旦那にバレずに、不倫慰謝料を不貞相手に請求できる? | 慰謝料請求に強い弁護士

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慰謝料コラム

旦那にバレずに、不倫慰謝料を不貞相手に請求できる?

旦那にバレずに請求できるか

はじめに

「旦那にバレずに不倫慰謝料を請求できますか?」

このようなご相談を頂くことがあります。

「不貞相手へ不倫慰謝料を請求しているなんて知られたら、夫から怒られたり揉めたりするのでは・・・」

「不貞の証拠を集めるためとはいえ、探偵をつけていたなんて夫に知られたら離婚になるのでは・・・」

そういった心配からのご質問のようです。

「夫と離婚するつもりはないが、不貞は許せない。不貞相手にはきちんと責任を取ってもらいたい」と考える方から、質問されることが多いです。

(備考)以下のコラムは、不倫慰謝料を請求したい方に向けたものです

(参照)「不倫慰謝料請求をされたが自分の夫には知られたくない」 という方は、このリンク先の別コラムをご参照ください。

夫に「不貞相手に不倫慰謝料請求を始める」とわざわざ伝える必要はありません。

不倫慰謝料の請求開始にあたって、夫に連絡を取らないよう不貞相手に要求すれば、不貞相手が要求に従って夫にバレない可能性はあります

しかし、不貞相手が要求に従わず夫と連絡を取る可能性を、完全に排除することはできません

以下、もう少し細かく見ていきましょう。

旦那に不倫慰謝料請求のことを伝える必要はあるの?

ありません。

不倫慰謝料を請求できる相手方は、夫と不貞相手の二人です。

あなたとしては、二人両方に対して慰謝料を請求することもできます。

不貞相手だけ、あるいは夫だけに請求することも可能です。

あなたが不貞相手にだけ請求したいと決めたのであれば、不倫慰謝料請求事件の当事者となるのは、あなたと不貞相手の二人です。

あなたがそう決めた以上、夫はこの事件の当事者ではありません。

「不貞相手に対して不倫慰謝料請求をする」と夫に伝える必要もありません。

(参照)不倫慰謝料とは

旦那に不倫慰謝料請求のことを伝えてはいけないの?

ダメという訳ではありませんが、接触リスクを高める可能性があります。

「旦那に不倫慰謝料請求のことを伝える必要はない」と先ほど述べました。

だとしても、伝えていけないわけではありません。

不倫慰謝料を不貞相手にだけ請求するという場合、夫に不貞相手との交際を止めさせたいというケースも多いかと思われます。

夫に「バレているからもう交際を止めろ」と釘を刺す趣旨で、不倫慰謝料請求のことをあえて夫に伝えるということもありうるでしょう。

もっともこの場合、不倫慰謝料請求のことを知った夫が不貞相手に、あなたの動向に関する情報を流したりする可能性も考えられます。

「これから不倫慰謝料請求を始めるようだ」

「弁護士を付けてまで請求するつもりはなさそうだから放っておけば大丈夫」

といったように、です。

夫に不倫慰謝料請求のことを伝えた結果、仮に不貞相手からは夫に接触してこなくても、夫のほうから不貞相手に接触していくかもしれません。

その点には注意が必要でしょう。

不貞相手から旦那にバレる可能性はある?

バレる可能性はあります。

「旦那に不倫慰謝料請求のことを伝えなかったとして、不貞相手から旦那にバレてしまうことはありますか?」

その可能性はありえます。

しかし、夫にバレずに、不倫慰謝料請求の手続きが終わることもあります。

この点は結局のところ、メリットとデメリットを比較するしかありません。

メリット:不貞相手に不倫慰謝料請求をすることで、利益が見込める。

…不倫慰謝料の回収、接触禁止約束の取り付け、「許せないこの思いを不貞相手に分からせたい」という気持ち的な問題、など。

デメリット:夫にバレるかもしれない。

…バレたとしたら、どういう危険性がどこまで具体的になりそうなのか。

この2つを天秤に掛けて、判断するしかありません。

「不貞相手に請求していることを、天地がひっくり返っても絶対に夫に知られたくない」

その場合、そもそも不貞相手に慰謝料を請求しなければよいだけの話です。

あえて不貞相手に請求をしたいというのは、それによって何らかの利益を得たいからのはずです。

ノーリスクで利益を得ることはできません。

「リスクがこの程度なら不貞相手へ請求してみよう」

「こういう懸念があるので請求自体止めておこう」

このように検討してみるほかないのです。

どうして不貞相手から旦那にバレる可能性があるの?

