不倫慰謝料、一体いくら減額できる?減額交渉を有利に進める戦略ガイド | 慰謝料請求に強い弁護士

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慰謝料コラム

不倫慰謝料、一体いくら減額できる?減額交渉を有利に進める戦略ガイド

不倫の慰謝料を請求されたけれど、「高すぎる…本当にこの金額を払わないといけないの?」と、途方に暮れていませんか?

不倫慰謝料は、減額できる可能性は十分あります。

 

この記事では、慰謝料減額の可能性から、具体的な交渉戦略、有効な証拠の集め方、 示談書の注意点まで、徹底的に解説します。

弁護士に依頼すべきかどうかの判断基準や、よくある質問とその対策もご紹介。

慰謝料減額を成功させ、 一日も早く平穏な生活を取り戻しましょう。

目次

不倫慰謝料減額の可能性を徹底診断|減額は可能?

不倫慰謝料を請求された場合、提示された金額から減額できる可能性を探ることが重要です。

そもそも請求額が相場より高いことはよくありますし、慰謝料の金額は様々な要因によって決まってくるため、減額交渉の余地は大いにあります。

不倫慰謝料減額が認められるケースとは?3つの主要な理由

不倫慰謝料の減額が認められるケースは様々ですが、ここでは主要な3つの理由をご紹介します。

 

①婚姻関係が破綻していない/元々破綻していた
不倫発覚後も夫婦関係が破綻していないと認められる場合、慰謝料は減額される可能性が高いです。

例えば、夫婦が同居を継続しているような場合です。

逆に、不倫以前から離婚前提で別居しており元々破綻していた(円満を欠いていた)場合も、減額が認められる可能性は高いです。

 

②不倫期間が短い、程度が軽い
不倫関係が短期間で終わった場合や、肉体関係がなかった・回数が少なかったような場合、慰謝料は減額される可能性があります。

ただし、肉体関係が実際にはなくても、裁判所にあったと認定されてしまったり、不相当な交際や婚姻関係を破綻に至らしめる行為があったなどと判断されたりして、慰謝料が発生する可能性はあります。

 

③慰謝料の相場からかけ離れている
請求されている慰謝料が、相場からかけ離れて高額な場合もしばしばありますので、減額交渉の余地があります。

不倫慰謝料の相場は、50万円~300万円程度が一般的ですが(後記Q&A参照)、具体的な金額は、不倫の期間や程度、夫婦関係の状況などによって異なります。

【ケース別】減額が認められる理由と減額幅の目安

具体的なケース別に、減額が認められる理由と減額幅の目安をまとめました。

以下の表を参考に、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

ケース 減額が認められる理由 減額幅の目安
婚姻関係が元々破綻していた 不倫が始まった時点で夫婦関係が破綻していたため、慰謝料を認める必要がないと判断される。 100%減
既婚者だと過失なく知らなかった そもそも不倫していた意識が一切なく落ち度もないため、非難できないと判断される。
婚姻関係が破綻していない 不貞発覚後も婚姻関係が破綻していないため、相手方に与えた精神的苦痛が少ないと判断される。 50%~80%減
不倫の期間が短い 不倫関係が短期間で終わったため、相手方に与えた精神的苦痛や悪質性が少ないと判断される。 20%~50%減
肉体関係がない 肉体関係がある場合と比べれば、相手方に与えた精神的苦痛や悪質性が少ないと判断される。 20%~50%減
示談交渉の努力 早期に謝罪し、誠意をもって対応することで、相手方の感情が和らぎ、減額に応じてもらいやすくなる。 10%~30%減

※上記の減額幅はあくまで目安であり、具体的な金額は個別の状況によって異なります。

まずは確認!あなたの不倫慰謝料、減額できる?チェックリスト

ご自身のケースで不倫慰謝料減額の可能性があるかどうか、以下のチェックリストで確認してみましょう。

    1. 請求されている慰謝料は相場と比べて高額ですか?(後記Q&A参照)
    2. 不倫当時、夫婦関係破綻を示す客観的な状況はありましたか?(離婚前提で別居していた、など)
    3. 不倫開始~発覚後まで、夫婦は離婚しなさそうですか?(同居をずっと継続している、など)
    4. 不倫の期間は短いですか?(おおむね1年以下)
    5. 肉体関係は実際にありましたか?
    6. 相手方に謝罪の意思を示すつもりはありますか?(不倫が事実無根の場合は別)

