不倫慰謝料を請求されたけど払えない、どうしたらいい? | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

不倫慰謝料を請求されたけど払えない、どうしたらいい?

はじめに

「不倫で慰謝料300万円を請求された、とてもそんな額は払えない・・・」

「不倫慰謝料500万円と興信所の費用200万だなんて、払えないに決まってるじゃない・・・」

不倫で慰謝料を請求されたが払えない、というご相談が寄せられることも多いです。

悪いことをしたのは自分だからと思ってはいても、払えない金額を突きつけられて、途方に暮れてしまっているかも知れません。

不倫慰謝料を請求されたが払えないという場合、どうしたらいいのでしょうか?

不倫慰謝料請求に応答しないままでいると?

不倫慰謝料請求に応答しないまま放っておくという人も、現実問題として多いようではあります。

「そんな額は払えない」という無言の意思表示なのでしょう。

その場合、その後はどのような展開になってくるでしょうか?

相手方本人からの請求

不倫慰謝料を相手方本人(交際相手の配偶者本人)が請求してきており、あなたが不倫慰謝料請求に応答しなかったとします。

するとどうなるでしょうか?

一つの可能性としては、相手方が、あなたがどこに住む(どこで働く)誰なのか特定が困難であったり、請求を次の段階に進めるためのコスト負担を嫌がったりするかもしれません。

その結果、そのまま不倫慰謝料請求が滞ったままになる(言ってみれば有耶無耶になる)ということも、ありうるかもしれません。

「不倫は許せないが、かといって自分でお金をかけて弁護士に依頼すると損してしまうかもしれない・・・」

たとえば相手方がそう考えたとします。

すると、弁護士に依頼していないので法的手段(訴訟提起)が困難、かといって請求し続けようにもどうにもならない、ということになるかもしれません。

(備考)相手方が調停を申立ててくる可能性はありえます。もっとも、調停に出席する義務はありませんし、出席したとしても話がまとまらなければ不調で終了します。

他方、相手方が「このままの勢いでガンガンと色々要求していればいずれ折れてくるかもしれない」とばかりに、要求や連絡をし続けてくる可能性もあります。

そうした要求に根負けしてしまうかもしれません。

あなたが弁護士を付ければ、これに対抗することができます。

相手方も、あなたが弁護士に依頼したことへの対抗として、弁護士への依頼を考えざるをえなくなってくるものと思われます。

すなわち自分も弁護士をつけて不倫慰謝料請求を進めていくか、あるいは請求を事実上断念するか、を考えることになってくるでしょう。

(備考2)相手方が妥当な水準まで金額を下げて来てあなたも承諾する場合には、相手方とあなたの弁護士との間で、示談がまとまる可能性があります。もっとも、相手方が示談書を取り交わしたくないと言い出したり、示談書の文言で争いが残ったりする場合などには「金額で一応折り合いがついたようだが結局示談がまとまらない」ということもありえます。

弁護士からの請求

不倫慰謝料の請求が弁護士・法律事務所から来ている場合があります。

弁護士から内容証明が届いていたり、電話が掛かってきたりしたケースです。

あなたが応答せず放っておくと、ほぼ確実に訴訟を提起されてしまいます。

訴訟を提起されたのに(裁判所から訴状が届いたのに)なおも放っておくと、相手方の言い分どおりの判決が下される可能性もあります。

ずっと逃げていれば大丈夫??

「このまま無視していたら逃げ切れますか?とても払えないので・・・」

「自分はお金もないし、放っておいても大丈夫ですよね?」

たまにそのように相談されることがあります。

前述のとおり、いろいろな事情で、相手方が不倫慰謝料請求を諦める可能性もなくはありません。

しかし、仮に諦めず段階を進めてきたら、最終的に判決を取られて強制執行される可能性もありえます。

また別の問題として、相手方が「誠意が無い」と受け止めて、事実上の報復をしてくるかもしれません(ex.自宅や職場に怒鳴り込んでくるなど)

不倫慰謝料請求を無視したりせずに、きちんとした解決を目指して誠実に対応すべきです。

(備考3)誠実に対応するというのは、相手方のいう金額をそのまま丸呑みすることではありません。客観的にみて相当な金額(示談交渉不調なら最終的に裁判官が妥当と判断する額)をきちんと支払うことがその中核です。

