不貞行為の慰謝料を請求されたら?相場・減額のコツと弁護士に依頼すべき理由 | 慰謝料請求に強い弁護士

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慰謝料コラム

不貞行為の慰謝料を請求されたら?相場・減額のコツと弁護士に依頼すべき理由

ある日突然届く「内容証明」「通知書」、SMSメッセージや電話。
不貞行為発覚と慰謝料の件に、強い動揺や恐怖を感じるのは当然です 。
しかし、最初の対応を誤ると、本来支払う必要のない高額な慰謝料を支払うことになりかねません 。
この記事では、弁護士の知見に基づき、慰謝料請求への正しい初動から減額交渉の戦術までを網羅的に解説します 。

目次

不貞行為の慰謝料請求をされたら、まずやるべきこと・NG行動

不貞行為の慰謝料を請求された直後は、気が動転してしまいがちです。
しかし、ここでの行動が今後の交渉を大きく左右します。
まずは以下の表で、冷静になるために「やるべきこと」と「絶対にやってはいけないこと」を確認してください。

対応

やるべきこと

やってはいけないこと

請求内容の確認

請求連絡(内容証明郵便など)の内容を正確に把握する

中身を見ずに放置する、感情的に破り捨てる

言質を与えない

弁護士に相談するまで、安易な返答は控える

金額を約束する、念書(誓約書)などに署名する

準備・行動

冷静さを保ち、事実関係を整理する

請求を完全に無視する、相手と感情的に口論する

相談

速やかに不貞問題に詳しい弁護士に相談する

一人で内密に解決しようと焦る、虚偽事実を口裏合わせをする

ステップ1:冷静に請求内容を確認する

不貞行為の慰謝料の請求書が内容証明郵便などで届いた場合、まず、その書面を落ち着いて読みましょう。
多くの場合、以下のような項目が記載されているはずです(=相手方の要求内容・言い分)。
これらの情報を客観的に把握することが、第一歩となります。

  • 誰が請求しているのか、その連絡先(請求者)

  • 不貞行為の慰謝料として、いくら請求されているか(請求金額)

  • いつまでに支払うよう求められているか(支払期限)

  • どのような事実を根拠に請求しているか(請求の根拠)

もっとも、こういった内容が明確には分からない場合や、あなたの認識している事実と異なる場合もあります。
「不貞行為に及んだから、不貞行為の慰謝料を請求する」という程度しか書かれていないケースも多いですし、あるいはLINEやSMSで「不貞の件で連絡が欲しい」「内容証明を送りたいから住所を教えろ」とだけ送られてきているような場合もあります。

こうした連絡を受けた時点で、弁護士に、今後どう対応すべきかについて相談してみることをおすすめします。

ステップ2:その場で安易な約束や署名をしない

不貞行為の慰謝料を口頭や電話で請求された場合でも、その場で結論を出す必要は全くありません。
「専門家に相談してから返事します」と伝える勇気が重要です 。

「いくらなら支払えます」といった発言は、慰謝料の支払い義務を認めた証拠として利用される恐れがあります。
さらには、例えば「○○円を支払う」という書面にサインしたような場合、「その合意に基づいて○○円の支払い義務がある」ということにもなりかねません。

【弁護士の視点】 相手方から呼び出された場合、持ち帰っての検討すら許してもらえないケースも非常に多いです。
数人で囲まれたり、「ここで認めないなら訴える、職場に申告して対応してもらう」などと言われたりして、早く解放されたい一心でサインしてしまう方は後を絶ちません。
しかし、一度署名した示談書を後から『脅されたから無効だ』と覆すのは、非常にハードルが高いのが現実です。
そのため、相手方から呼び出されたような場合には、応じずにすぐ弁護士に依頼して、減額交渉を進めるべきです。

