不倫で略奪して同棲中。慰謝料請求されたらどうなる? | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

不倫で略奪して同棲中。慰謝料請求されたらどうなる?

不倫で略奪同棲 慰謝料請求されたら

はじめに

不倫で略奪というと穏やかではありませんが、不倫関係を続けるうち、交際相手が配偶者と別居して、あなたのもとに転がり込んできて同棲中、というようなケースも少なくはありません。

その後、交際相手の配偶者(=相手方)から不倫慰謝料を請求された場合、どうなるのでしょうか?

結論を先取りして述べれば、関係解消済みの場合に比べれば不倫慰謝料額が上がってしまう可能性がありますし、示談や和解、判決後にも関係を続けると、慰謝料をまた別途請求されてしまう可能性も出てきてしまいます。

以下、詳細を見ていきましょう。

同棲していること自体がそもそも不倫の証拠になる?

同棲は肉体関係の証拠になりうると考えられます。

一般論としては、年頃の男女が2人で同棲していれば、肉体関係があっても不思議ではない、という経験則があることは否定できません。

同棲と一言でいっても、いわゆるルームシェア・シェアハウスといったものもありますし、「物理的に一緒に住んでいれば即肉体関係が認められ、反論の余地はない」というわけではありません。

とはいえ、たとえば「家賃節約のためにワンルームマンションをシェアしているだけで肉体関係はない」と反論しても、(それが事実であろうとなかろうと)説得力に乏しいように思われます。

特に相手方から、あなたと交際相手が同棲する以前から親密であったことを示す証拠などが提出されると、「従来から親密であった上に同棲を始めたのだから、肉体関係はあるはず」と裁判官が考える可能性は高くなってしまうでしょう。

略奪して同棲していると、不倫慰謝料額は高くなってしまうの?

不倫の末、略奪して同棲するに至っている場合は、不倫慰謝料額は高くなる傾向にあります。

ただしその前に婚姻関係が破綻していれば、不倫慰謝料を支払う義務はありません(既に婚姻関係が破綻していた場合、そもそも略奪とは言えないかもしれませんが)。

そのため、不倫・略奪と婚姻破綻のどちらが先であったのか、という点で激しい争いとなることもしばしばあります。

相手方の精神的苦痛が現在も拡大し続けていることになります。

同棲中←関係解消済と比べ、侵害期間が長い

略奪した交際相手と同棲しているということは、「交際相手と相手方との婚姻生活の平和を、あなたが日々侵害し続けている」と裁判官に評価されてしまいます。

したがって、例えば「不貞行為を2カ月間続けたが今は交際解消済み」というケースと比較すれば、略奪・同棲中の場合のほうが、どうしても不倫慰謝料額は高くなってしまいがちです。

2カ月で解消した場合と比べれば、現在同棲中の方が侵害期間は長い(侵害の程度が大きい)からです。

同棲中←「同居しており破綻していない」とは言えなくなる

「不貞行為2カ月間、今は交際解消済。相手方は夫婦で同居しており離婚しない」というケースと比べると、「略奪して同棲を続けていることで、あなたが実質的に婚姻を破綻させた」と裁判官に評価されてしまう可能性が高くなります。

婚姻破綻していないことは慰謝料の減額要素になりえます。

そして相手方が同居中の場合なら、「同居中であり婚姻破綻しているわけではない」という反論も考えられます。

しかし、自分が現に同棲しているのですから、そのような反論はできなくなってしまいます(破綻していないと言いづらくなってしまいます)。

その結果、不倫慰謝料の額は高くなってしまう傾向にあります。

破綻後の不倫なら…

もっとも、不倫より前に婚姻関係が破綻していた場合には、形式的に略奪したように見えても、不倫慰謝料を支払う義務はありません。

この場合、保護すべき婚姻生活の平和が存在していないからです。

略奪と婚姻破綻、どっちが先?