不倫慰謝料等の減額

不倫慰謝料として相手方から請求されている金額が、いわゆる相場に照らして妥当な金額であるとは限りません。

「請求されている不倫慰謝料を払えない・・・」

そういう前に、請求されている不倫慰謝料の額自体が妥当かどうか、減額余地がないかどうかを検討すべきです。

もっとも、請求された不倫慰謝料を減額するためには、あなたにとって有利な材料を主張していく必要があります。

(備考4)たとえば、相手方が離婚していないこと、不貞期間が短いこと、不貞回数が少ないことなどです。

あなた自身がそういう主張をしても、相手方と話にならないこともしばしばあります。

「加害者のくせに、盗人猛々しい」

などと言われて言い分を聞いてもくれないことは、よくあります。

挙げ句の果てには相手方を何とかなだめようとするあまり、要求を飲んでしまう羽目になることもあります。

話にならなさそうな場合は、それ以上自分で無理に交渉しないで、弁護士を付けて対抗するべきです。

自由意思で示談したのなら、その内容は原則有効とされてしまうからです。

(備考5)「相手方の怒りを静めるために要求を飲まざるを得なかった」としても、単にそれだけで、ただちに自由意思では無かった(無効だ)ということにはなりません。

不倫慰謝料等の分割払い

「不倫慰謝料を分割払にできるでしょうか?」

そういうご質問を受けることがしばしばあります。

答えは「相手方が了承してくれるのなら可能。してくれなければ不可能」です。

不倫慰謝料の分割払いは、示談交渉で相手方が了承しない場合もよくあります。

それでも、訴訟になった後の和解交渉では、裁判官の口添えもあって、分割払いに応じてくることもあります。

もっとも、和解交渉がまとまらず判決となれば、一括払いとなります。

なお、相手方から請求された金額を払えないからといって、すぐにその額を前提にした分割払いを打診するのは考え物です。

その後で不倫慰謝料を減額しようとしても、相手方から「金額自体はOKしたはずだ」と言われてしまう可能性も高いからです。

不倫慰謝料を払えない場合の対処方法

示談交渉

不倫慰謝料として請求されている金額を減額するために、あるいは(その上で)分割払いを打診するべく、相手方と話し合いを試みましょう。

「話し合いがまとまらなかったらどうしよう・・・」

気持ちは分かりますが、ここでそんな心配をしても仕方がありません。

話がまとまらなければ、相手方が他の手段で請求してくるかもしれません。

たとえば、弁護士をつけてくる、訴訟提起してくる、調停を申立ててくるなどです。

このような次の段階で、不倫慰謝料の減額なり分割払いを実現できるよう、努力していくことになります。

(備考6)むしろ相手方のほうが「話し合いをまとめるなり何なりしないと、不倫慰謝料を回収できない」と心配すべき立場にあります。

(備考7)上述のとおり、相手方がコスト負担等を懸念して、他の手段による請求をしてこない可能性もあります。

訴訟

示談交渉では、相手方が相場外れな不倫慰謝料額に固執していることもしばしばです。

訴訟では、裁判官が、様々な事情を考慮して不倫慰謝料の額を判断することになります。

その結果として、いわゆる相場の範囲に落ち着いてくることが多いです。

つまり訴訟では、裁判官が関与する結果、適正な範囲での解決を図ることが可能になってきます。

さらに、裁判官が、分割払いになるよう口添えしてくれるかもしれません。

「裁判官が判決を下すよりも、原告(相手方)にも譲歩してもらって双方納得のうえ和解したほうが、被告(あなた)がきちんとお金を支払ってくる可能性が高いのではないか」

たとえばそのように、裁判官が原告を説得してくれる可能性があります。

もっともそのためには、自分の言い分を整理して裁判官に伝えることが必要です。

経験豊富な弁護士に依頼すべきでしょう。

自己破産

自己破産をして免責を受けると、債務を支払う責任がなくなります。

ただし「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は非免責債権=破産免責を受けても支払う責任が残る、とされています(破産法253条)。

不倫慰謝料を支払う債務は非免責債権に該当しないと判断した裁判例が散見されます。

(言い換えれば、破産免責により不倫慰謝料を支払う責任もなくなる、という意味です)

ただし「婚姻関係に対し社会生活上の実質的基礎を失わせるべく不当に干渉する意図があった」場合には非免責債権になる、と示唆する裁判例もあります(東京地裁R2.11.26)。

「自己破産すれば不倫慰謝料を支払う必要がなくなる可能性は高い。しかし、必ずそうなるとまではいえない」

というように捉えておくべきでしょう。

まとめ

不倫慰謝料を請求されて払えないからといって、そのまま何の対応もせず放置することは避けるべきです。

また、請求された額そのままで分割払の話をするのも考え物です。

請求された額から減額したり、支払方法を分割払いにしたりすることを目指していき、きちんとした形で解決できるよう試みていきましょう。

示談交渉の段階で、相手方が不倫慰謝料の減額や分割払を拒んでいたとしても、訴訟では裁判官の介入により適正な範囲まで減額が実現できる可能性が高いです。

また、裁判官の説得により分割払が実現する可能性もありえます。

不倫慰謝料を請求されて、自分で相手方と交渉してみたものの話にならないというときは、それ以上無理して交渉を続けても不利になる(押し切られてしまう)可能性が高いです。

経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

関連記事 弁護士に依頼するメリット

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • その他

不倫慰謝料事件が終わるまで時間はどれくらい掛かるの?