ステップ3:対応の準備・行動

ステップ1で相手方からの請求内容と請求の根拠(言い分)を把握したら、これに対応するための準備を開始します。
具体的には、以下の内容を検討します。

  • 請求の根拠に対する、あなたの言い分

  • 不倫慰謝料の相場と、請求金額を比較

  • その他の請求内容について、あなたがどこまで受諾可能かを検討

  • 請求内容に対する対案

請求の根拠に対する言い分として、例えば、以下のようなものが考えられます。

  • 「不貞行為に及んだ」と言われているが、性交渉はしていない

  • 「夫婦関係は破綻した」と言われているが、交際相手から「離婚や別居の話は出ていないし、今まで通り同居している」と聞いている

不倫慰謝料の相場は、離婚・破綻した場合:150~300万円程度、していない場合:100万円以下程度、といった感じです(後述)。

その他の請求内容としては、よくあるのは接触禁止や違約金です。
「接触禁止には応じられない」「応じても良いが違約金には応じられない」など、どこまで受諾可能なのかを検討します。

以上のようなことを踏まえて、相手方からの請求内容に対してどういう対案を出すのか、を組み立てていきます。

ステップ4:弁護士への相談

「ステップ3までを自力で行うのは難しい」という人や、「相手方と一度話してみたが難しそうだ」という人は、不貞問題に詳しい弁護士にすぐ相談すべきです。
というよりもむしろ、ほとんどの人にとっては、ステップ1の時点=「相手方から請求を受けた時点ですぐ弁護士に相談する」というのが賢明な選択です。
不貞問題に詳しい弁護士の法律相談を受ければ、争点、今後の方向性、慰謝料額等の見通しがつくからです。

「他人に知られず早く解決したい」という気持ちが先走ると、「不貞のことが家族にばれてしまうくらいなら…」ということで、不利な内容の誓約書、合意書などにサインしてしまうことにつながりかねません(ステップ2参照)。

【重要】絶対にやってはいけないNG行動4選

初動対応で犯しがちな過ちがあります。
以下の4つの行動は、ご自身を不利な状況に追い込むだけなので、絶対に避けてください。

1. 内容証明などを無視・放置する

「恐怖心から請求書を見なかったことにする」「連絡を無視する」のは、最も危険な選択です。
慰謝料請求を無視し続けると、相手方は「交渉の意思がない」「話し合いは無理だ」と判断し、訴訟提起する(裁判を起こす)可能性が非常に高くなります。
裁判になると、時間も費用も余計にかかりますし、最終的には給料や財産を差し押さえられるリスクさえ生じます。
相手方があなたの職場や自宅などを知っている場合、訴訟提起ではなく事実上の抗議に及ぶ可能性もあります(自宅訪問など)。

2. 感情的になって反論・口論する

もし請求内容や相手方の言い分に事実と異なる点があったとしても、感情的に反論するのは得策ではありません。
相手方の感情を逆なでしてしまったり、「穏便に話し合いができない」と思われてしまったりして、交渉の余地をなくしてしまう可能性があります。
また、不用意な発言を録音され、後の裁判で不利な証拠として使われる危険もあります。

3. 慰謝料請求者に直接会って謝罪しようとする

「直接会って謝罪すれば許してもらえるかもしれない」と考えるのは危険です。
「申し訳ないと思うのならサインしろ」と言われ、例えば500万円といった非常に高額の誓約書、合意書などを突きつけられるというケースは、とても多いです。
あなたとしては「直接会って謝罪することが誠意だ」という思いがあるのかもしれませんが、相手方としては「それは人として当然のことだろう。そのうえでこれだけの額を払ってもらうことが誠意だ」などと思っている場合も多いです。

4. 交際相手と嘘の口裏合わせをする

本当は肉体関係があったのに、交際相手と連絡を取り、「肉体関係は無かったことにしよう」などと事実を歪めて口裏合わせをすることは、絶対にやめましょう。
「相手方が証拠を持っている。そのことをあなたや交際相手が知らなかった」(ex.ラブホテルに入る写真を撮られていた)とか、「その後、交際相手が相手方に本当のことを自白した」といった事態に陥る危険性も高いです。
あなたが「肉体関係は無かった」と言っていたにもかかわらず、後から嘘だと発覚した場合、「不誠実で悪質である」と判断され、慰謝料が増額される要因となりえます。

不貞行為の慰謝料の支払義務は本当にある?請求を阻止・拒否できる5つのケース

不貞行為の慰謝料を請求されたからといって、必ずしも慰謝料を支払う法的な義務があるとは限りません。
法律上、不貞行為の慰謝料請求が認められないケースも存在します。
ただし、これらの判断は専門的な知識を要するため、自己判断は禁物です。