上記の項目に多く当てはまるほど、慰謝料を減額できる可能性が高いと言えます。

ただし、ご自身で判断するだけでなく、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

不倫慰謝料の減額交渉を成功させるための5つの戦略

不倫慰謝料の減額交渉を戦略的に進めることで、より良い結果を得られる可能性が高まります。

ここでは、交渉を成功に導くための5つの戦略を具体的に解説します。

戦略1:冷静かつ誠実な態度で交渉に臨む

交渉の場では、冷静さを保つことが重要です。

相手方の要求・言い分をしっかりと受け止めて誠意を見せつつも、自らの言い分や意向もきちんと主張しなければなりません。

不安があるようであれば、弁護士に依頼して交渉すべきです。

戦略2:即答しない

相手方の要求に流され、抵抗できずに約束してしまう事例が、後を絶ちません。

いったん約束した後で減額するのと、何も約束していない状況から減額するのとを比べれば、約束した後のほうがどうしても難しくなってきます。

とにかく要求は一度持ち帰ったうえで、冷静に判断してから回答するようにしましょう。

戦略3:弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受ける

減額交渉を有利に進めるためには、弁護士に相談することが有効な手段です。

弁護士は、法律の専門家として、慰謝料の相場や減額の可能性について、客観的なアドバイスを提供してくれます。

弁護士に依頼すると、代理人として相手方と交渉してくれるため、精神的な負担を軽減することができますし、法的な観点から適切な主張を展開することで、有利な条件で合意できる可能性が高まります。場合によっては、裁判で争って減額を実現していくこともできます。

戦略4:証拠を確保しておく

減額交渉で証拠を一部開示することで、話が進みやすくなることもあります。

仮に訴訟となった場合には、裁判官に有利な心証を持ってもらうために、証拠が重要となります。

あとで証拠として使えるように、交際相手とのやりとりなどを確保・保存しておきましょう。

戦略5:代替案を提示し、合意点を探る

不倫慰謝料の減額交渉においては、減額を求めるだけではなく、代替案などを提示することで、合意点を見つけやすくなることがあります。

例えば、慰謝料を減額してもらう代わりに、交際相手に接触しないことを約束する、求償権を放棄する、分割払いに応じてもらう代わりに公正証書作成に応じる、などの提案が考えられます。

相手方にメリットを感じてもらうことで、減額実現のうえ合意に達する可能性が高まります。

戦略 詳細 期待できる効果
冷静かつ誠実な態度 感情的な言動を避けて相手方の言い分を丁寧に聞きつつも、主張すべきところは主張する 建設的な話し合いが可能かどうか、判断できる
即答しない 相手方の提案は、必ず持ち帰って検討してから回答する 不利な内容を約束してしまう事態を避ける
弁護士への相談・依頼 専門家のアドバイスを受け、交渉を代行してもらう 精神的負担の軽減、裁判を駆使した減額の実現
証拠を確保 交際相手とのやりとりなどを保存しておく 交渉、訴訟の中で有利に活用しうる
代替案の提示 減額してもらう代わりに、例えば接触禁止や求償権放棄を提案 減額合意の可能性が高まる

不倫慰謝料の減額交渉を有利に進める証拠とは?|証拠の集め方と使い方

不倫慰謝料の減額交渉を成功させるためには、客観的な証拠がもしあれば有益なものとなります。

証拠は、裁判ではあなたの主張を裏付けるものとして、強力な武器となります。

ここでは、減額交渉で有効な証拠の種類、その集め方、そして効果的な使い方について解説します。

不倫慰謝料減額交渉で有効な証拠の種類

不倫慰謝料の減額交渉において有効となる証拠は、主に以下の3つのカテゴリに分類できます。

  1. 婚姻関係に関する証拠
  2. 不倫行為の内容等に関する証拠
  3. 支払い能力に関する証拠

それぞれのカテゴリについて、具体的な証拠の例を挙げてみました。

証拠の種類 詳細 有効な理由
婚姻関係に関する証拠
  • ・離婚協議の記録、離婚協議書
  • ・トラブルを示す夫婦間のメールやSNSのやり取り
  • ・住民票
①不倫以前の破綻を示すことで、慰謝料発生を否定できます。

②離婚時に交際相手が慰謝料を支払っていれば、減額理由になります。

③発覚後も破綻していない・同居継続を示すことで、減額理由になります。

不倫行為の内容等に関する証拠
  • ・不倫期間の短さ
  • ・不貞回数の少なさ
  • ・交際相手との接触頻度の低さ
  • ・関係解消済を示す記録
  • ・交際相手が独身だと偽っていたことを示すやりとり
①不倫行為の悪質性が低いと示すことで、慰謝料減額の理由になります。