不倫慰謝料請求をするにあたって、不貞相手に「夫に連絡しないように」と伝えたとします。

それでも、不貞相手が不倫慰謝料請求を受けたという事実を夫に伝える可能性は残ってしまいます。

どうしてなのでしょうか。

理由①:どういう状況なのかを知りたい

例①:請求されているのは自分だけなのかを知りたい

不貞相手としては、不倫慰謝料を突然請求されて動揺しています。

請求されているのは自分だけなのか、(あなたの夫と)二人ともなのか、まずどういう状況なのか知りたいと思うでしょう。

もちろん、それをあなたに直接聞くのは憚られます。

その結果、夫に尋ねてくることがしばしばあります。

例②:離婚方向なのかどうかを知りたい

不倫慰謝料の相場は、あなたが離婚するかどうかでかなり影響を受けます。

不貞相手としては、あなたが本当に離婚するつもりなのかそうでないのか、知りたいのです。

それを探るために、あなたの夫に接触してくることがあります。

離婚しなさそうなのであれば、あなたからの請求に対して減額材料に使えるからです。

理由②:あなたの夫を介してあなたに働きかけたい

不貞相手が、夫に、あなたを説得してもらいたいと連絡してくることがあります。

「貴男から話して、不倫慰謝料請求を取りやめるように説得してくれないか」

そのために、夫に連絡してくるかもしれません。

理由③:お金を工面してほしい

不貞相手に、まとまったお金がないこともあります。

「そんな額の不倫慰謝料はとても払えない。たまたま自分だけ請求されているが、貴男のせいでもある。だからお金を工面して欲しい

こういうことで、夫に連絡してくることがあります。

その他(補足)

不貞相手が、交際継続を希望している場合があります。

「貴男は奥さんとすぐ離婚できると説明していたでしょう。奥さんに不貞がバレたのだから、これを機会にきちんと離婚話を進めて欲しい

このように言って、夫に連絡してくることもありえます。

仮に、示談交渉が決裂して訴訟となった場合には、不貞相手が夫に訴訟告知したり証人申請したりする可能性があります(後述)。

その結果として、夫に、不倫慰謝料請求について知られてしまうこともありえます。

さらに、不貞相手が不倫慰謝料をあなたに支払い、その後にあなたの夫に対する求償権を行使することがあります。

そうなると、あなたが不倫慰謝料を不貞相手から回収したことを、夫が知ることになります。

不貞相手から旦那にバレない可能性もある?