請求が認められないケース

主な要件

注意点

1. 証拠がない

肉体関係を客観的に証明する証拠が存在しない。

あなたが不貞を認める場合、証拠はそもそも不要。

状況証拠から推認される場合もあるため、油断は禁物。

2. 善意無過失

相手が既婚者だと知らず、知らなかったことに過失がない。

「知らなかった」だけでは不十分で、過失がないことの証明が必要。

3. 夫婦関係の破綻

不貞行為の時点で、既に夫婦関係が修復不可能な状態だった。

単なる不仲やセックスレスでは「破綻」とは認められにくい。

4. 交際相手が支払った

不貞行為の相手(共同不法行為者)である交際相手が、すでに慰謝料を支払っている。

交際相手が支払ったことを証明する必要がある。

5. 時効の成立

請求者が不貞の事実と不貞相手(あなた)を知ってから3年が経過している。

相手方の側の事情のため、確たる判断が難しいことも多い。

ケース1:肉体関係を証明する客観的な証拠がない

不倫・不貞行為の慰謝料は、原則として「肉体関係」があった場合に認められます。
二人で食事に行ったりメッセージを交換したりしただけでは、通常、慰謝料の支払い義務は発生しません。
あなたが不貞行為の存在を認めておらず、かつ、相手方(不貞行為の慰謝料を請求する者)が肉体関係の存在を客観的な証拠で証明できない場合、慰謝料請求を免れられる可能性があります。

ただし、状況証拠などから不貞があったと推認されてしまうこともありますので、油断はできません。
例えば「二人とも不貞を否定しているが、露骨なLINEのやり取りがあり、裁判官に『肉体関係無しにこのようなやり取りはしないはずだ』と判断されてしまう」といった場合です。

 【弁護士の視点】
不貞を直接示す証拠がなくても、交通系ICカードの履歴(交際相手の最寄り駅への頻繁な訪問)や、スマートフォンのGPSデータ、あるいは車内のドライブレコーダーの音声といった状況証拠が積み重なってくると、裁判所が不貞の存在を認定する可能性が出てきます。
『写真がないから100%大丈夫』などと楽観視せず、慎重な検討が重要です。

ケース2:交際相手が既婚者だと知らなかった(善意無過失)

不貞行為の事実が存在したとしても、交際相手が既婚者であることを知らず(善意)、かつ、そのことを知らなかった点に不注意がなかった(無過失)場合は、慰謝料を支払う義務はありません。

ただし、「既婚者だとは知らなかった」と主張するだけでは不十分です。
相手方からは「もし本当に知らなかったとしても、注意すれば知ることができたはずだ」と反論される可能性が高いです。
そのため、例えば、交際相手が独身だと偽っており騙されていたことの証拠など、「信じたことに過失がない」ことを証明しうる材料が必要となってきます。

ケース3:不貞行為の時点で夫婦関係が既に破綻していた

あなたが交際を始める前から、相手方と交際相手との夫婦関係が客観的に見て修復不可能なほど壊れていた(破綻していた)場合、あなたのした不貞行為で夫婦関係が壊れたとは言えません。
そのため、不貞行為の慰謝料の支払い義務は発生しません(最高裁H8.3.26判決)。

ただし、例えば「離婚を前提とした別居中」とか「離婚調停中」など、破綻を示す明確な事実が必要になってきます。単なる夫婦喧嘩や家庭内別居の状態では、破綻までは認められない可能性が高いです。
その場合でも、「不貞行為前からもともと円満を欠いていた」ことが、慰謝料の減額事由として考慮される可能性はありえます。

ケース4:交際相手が慰謝料を支払った

不貞行為は、法律的には、あなたと交際相手の「共同不法行為」です。
不貞行為の慰謝料の請求者(相手方)は、どちらか一方または双方に請求できますが、理屈上は、二重に受け取ることはできません。
もし交際相手がすでに十分な額の慰謝料を支払っている場合、相手方の精神的苦痛はすでに満たされたことになるので、あなたとしては支払う必要がなくなったり減額材料に使えたりすることがあります。