②既婚者と知らなかったことの過失がないと示すことで、慰謝料発生を否定できます。

支払い能力に関する証拠
  • ・収入を証明する書類(源泉徴収票、給与明細など)
  • ・預貯金残高証明書
  • ・借入状況を示す書類
  • ・生活状況を説明する資料(家計簿など)
現在の経済状況を客観的かつ正直に示すことで、慰謝料を確実に支払う意思が相手方に伝わったり、相手方が譲歩を示してきたりする可能性はあります(ただしあまり期待しないほうがよいです)。

強制執行のハードルを下げてしまう可能性もあり、慎重な検討が必要です。

有利な証拠を集めるための具体的な方法

減額交渉を有利に進めるためには、上記の証拠をできるだけ多く、かつ正確に集められれば、有益なものになります。

集めたら、その証拠がどういう意味を持つのかについてもまとめておきます。

集める具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。

 

①関連書類等の洗い出しと整理: まずは交際相手とやりとりしてきた内容を保存・整理しましょう。手元にあり入手しやすく、不倫行為の内容等の証拠になりますし、婚姻関係に関する証拠にもなりえます。メール、メッセージ、手紙、日記、写真などが考えられます。

 

②記憶の記録: 過去の出来事を詳細に記録しておきましょう。いつ、どこで、誰と、何があったのか、できるだけ具体的に記録することが重要です。日記やメモを活用するのも有効です。

 

③交際相手など第三者の協力: 交際相手自身のほか、同僚、親族など、状況を知っている人から協力を得ることも有効です。特に、夫婦関係の状況・離婚協議に関する証拠や、不倫行為の経緯についての証言などが考えられます。

 

④弁護士への相談: 弁護士に相談し、証拠収集のアドバイスを受けるのも有効です。あなたの状況を踏まえ、どのような証拠が有効か、どのように集めればよいか等についてアドバイスをしてくれます。

 

もっとも実際には、交渉では、手の内を明かさないように証拠を出さないケースもよくあります。

訴訟では、相手方と争っている点については、あなたの主張を裏付ける証拠を提出し立証することが重要になります。

訴訟になった場合を想定して、交渉段階から証拠を集めておくことが重要です。

集めた証拠を効果的に使うためのポイント

苦労して集めた証拠があっても、使い方を間違えると効果を発揮できません。

ここでは、集めた証拠を効果的に使うためのポイントを解説します。

 

①証拠の重要性、価値を理解する: どの証拠が、あなたの主張をどのように、どこまで裏付けることができるのかを整理・理解しましょう。証拠の重要性やその価値を理解することで、訴訟でどれだけ立証できそうかという見通しを持つことができますし、その裏付けを持ったうえで交渉にあたることができます。

 

②提示するタイミング: 交渉で証拠を提示することは少ないですが、提示するほうが効果的なこともあります。話し合いの経緯、争点、相手方の反応や訴訟の見込みなどを冷静に分析・把握したうえで、交渉で提示すべきかどうかを検討します。

 

③弁護士に相談する: 証拠の分析、提示方法について、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、法的な知識と経験に基づいて、あなたの状況に最適なアドバイスをしてくれます。

証拠がない場合

証拠がない場合も、実際にはよくあります。

例えば交際相手から「不倫が発覚した、やりとりを全て消してほしい」と言われ、消してしまって復元できないような場合です。

交際相手と相手方が婚姻関係を継続するような場合には、これから交際相手から証拠をもらおうとしてもあまり期待できないでしょう。

 

