このコラムの監修者
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秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
慰謝料コラム
目次
「ラブホに入ったけど何もなかったって言うんです…。そんな言い訳って通用するんですか!?」というご質問を頂くことがあります。
ラブホテルに入ったが不貞行為はなかった(性行為はしなかった)と言い訳されたら、どうしたらいいのでしょうか?
ラブホテルは性行為をするための場所だというのが一般常識です。
したがって、ラブホテルに入ったなら性行為をしたはずだ、というのはごく自然な(常識的な)判断です。
言ってしまえば、ラブホテルに入ったというのは、性行為があったというのとほぼイコールだ、とも表現できます。
不貞(性行為)の典型的な証拠として、ラブホテルへの出入りを探偵が撮った写真があります。
言うまでもなく、探偵の写真に性行為中の様子が写っていることはまずありません。
しかし裁判所は、ラブホテルへの出入りが写っているだけなのに、不貞があったと認定しているのです。
それはなぜかと言えば、ラブホテル=性行為をするための場所、という特殊性があるからに他なりません。
ラブホテルで数時間~一夜を過ごしたのであれば、性行為があったと認定してもらえる可能性が高いものと思われます。
もちろん現実に性行為をしたのかどうかは、ラブホテルに同室した者しか知りえないことです(※)。
(※)密室で性行為があったことを裁判で証明しようと思えば、基本的には、性行為があったと認めている同室者を尋問するしかありません。
可能性の問題で言えば、「ラブホテルに入ったが本当に何もなかった」という事態もありえるかもしれません。
カラオケとゲームで盛り上がってそのまま朝になった、直前で性交渉をする気が無くなった、等々の理由により、本当に性交渉をしなかったということも、あるかもしれません。
しかし、言ってしまえばそれは単なる結果論です。
そもそも、数ある行き先の中でなぜラブホテルを選んだのか、という話でしょう。
純粋にゲームなどを楽しむためだけに、わざわざラブホテルに入らなければならない理由はありません。
性行為直前でその気がなくなったとしても、それ迄あったからこそラブホテルに入ったのだろう、というだけの話というべきでしょう。
とはいえ「ラブホテルに入ったが肉体関係は無かった」という点について、相手方(被告)から説得力ある反論や証拠が出てくる可能性も、全くない訳ではありません。
「ラブホテルの出入りを押さえた以上、不倫慰謝料は認められて当然だ」とまで、即断できるわけではありません。
ラブホテルは性行為をするための場所に他なりません。その意味で、極めて特殊な場所です。
二人きりでいた場所がラブホテルの一室だとなると、被告から相当説得的な反論がなされない場合、あるいはメールやラインなど他の証拠から不貞や親密な交際が推測されるような場合は,裁判官に「性行為があった」と認定してもらえる可能性も高いように思われます。
したがって、ラブホテルに入ったのを認めている点について、まずは証拠を取っておくべきです。
「ラブホテルに入ったが何もなかった」というだけの言い訳は、不合理な弁解だと受け止められる可能性のほうが高いでしょう。
もっとも、たとえばラブホテルの滞在時間が極めて短いような場合には、裁判官が「性行為がなかった」と考える可能性もありえます。
したがって「ラブホテルに入ったと認めている以上、慰謝料は確実に認めてもらえる」とまでは言い切れません。
その点には注意が必要でしょう。
このコラムの監修者
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
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