ただし、あなたが交際相手の支払を知らない場合には、事実上二重払いとなってしまう可能性はありえます。
(=「交際相手とあなたがそれぞれ支払った慰謝料を合算すると、相場を超えている」という状況)

ケース5:慰謝料請求の時効が成立している

不貞行為の慰謝料の請求権には、時効があります。
以下のいずれかの期間が経過すると、時効が成立し、支払い義務はなくなります。

  1. 不貞行為の慰謝料を請求する者が、不貞行為の事実とあなたを特定した時から3年間

  2. 不貞行為があった時から20年間

ただし、相手方がいつ知ったのかというのは、あなたにははっきり分からないことも多いですし、途中で時効の進行が止まる場合もあります。
例えば、「時効完成直前に内容証明を受け取っており、その後すぐ訴えられた」ような場合です。
安易に「時効だから払わなくていい」と判断せず、必ず弁護士に確認してください。

慰謝料の相場と金額を左右する「増減要因」

不貞行為の慰謝料として請求された金額、「法外に高いのでは?」「こんな額を払わないといけないのか?」と不安に思う方も多いでしょう。
請求された額は、あなたのケースで払わないといけない額よりも大幅に高くなっていることが多いです。
というのは、不貞行為の慰謝料には、ある程度の相場が存在するからです。

まずは冷静に相場を把握し、ご自身のケースがどの程度なのかを確認しましょう。

不貞行為の慰謝料相場一覧【状況別】

慰謝料の金額は、不貞行為によって相手方の夫婦関係がどうなったかによって大きく変動します。

夫婦関係の状況

慰謝料の相場

概要

離婚に至った場合

150万円~300万円

不貞行為が直接の原因で離婚に至ったケース。最も高額になる傾向。

離婚しない場合(婚姻継続)

50万円~100万円

夫婦関係は継続するが、婚姻関係の平穏を侵害されたケース。

不貞が原因で別居した場合

100万円~200万円

離婚には至らないが、別居となったケース。

あなたのケースは?慰謝料額を左右する増減要因

上記の相場はあくまで目安であり、個別の事情によって金額は上下します。
どのような事情が金額に影響するのか、以下の表で確認してみましょう。
ご自身の状況に当てはまる項目が多いほど、相場から金額が変動する可能性があります。

項目

増額要因になりやすい事情

減額要因になりやすい事情

婚姻期間

相手方と交際相手の婚姻期間が長い

婚姻期間が短い

不貞の期間・回数

交際期間が長い、肉体関係の回数が多い

交際期間が短い、肉体関係が1回きりなど少ない

不貞の主導性

あなたが積極的に関係を主導した

交際相手から強く誘われた

不貞発覚後の態度

不誠実な対応、嘘をつく、反省していない

真摯に謝罪し、反省している

未成熟子の有無

相手方に、経済的に自立していない子がいる

子がいない、独り立ちしている

妊娠・出産

不貞で妊娠・中絶・出産した

妊娠などの事実はない

夫婦関係の状況

不貞前、夫婦関係は平穏・円満だった

不貞前から、関係が悪化していた

社会的制裁

社会的制裁を受けていない

すでに社会的制裁を受けている(退職など)

請求者の精神的苦痛

うつ病などを発症した(因果関係を争う余地は有)

精神的苦痛が比較的小さい

求償権の放棄

求償権を放棄しない

求償権を放棄する

【弁護士の視点】
増減要因はいろいろありますが、裁判所が重視している主なポイントは次の2つです。
多くの場合-既婚者だと知って関係を持ったことに争いがない場合-では、➀相手方の婚姻関係が破綻したかどうか(離婚したかどうか)、②不貞行為の悪質性が高いかどうか(不貞期間・回数、妊娠中絶の有無など)、がポイントです。
もちろん、慰謝料が発生しない可能性がある場合(例:時効、既婚不知につき無過失、不貞開始以前からの破綻)には、発生するという判断になった後のことです。

不貞行為の慰謝料を払えない…経済的負担を軽くするための減額交渉術

不貞行為の慰謝料として請求された金額が、相場より高額な場合や、相場範囲内であってもあなたの事情のもとでは高額な場合、減額交渉を行うことは十分に可能です。
ここでは、慰謝料減額交渉を有利に進めるための具体的な戦術をご紹介します。
これらの交渉は、ご自身で行うよりも弁護士に依頼する方が成功率が格段に高まります。

