体的な事情を踏まえて検討する必要があります。

別居前の不貞の証拠があるとき

別居前からの不貞の証拠があるのなら、「まさしくその不貞が理由で別居した」という再反論が可能になります。

そのため、不倫慰謝料は認められることになります。

別居前の不貞の証拠が無いとき

別居後に不倫相手に慰謝料請求したいという場合、別居前の証拠がないときが特に問題です。

別居=婚姻破綻を示す有力事情

単なる単身赴任や施設で療養中といった場合は別として、そうでないのに別居をしている場合は、婚姻破綻を示す有力な事情と裁判では捉えられる傾向にあります。

ただし、別居直後の不貞の証拠がある場合は、別居前から交際していたと推認できるかもしれません。

そのため、別居に至る経緯次第で、不貞慰謝料が認められる可能性が十分にあります。

一方で、別居後、長期間経過してからの不貞の証拠しかない場合はどうでしょうか。

この場合も別居に至る事実経緯が問題となりますが、婚姻破綻後の不貞行為として慰謝料の対象とならない可能性が大きいと言わざるを得ません。

理屈上は単なる一事情のはずですが…

理屈上は、別居は婚姻破綻を示す一つの事情にすぎないとも考えられます。

しかし、「夫婦仲に問題がないのに(しかも仕事の都合などの理由もなく)別居することはないはず」という考えも十分あり得ます。

そのため、裁判所が「別居した以上は破綻しているのでは?」という前提で判断する可能性があることは否定できません。

別居後不貞でも精神的苦痛はある…

たとえば、「一時的に冷却期間をおくための別居だったので破綻はなかった」というように、精神的苦痛が発生しており、したがって不倫相手が慰謝料支払い義務を負うべきであることを、説得的に主張立証していくことが必要です。

まとめ

不倫相手に慰謝料請求する場合、別居後の不貞の証拠しか入手できていないときには、注意が必要です。

理屈上は、別居しているから即婚姻破綻ということにはなりません。

しかし、特に別居後長期間経過した後の不貞の証拠しかない場合は、「別居した以上は破綻している、したがって精神的苦痛も発生しない」と裁判所が捉える可能性があることは否定できません。

別居後の不貞の証拠がバッチリ揃っているからといって、当然に慰謝料が認められるわけではありません。

その場合は、別居の事実経緯が、婚姻破綻によるものではないことや、別居したからといって婚姻が破綻したわけではないこと、したがって精神的苦痛が発生しているということを、裁判において説得的に主張立証していく必要があります。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • その他

不倫の誓約書を守らなかった場合どうなる?後悔しないためのトラブル解決ガイド

「不倫の誓約書に仕方なくサインしたけど、もし守らなかった場合どうなるの…?」 「サインさせても、もし守らなかったら、どうしたらいいの…?」    この記事では、「不倫発覚を機に誓約書(念書)を作成したが、これに違反した」場合に起こりうる法的責任やリスク、具体的なトラブル内容を弁護士が解説します。 誓約書に違反したらどうなるのか、 金銭や損害賠償の支・・・

詳しく見る
  • その他

不倫がバレるきっかけ、トップ3は?

はじめに そもそもどんなきっかけで、不倫がバレるのでしょうか? 不倫がバレたきっかけを当事務所のご相談内容から分析すると、トップ3はつぎのとおりでした。 ①交際相手が配偶者にスマホなどを見られた ②不倫を問い詰められた交際相手が認めた ③交際相手と一緒にいるところを探偵に撮られた ①交際相手がスマホなどを見られた… 知られたかもしれない情報 交際相手とのやり・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

肉体関係がなければ不倫慰謝料を払う義務はない?

はじめに 「肉体関係はないから、不倫慰謝料(不貞慰謝料)を払う義務もないですよね?」 そのようなご質問を受けることがあります。 確かに、不倫慰謝料を支払わなくてはいけない典型的なケースは肉体関係がある場合です。 しかし、「肉体関係がなければ慰謝料を支払う義務はない」とは限りません。 婚姻関係を破綻に至らせるような接触→慰謝料の可能性 不倫慰謝料請求は、民法の・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で略奪して同棲中。慰謝料請求されたらどうなる?

不倫慰謝料を同棲中に請求されたらどうなる? 不倫交際している相手と同棲しており、その配偶者から略奪しているような状態のことがあります。 (略奪というと穏やかではありませんが・・・) 「離婚していない彼氏(彼女)が浮気・別居して、あなたと同棲を開始した」という状況です。   「不倫関係を続けるうち、交際相手が配偶者と別居して、浮気相手であるあなたのも・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

不倫の違約金、ペナルティをつけることはできる?

はじめに 「今回の不倫については慰謝料50万円で手打ちにするが、二度と不倫しないように違約金を約束させたい」 「今は慰謝料ゼロでいい。ただし今度不倫したらペナルティを与えたい」 このようなご希望をいただくことがあります。   離婚せずに配偶者とやり直す選択をされた方にとっては、不倫相手に近づかせないのが再優先だからです。 違約金がペナルティの典型で・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫がバレて住所を教えろと言われたら?

はじめに 「不倫がバレて住所を教えろと言われています。教えないといけませんか?」 結論から言うと、相手方に住所を教える義務はありません。 しかし、住所を教えずにいればそれで済む、とは限りません。住所を教えるのも教えないのも、メリット・デメリットの両方があります。 もしあなたが弁護士に依頼すれば、相手方に住所を教えることなく解決できることもあります。 以下、細・・・

詳しく見る
  • その他

ダブル不倫の慰謝料はどうなるの?特殊性は?

W(ダブル)不倫の慰謝料問題は、各夫婦の中に加害者被害者両方がいるため、一人が一人に請求して終わりという訳にはいかない可能性があります。

詳しく見る
  • その他

不倫の求償権請求をするorされたときには弁護士をつけたほうがいいの?

  はじめに ABが夫婦で、Bの不貞相手がCだとします。 不倫慰謝料をAがCに請求し、その問題は決着がつきました。 その後でCがBに請求するのが、求償権の請求です。 求償権の請求は、不倫慰謝料を最終的にどちらがどれだけ負担するかという問題です。言ってみれば不倫交際の後始末の問題です。 求償権請求の問題については、弁護士をつけずにCB二人が話し合って・・・

詳しく見る
  • その他

不倫の慰謝料請求の時効は何年?期限延長方法などを弁護士が解説します

不倫・浮気の慰謝料請求の時効(はじめに) 不倫・浮気の慰謝料請求には一定の期限があります。 期限を過ぎて消滅時効が成立すると、慰謝料を請求する権利は消滅します。 ごく簡潔にいうと、以下のとおりです。   (1)不貞とその相手を知ってから起算して3年 (2)不貞があった時から起算して20年 (3)離婚成立から起算して3年(配偶者への請求) &nbsp・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

離婚合意後に不貞行為の慰謝料を請求された!?対策等を弁護士が徹底解説

「離婚するって聞いていたのに、奥さんから突然、不倫慰謝料を請求する内容証明郵便が届いた…」 「離婚で合意済のはずなのに、不倫慰謝料を支払わなければいけないの?」   「離婚に合意している」「離婚する」と聞いて交際していたら、その交際相手の配偶者から突然慰謝料を請求された、というケースがあります。 交際相手の言葉を信じていただけに、裏切られたような気・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050