略奪前の破綻…具体的事情を挙げて反論を

婚姻破綻後の不倫であるという反論は、非常によくあるものです。

したがって、具体的事情を挙げて説得的に述べない限り、(言葉は悪いですが)裁判官に聞き流されてしまいます。

破綻後だと言いうる典型例は、交際相手と相手方が離婚前提に別居を開始した後で不倫が始まったという場合です。

単なる単身赴任というだけでは不十分です。この場合,「夫婦関係(家庭)を維持するために、仕事で単身別のところに住んでいる」というだけのことであり、一緒に住んでいないという事実は夫婦関係破綻を示すものではないからです。

もっとも、不倫慰謝料金額を裁判官が決めるにあたっては諸々の事情が考慮されます。

そのため、厳密な意味で破綻といえるかどうか微妙な場合でも、夫婦仲が相当悪かったことを示す事実を説得的に主張することができれば、不倫慰謝料額をゼロにはできないまでも、減額材料にはなりえます。

すなわち、「仮にこの不倫がなかったとしても、既に夫婦仲が悪く、離婚に至る可能性が高い状況だった」という場合、不倫・略奪による損害が小さいと判断され、慰謝料が減額される可能性はありえます。

略奪後の同棲。強制的に同棲を解消させられる可能性はあるの?

同棲の強制的解消は、可能性としては低いです。

妻が同棲の差止めを求めて女性を訴えたという事件があります。

この事件では、同棲の差止めは認められませんでした(大阪地方裁判所平成11年3月31日判決)。

裁判所は、「差止めは、相手方の行動の事前かつ直接の禁止という強力な効果をもたらすものであるからこれが認められるについては、事後の金銭賠償によっては原告の保護として十分でなく事前の直接抑制が必要といえるだけの特別な事情のあることが必要である」と述べたうえ、夫婦のこれまでの経緯を踏まえると、「同棲することによって…平穏な婚姻生活が害されるといった直接的かつ具体的な損害が生じるということにはならない」として、差止めを認めなかったのです。

不倫慰謝料問題と離婚問題を一緒に解決できる?

交際相手とあなたがある意味一緒になって相手方と協議を進め、交際相手と相手方との離婚問題と、相手方とあなたとの不倫慰謝料問題とを一緒に解決する、ということもあり得なくはありません。

法律的に見れば、不倫慰謝料について、あなたと交際相手とは連帯債務を負う関係にあります。

そのため、慰謝料の点について「連帯して●円を払うから」と協議することそれ自体はおかしなことではありません。

そうした協議を進めるなかで、相手方が婚姻継続を断念する方向になってくる可能性があるかもしれません。

まとめ

「略奪した交際相手と現在同棲している」となると、肉体関係を持った(不貞行為をした)だけの場合とは、事情が変わってくることがあります。

「不貞行為をしたが今は交際解消済み」ということなら、婚姻生活の侵害行為がなされたことそれ自体は過去のことです。

しかし、略奪している・同棲しているとなれば、現に侵害している・破壊していると評価されうるからです。

また、「相手方はまだ同居中で婚姻破綻していない」という慰謝料減額要素を使えなくなってしまいます。

すなわち、破綻していないと言いづらい状況になります。

一般論として、不倫・略奪が婚姻関係破綻後であれば、不倫慰謝料を支払う義務はないということになります。

厳密に破綻後だといえなくても、関係を持つより前から夫婦仲が相当悪かったということを立証できれば、不倫慰謝料の減額材料となり得ます。

相手方は離婚せず、あなたのほうでは和解・判決後に同居を続けるような場合には、慰謝料を再度請求されてしまうリスクもあります。

このように、略奪・同棲を理由に相手方から不倫慰謝料を請求された場合には、そのような事情がない場合と比べると、対応が難しくなる傾向にあります。

そのため、経験豊富な弁護士に相談のうえで進めていくことをお勧めします。

(参照)不倫慰謝料を請求されたとき、弁護士に依頼するメリット

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • 不倫慰謝料を請求された

電話で弁護士から不倫を問い詰められた…今後どうしたら?

はじめに 「携帯電話に見知らぬ番号の着歴があったので、不審に思いつつ折り返すと法律事務所だと言われた。弁護士と名乗る人物が電話口に出て来て、慰謝料請求すると言って不倫の詳細を高圧的に問い詰めてきたので、とても怖い思いをした…」 そんな方も少なからずいらっしゃいます。 電話でいきなり言われて、思わず不倫を認めた方もいらっしゃるでしょう。 とりあえずその場は何と・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

旦那にバレずに、不倫慰謝料を不貞相手に請求できる?