交渉を有利に進める4つの戦術

やみくもに「払えません」と主張するだけでは、交渉は進みません。
法的な根拠と具体的な提案を組み合わせることが重要です。

戦術1:減額要因を主張し、裏付けとなる証拠を集めておく

前のセクションで確認した「減額要因」などを、具体的に主張します。
証拠がなくても、主張は可能です。
もちろん、主張の裏付けとなる証拠がありそうなら、集めておくに越したことはありません。

もっとも、証拠を相手方に提示するかどうか、例えば「交際相手から強く誘われた」という主張を裏付けるメッセージ、「経済的に困窮している」という主張を裏付ける給与明細や課税証明書など、そういったものを交渉段階で見せるべきかどうかは、要検討です。
そのような証拠を提示するということは、仮に訴訟となった場合の手の内を明かしてしまうなど、マイナス面もあるからです。

戦術2:「求償権の放棄」を提案する

「求償権」とは、あなたが不貞行為の慰謝料を支払った場合に、その一部を共同不法行為者である交際相手に請求できる権利のことです。
「交際相手に後で請求しない代わりに、今の支払額を下げてほしい」という交渉です。
特に相手方夫婦が離婚しない場合、あなたが求償権を使うことで、結局は家計からお金が出ていくことになるため、この提案を受け入れるメリットが大きいと考えるかもしれません。

もっとも、相手方が求償権放棄に興味を示さない場合もあります。
交渉のカードとして常に使える、というわけではありません。

戦術3:誠実な謝罪と反省の態度で相手方の感情に配慮する

法的な交渉とはいえ、相手方も感情を持った人間です。
不誠実な態度は相手方の怒りを増幅させ、交渉を困難にします。
弁護士を通じて、言うべきことは言いつつも解決に向けた提案をしていくことで、相手方の感情が和らいできて、減額に応じてもらいやすくなるケースは少なくありません。

もっとも、「謝罪や反省の弁を真摯に述べれば、分かってくれるはずだ」というのは、危険な考え方です。
「謝罪に赴いたら、高額な慰謝料の支払を約束する書面にサインさせられた」というトラブルは、後を絶ちません。
逆に「相手方の言う内容を全て受諾する」というのも、あなたにとっては危険な行動です。

【弁護士の視点】

減額交渉において、謝罪文(反省文)の提出が有効な場合もありますが、内容や提出時期には注意が必要です。提出によってかえって話がこじれてしまう可能性もあります。弁護士に正式依頼している場合には、その点についてのアドバイス・対処もしてもらえます。

戦術4:一括が無理なら具体的な分割払い計画を提示する

一括支払いが難しい場合は、分割払いを交渉することが考えられます。
(頭金の有無、具体的な月額、支払回数など)

もっとも、分割払の提示よりも、請求額から適正額までの減額を試みるほうが優先です。
また、分割が長期間となる場合、公正証書にすること等を求められる可能性も高いです。

【弁護士の視点】
公正証書や和解調書など(債務名義)があると、未払いの場合、給与差押えなどのリスクがあります。
相手方に「リスクを負って約束する以上きちんと払うだろう」と信じてもらえる材料にはなりますが、無理な約束をすると非常に危険です。

【実例】弁護士の交渉で慰謝料が大幅減額できたケース

不貞行為の慰謝料を請求された際、相手方の言い値で支払う必要はありません。
法律の専門家である弁護士が介入し、適正な相場や個別の事情(cf.上記増減要因)を論理的に主張し、場合によっては訴訟で戦うことで、大幅な減額を実現できるケースが多々あります。
以下は、弁護士が介入したことによる成功事例の一部です。

これらの事例が示すように、法的知識や裁判の専門家である弁護士による交渉は、ご自身の経済的な利益を守るためには極めて有効です。

それでも解決しない場合は?交渉から裁判までに想定される流れ

当事者間の交渉(示談交渉)で合意に至らない場合、法的な手続きに移行することがあります。
どのような流れが想定されるのかを事前に知っておくことで、過度な不安を解消し、冷静に対応できます。
一般的には、step2で示談成立あるいはstep3で和解成立というケースが多いです。