あります。

不貞相手が、不倫慰謝料請求を受けた事実を夫に告げないまま、解決に至る。

そういうことも、しばしばあります。

特に、不貞相手と夫とが既に交際解消済の場合です。

「もしこれからあの人に接触したとなると、相手方(あなた)をさらに怒らせてしまうかもしれない。それよりは穏便に話し合っていきたい」

そのように不貞相手が考えて、夫への接触を控えてくることもあるからです。

このあたりは、不貞相手のキャラクターなどに左右されます。

「不貞相手と夫とが交際解消しておらず、今も連絡を取り合っている」というような場合もあります。

その場合、不貞相手としては、夫への連絡に心理的抵抗があまり無いことになります。

そのため、状況を知りたい、お金を用立てて欲しいといった理由で、夫に連絡してくる可能性も高いでしょう。

訴訟告知、証人申請、求償権行使について

訴訟告知

示談交渉段階では、不貞相手は、夫に連絡をしていなかったとします。

その場合でも、示談交渉決裂によりあなたが訴訟を提起した後は、不貞相手が夫に訴訟告知をする可能性があります。

訴訟告知というのは、「あなたと不貞相手との間で裁判があり、今ここまで進んでいる状況だ」というのを、裁判所を介して不貞相手が夫に知らせることです。

裁判所から夫に訴訟告知が届くと、あなたが不貞の件で不貞相手を訴えているということが、夫にバレることになります。

(参照)訴訟告知については、こちらのコラムをご参照ください。

証人申請

不貞相手に訴訟を提起すると、その後、裁判官を介した和解交渉が始まることが多いです。

和解交渉がまとまらないと、裁判は尋問・判決の方向で進むことになります。

尋問というのは裁判官の目の前で質問されることです。

当事者(原告:あなた、被告:不貞相手)が尋問されるだけで終わるとは限りません。

被告が、あなたの夫を証人として尋問したいと要求することがあります(=証人申請)。

裁判所がこれを認めると、夫は証人として法廷に呼び出されます。

そうなれば、あなたが不貞相手に慰謝料を請求していることが、夫にバレることになります。

もっとも実際には、夫が証人として呼ばれることもなく終わるケースも多いように思われます。

(備考2)夫を証人として採用するかどうかは、裁判所が決めることです。不貞相手が証人申請したからといって、確実に夫が呼び出されるとは限りません

求償権行使

仮に、不貞相手があなたに不倫慰謝料100万円を支払ったとします。

その後不貞相手は、夫に対して、その一部を支払うように要求することができます(=求償権行使)。

もともと不倫慰謝料は不貞相手と夫の二人があなたに対して負担すべきものです。

不貞相手が支払った100万円というのは、実質的に夫の分を立て替えていることになるからです。

もし不貞相手が夫に求償権行使をすると、夫は、あなたが不貞相手から慰謝料100万円を受け取ったことを知ることになります。

(参照)求償権については、こちらをご参照ください。

対策

訴訟告知について、不貞相手が夫に訴訟告知するケースとしないケースとでは、どちらが多いでしょうか。

どちらかというと、訴訟告知しないケースのほうが多いような印象ではあります。

とはいえ訴訟告知を確実に避けたいのであれば、訴訟提起前の示談交渉段階でまとめるべきだ、ということになります。

証人申請については、先に述べたように、夫を尋問せず終わることも実際上多いように思われます。

裁判官に、夫を尋問する必要はない、と主張して説得することが重要です。

不貞相手が求償権を行使した場合も、不貞相手に慰謝料請求していたことが夫にバレてしまいます。

それを避けるには、不貞相手との交渉の中で、求償権を放棄するよう求めていくことが必要となります。

「不貞相手は求償権を放棄していない。しかし、求償権を行使しなかった」

そういうことも、もちろんありえます。

権利を持つ者が権利を行使するかしないかは、その人の自由だからです。

しかし不貞相手が女性の場合、あなたの夫より収入が低いことも多いでしょう。

そのためか、自分の実質的負担を低減させるべく、求償権を行使してくるケースのほうが多いように思われます。

そして不貞相手に求償権を放棄させるには、その代償として、不貞相手が支払う慰謝料額自体を減額するといった対応が求められることも多いでしょう。

もしあなたが、相場より高額な慰謝料を払えと強く要求し続けていったとします。

その場合、不貞相手が話し合いに応じてこなくなって、訴訟せざるを得なくなるかもしれません。

あるいは「こんな大きな金額を払わされるのなら…」ということで、不貞相手が、求償権放棄に応じてこなくなるかもしれません。

「不貞相手に慰謝料請求していることは夫にバレたくない」というのを優先するのであれば、不貞相手との交渉の進め方についても注意が必要です。

「どうしても旦那に不倫慰謝料請求のことを知られたくない・・・」

不貞相手としては、あなたから言われたとおりの金額を支払う義務はありません。

訴訟で裁判官の公正な判断に委ねるという選択肢もあります。

「あなたの不貞相手に対する損害賠償請求権が有るか無いか、有るならいくらが妥当か」

その点について、あなたと不貞相手が真剣に争っていくことになるわけです。

あなたが離婚するかどうか、あるいは不貞前に婚姻が破綻していなかったかどうかといった点は、不倫慰謝料額を決定するにあたって重要な要素になります。

不貞相手が夫に接触して状況を確認していくことについて、それが完全に不合理だとまでは、なかなか断定しづらいように思われます。

そもそも夫の立場としては、あなたが不貞相手に不倫慰謝料を請求することを知ったとしても、表だって口出しできないことも多いように思われます。

自分の不貞がバレたという負い目があるからです。

「どうしても夫に知られたくない」という気持ちが分からなくはありません。

しかし、夫に知られても、特に影響はなかったというケースもしばしばあります。

先述のとおり、不貞相手への請求で見込めるメリットと夫に知られるデメリットを、天秤に掛けて判断することになります。

デメリットを大きく見積もりすぎているのではないか、という場合も少なくないように思われます。

夫にバレたら…というのは、取り越し苦労にすぎないかもしれません。

なにがしかの理由でどうしても夫に知られたくないということなら、不貞相手への不倫慰謝料請求自体を取りやめることも検討すべきです。

不貞相手への請求を取りやめたからといって、不貞を許したことにはなりません。

まとめ

「旦那にバレずに不倫慰謝料を請求できますか?」というご質問です。

まず前提としてですが、不貞相手に対して不倫慰謝料を請求することを、夫に伝えないといけないわけではありません。

不貞相手に対して不倫慰謝料を請求するにあたり、夫に連絡しないように求めると、不貞相手がこれに従って夫に連絡してこないことも、しばしばあります

ただ、たとえ不貞相手と夫とが既に関係解消済みの場合であっても、夫に連絡してくる可能性を完全には否定できません

夫への連絡は、減額交渉のために夫婦関係の状況を確認したい、といった合理的理由に基づく場合もあります。

夫への連絡自体が全く誤った不合理な行動だとまでは、言い切れないことも多いです。

不倫慰謝料請求を進めるにあたって、不貞相手への要求内容や交渉態度には注意する必要があります。

場合によっては、不貞相手が示談を諦めたり、求償権放棄に応じなくなったりするかもしれません。

その結果、夫にバレるリスクを自ら高めてしまうこともあります。

そうなってしまわないように、経験豊富な弁護士に依頼して手続きを進めていくことをお勧めします。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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