はじめに 「旦那にバレずに不倫慰謝料を請求できますか?」 このようなご相談を頂くことがあります。 「不貞相手へ不倫慰謝料を請求しているなんて知られたら、夫から怒られたり揉めたりするのでは・・・」 「不貞の証拠を集めるためとはいえ、探偵をつけていたなんて夫に知られたら離婚になるのでは・・・」 そういった心配からのご質問のようです。 「夫と離婚するつもりはないが・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で示談書などを書かされた。内容に納得できない、どうしたら…

はじめに 「不倫の件で示談書(念書、誓約書など。)を相手方(=交際相手の夫・妻)に書かされた、どうしたらいいですか?」 「交際相手に一切接触するなというのは構わない。でも示談金500万円なんて…」 このようなご相談も多く寄せられます。 不倫がバレて相手方から呼び出されると、色々と問い詰められます。 「書くしかない」「とにかく書かないと許してもらえない」 そう・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料を請求されているのに彼から連絡が…。返事しても大丈夫?

はじめに 「不倫慰謝料200万円を払え、今後一切夫と連絡するな」という要求をされているその最中に、当の夫(=あなたの交際相手)から連絡が入ることもあります。 相手方(=交際相手の妻)から連絡するなと言われているのに、連絡を取ってしまっても大丈夫なのでしょうか? そもそも何の用事で連絡してきたの? 交際相手からの連絡といっても、その内容はさまざまです。 「妻が・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫期間で嘘をついたと責められています。どうしたらいいですか?

はじめに(架空設例) 「不倫がバレて、交際相手の奥さん(=相手方)から呼び出されました。実は肉体関係を3年ほど続けていたのですが、2か月前からだと嘘をつきました。今後一切連絡しない、連絡したら300万を払うという誓約書を書かされましたが、示談書を取り交わしたり慰謝料を支払ったりすることはなく、その時はそれだけで話は終わりました。ところが後日、嘘がバレてしまっ・・・

詳しく見る
  • その他

不倫慰謝料の示談書(請求側・される側双方の視点から)

はじめに 不倫慰謝料問題について話し合って示談することになったら、双方で約束したことを書面にまとめることになります(示談書)。 示談書は示談の証として作成するものですが、その内容や作成経緯によっては、後になって有効性が争いになることもありえます。 はじめに示談書について簡単に説明します。 その後、不倫慰謝料を請求された側/請求する側それぞれの視点から、どのよ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で内容証明が届いたら、どうすればいい?

はじめに 不倫がバレて内容証明が相手方(=交際相手の妻/夫)から届くと、不安でいっぱいになります。 「とてもこんな金額は払えない…」 「すぐ訴えられてしまうの…?」 「どうしよう、職場や自分の家族にバラされるかも…」 そんな思いで仕事や家事も手につかないことでしょう。 でも、内容証明が届いたときにきちんと対応していけば、その不安な気持ちを解消して問題解決に向・・・

詳しく見る
  • その他

不倫でも本気だった…離婚しない交際相手に慰謝料請求できる?

はじめに Aに配偶者Bがいることを知っているけれど、「Aはもうすぐ離婚できるみたいだ、そうしたら自分と結婚してくれる」と思って交際を続けているCさんがいるとします。 このCさんのように、既婚者である交際相手Aから「離婚してあなたと結婚するつもりだ」と聞かされていたのに、全く離婚の話が進んでいる様子がなく、聞いてもはぐらかされてしまう。結果として何年も付き合っ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

不倫の違約金、ペナルティをつけることはできる?

はじめに 「今回の不倫については慰謝料50万円で手打ちにするが、二度と不倫しないように違約金を約束させたい」 「今は慰謝料ゼロでいい。ただし今度不倫したらペナルティを与えたい」 このようなご希望をいただくことがあります。 離婚せずに配偶者とやり直す選択をされた方にとっては、不倫相手に近づかせないのが再優先だからです。 違約金がペナルティの典型です。 たとえば・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

肉体関係がなければ不倫慰謝料を払う義務はない?

はじめに 「肉体関係はないから、不倫慰謝料(不貞慰謝料)を払う義務もないですよね?」 そのようなご質問を受けることがあります。 確かに、不倫慰謝料を支払わなくてはいけない典型的なケースは肉体関係がある場合です。 しかし、「肉体関係がなければ慰謝料を支払う義務はない」とは限りません。 婚姻関係を破綻に至らせるような接触→慰謝料の可能性 不倫慰謝料請求は、民法の・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050