ステップ

手続きの名称

概要

STEP 0

迷惑行為/事実上の請求中断

相手方が自宅や職場に来るなど、迷惑行為に及ぶ可能性。

逆に、請求が事実上止まる可能性もある。

STEP 1

慰謝料請求調停

裁判所で調停委員を介して話し合い、合意を目指す手続き。

STEP 2

弁護士を入れた交渉

双方に弁護士が居れば、弁護士同士での交渉となる。

STEP 3-1

慰謝料請求訴訟(原則)

裁判官が証拠に基づき、支払い義務の有無や金額を法的に判断する最終手続き。

STEP 3-2

債務不存在確認訴訟(例外)

こちらから「支払い義務はない」ことを確認するために裁判を起こす手段。

STEP0:迷惑行為/事実上の請求中断

相手方に弁護士がついていない場合、交渉が難航すると感情的になり、自宅や職場に押しかけるなどの迷惑行為に及ぶことがあります。
一方で、あなたが弁護士を立てると、相手方は「これ以上の手段を取りようがない」などと考え、請求を事実上諦めるケースもあります。

もっとも、あなたが弁護士を立てて、真摯に話し合う意思があることを示せば、相手方が迷惑行為に及んでくる可能性は高くありません。
また、この段階までで終わるケースもありますが、相手方のほうが弁護士に依頼するとか、自身で調停を申し立ててくるとか、次のステップに進むケースも多いです。

STEP1:慰謝料請求調停

調停は、裁判所で非公開で行われます。民間の調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら、話し合いによる解決を目指す手続きです。
あくまで話し合いですので、双方が合意しなければ成立しません。

もっとも、「相手方が調停を申し立てず、弁護士に依頼してきた」というケースが多いです。
調停に出頭するのは相手方にとっても負担だからではないか、とは推察されます。

参照:不倫慰謝料請求調停の連絡が裁判所から届いたら?

STEP2:弁護士を入れた交渉

(1)たとえ当初は本人同士で交渉していても、あなたにとって納得のいく内容でまとまらなさそうなら、弁護士に依頼するのが賢明です。
あなたが依頼すれば、相手方も弁護士に依頼することも多いです。
弁護士同士の交渉では、「もし裁判になればどのような解決になるか」を見据えた交渉となるため、客観的にみて妥当な解決がもたらされる可能性が高まりますし、実際、多くの場合は示談成立で解決となっています。

もっとも、弁護士はあくまで代理人であり、最終決定はその依頼者が行うことになります。
「相手方本人としては訴えたいという意思が固い」という場合、訴訟に移行する可能性が高くなりますし、あなたがどうしても翻意してもらいたいなら、何らかの譲歩・上乗せ提案が必要となる可能性も高いです。

(2)もし相手方が弁護士を立てている場合は、あなたも弁護士に依頼すべきです。
相手方としては、望む条件をあなたが受諾しないなら、訴えるという選択肢を容易に取ることができます。
そのため、訴えられたくないあまりに不利な条件を飲んでしまう、という可能性が高くなってしまいます。

また、話し合いでまとまるにしても、相手方が作成した示談書の内容があなたにとって不当に不利になっていないかなどを、きちんとチェックする必要があります。
弁護士に依頼しておけば、そうした点についても安心できます。

STEP3-1:慰謝料請求訴訟(原則)

交渉や調停で解決しない場合の最終手段が訴訟(裁判)です。

たとえ相手方が交渉段階で高額な要求をしていたとしても、裁判では、前述の相場に照らした判断となる可能性が高いです。
お互いの主張と証拠を基に、裁判官が法的な判断を下すことになりますが、訴訟手続きは厳格で専門性が高いため、この段階では弁護士のサポートが不可欠となります。

もっとも、判決となるケースは非常に少なく、裁判官が示した提示額近辺で和解がまとまるケースがほとんどです。
裁判官の提示額を下げるため、ひいては有利な判決を得るためには、主張立証の努力が最も重要です。

STEP3-2:債務不存在確認訴訟(例外)

相手方が不当な高額請求に固執しており、こちらが譲歩してもほとんど話し合いにならない、といった場合があります。
その場合、こちらから相手方を訴えることも選択肢の一つです。
「慰謝料の支払い義務が存在しないことの確認を求める」という訴訟を起こすわけです。