はじめに 不倫慰謝料事件が解決するまでには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。 不倫慰謝料を請求するにせよされているにせよ、どうしても気になるところでしょう。 不倫慰謝料の標準的なケースではどれくらい時間が掛かるのか、以下で見ていきましょう。 実際には、相手方のキャラクターや対応に左右される部分も大きいです。 予想よりも時間が掛かってしまったり、話が全く・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料を請求された…してはいけない行動4つとその理由とは?

はじめに 不倫がバレて慰謝料を請求されてしまいました。 「自分はこれからどうなってしまうの、訴えられるの?」 「こんな金額、払えない…」 「夫にバレないように解決できるの?」 不安ばかりが先に立って、気が動転してしまうのも無理はありません。 まず、何よりも「これだけはやってはいけない」ということを知っておきましょう。 不倫慰謝料を減額して解決していく道が開け・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料をいくら払える?法律事務所から回答書が届いたら

回答書が同封されていることも 回答書=不倫慰謝料額などの希望を回答する書面 「回答書」というようなタイトルの書面が不倫慰謝料請求の通知書と一緒に同封されていて、法律事務所へ返送するよう求められることもあるようです。 (便宜上、以下では回答書の呼び方で統一します) 「不倫慰謝料をいくらなら払うつもりがあるのか、どういう形で払えるのか(一括、分割)を教えてほしい・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫バレして誠意を見せろと言われたら?

「誠意を見せろ」などと抽象的な要求を受けたとき、要求を具体的に特定せず進めてしまうと、後から追加で請求を受けてしまうなど重大な不利益を被ってしまう可能性もあります。

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

風俗嬢に不倫慰謝料を請求できるの?

はじめに 夫のお気に入りの風俗嬢に不倫慰謝料を請求することはできるのでしょうか? 「単に客から指名されたのでサービスを提供しただけだ」 風俗嬢の立場から言えば、そのようにもいえそうです。 裁判例でも、店内での肉体関係について、不倫慰謝料は発生しないとしたものがあります。 もっとも中には、風俗嬢が店外で夫と不貞関係を持っているというケースもしばしば見受けられま・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

別居中に堂々不倫する夫。不倫相手に慰謝料請求するときは?

はじめに 「別居して冷却期間を置いているつもりだったが、いつの間にか夫が他の女性と堂々と交際しているようだ」といったケースもあります。 まだ籍を抜いていないのに、夫は夫婦関係が終わったものとして行動しているわけです。 こうした場合の不倫相手への慰謝料請求は、別居していることの影響を検討する必要があります。 前提知識:破綻後の不貞…慰謝料支払い義務なし 既婚者・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

不倫相手が未成年。慰謝料は誰に請求できる?

はじめに 不倫相手が未成年というと「えっ?」と思われるかもしれません。しかし、「女子高を出て新卒で入ってきた子に夫が手を出していた」、「大学職員である妻が、大学生と肉体関係を持っていた」というケースもありえます。 あなたが不倫慰謝料を請求するとして、いかにもお金の無さそうな未成年の不倫相手本人に請求するしかないのでしょうか。お金を持っていそうな親に請求できな・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

「交際相手にも求償放棄してもらいたい」と要求できる?

求償放棄とは 不倫慰謝料を、交際相手の妻(=相手方)から請求されたとします。 そして、交際相手に対する求償権の放棄も要求されたとします。 ここでもし、あなたが次の内容で相手方と約束したとします。 「相手方に不倫慰謝料100万円を支払う。求償権を放棄する」 この場合あなたは、その100万円について、交際相手に対し請求することができなくなります。 不倫慰謝料10・・・

詳しく見る
  • その他

貞操権侵害で慰謝料を請求されたら?交際トラブルの対処

はじめに 「交際相手から、貞操権侵害による慰謝料を請求された・・・」 貞操権という言葉を初めて聞いた人も多いかも知れません。交際相手の弁護士からの内容証明や裁判所からの訴状に書かれていて初めて知った、という場合も多いでしょう。 貞操権侵害とはそもそも何なのでしょうか。慰謝料を支払う義務は本当にあるのでしょうか。慰謝料を請求された場合の対処についても解説してい・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

電話で弁護士から不倫を問い詰められた…今後どうしたら?

はじめに 「携帯電話に見知らぬ番号の着歴があったので、不審に思いつつ折り返すと法律事務所だと言われた。弁護士と名乗る人物が電話口に出て来て、慰謝料請求すると言って不倫の詳細を高圧的に問い詰めてきたので、とても怖い思いをした…」 そんな方も少なからずいらっしゃいます。 電話でいきなり言われて、思わず不倫を認めた方もいらっしゃるでしょう。 とりあえずその場は何と・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050