その後、相手方が反訴(=その訴訟の中で、逆に慰謝料を支払えという裁判を起こすこと)をしてきて、結局STEP3-1と同じ形になることが多いですが、反訴してこずに、債務不存在確認訴訟の中で和解が成立する、といったケースもあります。
メリットは、裁判手続を利用することで、前述の相場に照らした解決をある意味強制的にもたらすことが可能という点です。
デメリットは、相手方の心情を逆撫でするリスクがあること、確定した金額を支払わないと強制執行を受けるリスクがあること等です。

専門家への相談が解決への最短ルート|弁護士に依頼するメリットと費用

ここまでお読みいただき、不貞慰謝料の問題がご自身一人で対応するにはあまりに複雑で、精神的な負担が大きいことを感じられたかもしれません。
問題を最も安全かつ有利に、そして早期に解決するためには、専門家である弁護士に依頼することが最善の選択です。

弁護士に依頼すべき5つのメリット

弁護士に依頼することで、費用以上の大きなメリットを得ることができます。

メリット

具体的な内容

1. 適正な金額への減額

法的根拠に基づき、不当に高額な請求を適正な金額まで減額できる可能性が高い。

2. 精神的・時間的負担の軽減

交渉の窓口を全て弁護士に任せられるため、相手と直接やり取りするストレスから解放される。

3. 法的リスクの回避

不利な内容の示談書に署名してしまうリスクや、裁判になった場合のリスクを最小限に抑えられる。

4. 交渉のプロによる代行

冷静かつ戦略的な交渉により、感情的な対立を避け、合理的な解決を目指せる。

5. 将来のトラブル防止

合意内容を法的に有効な示談書にまとめることで、後から追加請求されるなどのトラブルを防げる。

気になる弁護士費用の内訳と相場

弁護士への依頼をためらう最大の理由が費用面かもしれません。
費用の内訳と相場を理解し、費用対効果を考えてみましょう。

費用項目

金額の相場

概要

相談料

0円~1万円/1時間

初回相談を無料としている事務所が多い。

着手金

10万円~30万円程度

弁護士が業務を開始する際に支払う費用。結果にかかわらず返金されない。

報酬金

減額できた金額の10%~20%程度

事件が解決した際に、成功の度合いに応じて支払う費用。

実費

数千円~数万円

交通費や郵便代、印紙代など、手続きにかかった実費。

※事案の内容、解決に至る経緯等によって異なる可能性があります。

例えば、300万円を請求され、弁護士費用50万円をかけて80万円に減額できた場合、あなたの手元には170万円(300万円 – 80万円 – 50万円)が残る計算になります。
自分で対応して300万円を支払うよりも、経済的負担は大幅に軽くなります。

自分で対応するリスク|高額な支払いやトラブルの長期化も

弁護士に依頼せず、自分で対応を続けることには大きなリスクが伴います。

  • 相手方の圧力に耐えかねて、相場よりはるかに高額な慰謝料を支払ってしまう。

  • 相手方からのやりとりで詰問され、精神的に疲弊してしまう。

  • 示談書の内容に不備があり、後から再び請求される。

  • 相手方に弁護士がつき、訴えられてしまう。

これらのリスクを避けるためにも、早期の弁護士への相談が賢明です。

不貞行為の慰謝料を請求された側のよくある質問(Q&A)

最後に、不貞行為の慰謝料を請求された方からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1.話し合いに呼び出されています。行くべきですか?

行くべきではありません。
話し合いに行くと、高額な慰謝料などを認める書面にサインさせられることが多く、一度サインすると不利になってしまうからです。
持ち帰っての検討すら難しいことも多いので、行かずに弁護士に依頼し、誠実に話し合う意向があると伝えるべきです。

Q2. 家族や会社にバレずに解決できますか?

多くの方が心配される点ですが、弁護士に依頼することで、そのリスクを大幅に下げることができます。
弁護士が代理人となれば、連絡は法律事務所(弁護士事務所)宛てになります。
弁護士が相手方に送付する受任通知(依頼を受けたという通知)の中で、あなたや家族、職場などに連絡しないよう求めると、これに相手方も従ってくることが通常ですので、秘密を守りながら穏便に解決できる可能性が高まります。

Q3. 交際相手が何とかすると言ってくれていますが?

気持ちは分かりますが、相手方から不貞行為の慰謝料を請求されているのは、あなた自身です。
あなた自身の問題として主体的に対応することが必要です。
交際相手が配偶者とあなたの両方に良い顔をしようとした結果、あなたにとって不利な条件で話が進んでしまう危険性もありますし、「何とかなったのだろう」と思っていたら突然訴えられる、といった可能性もあります。

Q4. 交際相手は別居中です。それでも慰謝料を請求されますか?

別居していたとしても、法的に離婚が成立していない限り、夫婦であることに変わりはありません。
夫婦関係が完全に破綻した後の不貞行為であると認められない限り、別居中であっても慰謝料請求の対象となります。
「もう別居しているから大丈夫」「離婚予定と聞いているから問題無いだろう」という自己判断は危険です。

Q5. ダブル不倫の場合、慰謝料はどうなりますか?

ダブル不倫(=あなたと交際相手の双方が既婚者)だからといって、法的には、それだけで慰謝料が増減することはありません。ただ、状況が非常に複雑になります。
あなたは、交際相手の配偶者(=相手方)、自分の配偶者、その両方から慰謝料を請求される可能性がありますし、交際相手も同様です。
まだ配偶者に発覚していなくても、相手方が「自分から配偶者に不倫(浮気)を明らかにしろ。そして4人で話し合おう」などと要求してくるケースもありますし、もう一つの事件(=あなたの配偶者vsあなたの交際相手)のことも、ある程度は意識する必要があります。

「自分が相手方に払う慰謝料も、交際相手が私の配偶者に払う慰謝料も、両方ゼロにしたい」と希望する人も多いですが、それが通るかどうかは、あなただけで決められる問題ではありません。
慰謝料を請求する人=相手方とあなたの配偶者、それぞれの意向次第です。

Q5. 求償権とは何ですか?

求償権とは、あなたが相手方に不貞行為の慰謝料を支払った場合に、交際相手に対して、その負担割合に応じた金額を請求できる権利のことです。
負担割合は、あなたと交際相手の責任の大小・落ち度の軽重で決まります。
交際相手に対してこの権利を行使するかどうかはあなたの自由ですが、「求償権を行使しない代わりに慰謝料額を下げてほしい」というように、相手方に対して減額交渉のカードとして使うこともできる場合もあります。

Q6. 裁判には私も行く必要がありますか?

弁護士に依頼している場合は、行く必要はほぼありません。
各回の裁判には、弁護士だけで法律事務所からウェブで参加しますし、尋問実施前に、裁判官からの提案額付近で和解がまとまることが多いため、「弁護士だけが裁判に参加して和解で終了。尋問実施なし」というケースが非常に多いからです。
(尋問:あなたや相手方本人が、法廷で色々質問される)

弁護士に依頼していない場合は、初回期日から各回、自分で行く必要があります。

まとめ:一人で抱え込まず、まずは専門家への無料相談を

不貞行為の慰謝料を請求され、この記事を読んでいるあなたは、今まさに人生の岐路に立たされているかもしれません。
最後に、今日お伝えした重要なポイントを振り返ります。

  • 初動対応が重要: その場での安易な約束や署名は絶対にしない。

  • 法的義務の確認: 法的に支払い義務がないケースや高額過ぎるケースもあるため、専門家(弁護士)に確認する。

  • 減額交渉は可能: 慰謝料の相場を知り、減額要因を主張することで、経済的負担を軽減できる。

  • 訴訟による減額: 交渉がまとまらなくても、訴訟を通じて減額するという強力な選択肢がある。

これらの対応を、深い知識と経験なしに一人で完璧に行うことは極めて困難ですし、訴訟による減額という強力な選択肢を失ってしまいます。
不安や恐怖で押しつぶされそうになっている今だからこそ、一人で抱え込まず、専門家(弁護士)の力を借りるべきです。
多くの法律事務所では、初回の相談を無料で行っています。
まずは勇気を出して、その一歩を踏み出すことが、平穏な日常を取り戻すための最も確実な道筋です。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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