もっとも、交渉で証拠を出さないことはよくあり、証拠がなくても減額交渉は十分可能で、訴訟ではあなたの証言も証拠となってきます。

減額交渉は、証拠がなくても十分可能ですが、証拠があればプラスになります。

この記事で解説した内容を参考に、有利な証拠を集め、効果的に活用し、慰謝料の減額を成功させましょう。

示談書作成の注意点|不倫慰謝料減額を確実に合意するための条項例

慰謝料の減額交渉がまとまったら、必ず「示談書」(合意書)を作成して取り交わしましょう。

示談書は、当事者間の合意内容を明確にし、将来的な紛争を未然に防ぐための重要な書類です。

ここでは、慰謝料減額を確実に合意するための示談書作成における注意点と、盛り込むべき条項例について解説します。

示談書に盛り込むべき必須条項

示談書に盛り込む項目はいろいろありますが、慰謝料を請求された側としては、最低限以下の項目については必ず盛り込みましょう。

条項 内容 記載例
慰謝料の金額 合意した慰謝料の金額を明確に記載します。 乙は甲に対し、本件不貞行為に対する慰謝料として、金〇〇万円の支払義務があることを認める。
支払い方法 慰謝料の支払い方法(一括払い、分割払いなど)、支払期限、振込先などを具体的に記載します。振込手数料は、支払側負担が一般的です。 乙は甲に対し、上記慰謝料を〇年〇月〇日までに、甲の指定する銀行口座(〇〇銀行〇〇支店 口座番号:〇〇 口座名義:〇〇)に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
清算条項 一切の債権債務が清算されたことを確認する条項です。この示談書に書いてあること以外に言い分はないという意味になります。 甲及び乙は、本示談書に定めるもののほか何らの債権債務がないことを相互に確認する。
日付・署名捺印 示談書作成日を記載し、当事者双方が署名捺印します。 〇年〇月〇日
甲:〇〇 ㊞
乙:〇〇 ㊞

これらの必須条項を漏れなく記載することで、「約束した金額の慰謝料を支払えば全て解決」ということになるので、あなたにとっての示談書の有効性を高めることができます。

その他の条項例

そのほか示談書に記載される主な事項としては、不貞期間、相手方に対する謝罪文言、示談成立後の誓約事項などがあります。

誓約事項に違反した場合の違約金が定められることもありますし、分割払いの場合は、期限の利益喪失条項や遅延損害金に関する条項が記載されることが通常です。

基本的には、これらは、相手方(不倫慰謝料を請求する側)の利益のために設けられる条項です。

 

謝罪文言: 「乙は、甲に対し、本件不貞行為について深く謝罪する。」

示談成立後の誓約事項: 「乙は、甲に対し、丙と再度不貞しないことを誓約する。」

違約金: 「乙が前項に違反したときは、乙は、甲に対し、違約金100万円を支払う。」

期限の利益喪失条項&遅延損害金: 「乙が前項の分割金の支払を2回分以上怠ったときは当然に期限の利益を失い、期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで年○パーセントの割合による遅延損害金を支払う。」

 

これら以外の内容も、双方が合意するならば、示談書に記載することは可能です。

もちろん、記載する意味や実益があるのか、記載による不利益がないのかどうか等は、検討が必要です。

弁護士なしで不倫慰謝料の減額交渉は可能?|メリット・デメリットと注意点

不倫の慰謝料を請求された場合、多くの方がまず考えるのは「弁護士に依頼すべきかどうか」ではないでしょうか。

弁護士に依頼すれば安心ですが、費用も気になります。

ここでは、弁護士なしで慰謝料減額交渉を行うことのメリット・デメリット、注意点、そして弁護士に依頼すべきケースについて解説します。

弁護士なしで交渉するメリット・デメリット

弁護士に依頼せずに慰謝料減額交渉を行うことには、メリットとデメリットが存在します。それぞれを理解した上で、ご自身の状況に合った判断をすることが大切です。

メリット デメリット
費用を抑えられる 不利な状況に陥る可能性がある
内密に処理できる可能性がある 精神的な負担が大きい
相手方と直接コミュニケーションを取れる 交渉が長期化したり解決を見ない可能性がある

・費用を抑えられる: 弁護士に依頼すると、着手金や報酬金などの費用が発生します。弁護士なしであれば、これらの費用を抑えることができます。

・内密に処理できる可能性がある: 不倫の経緯などプライベートな事柄の詳細を弁護士に説明する必要はありませんし、うまくいけば、減額交渉で自分だけで内密に解決できる可能性があります。

・相手方と直接コミュニケーションを取れる: あなた自身で相手方の感情や意向を直接確認しながら交渉を進めることができるので、その点をメリットに感じる人も居るかも知れません。もっとも、この点は、デメリットと捉える人のほうが多いかもしれません。

 

・不利な状況に陥る可能性がある: 不倫をした負い目から相手方の要求を断りきれない、家族や職場にばらすといわれて要求に応じさせられる、ということはよくあります。本来なら減額したりもっと有利に解決できたりするのに、内密に処理しようと思って不利な状況に陥ることも、しばしばあります。

・精神的な負担が大きい: あなたは不倫をした加害者側ですので、相手方との直接交渉は、どうしても精神的な負担が大きくなります。相手方が感情的になっていることも多く、大きなストレスを感じることが多いです。

・交渉が長期化したり解決を見ない可能性がある: 交渉の中であなたがどれだけ誠実に対応しても、相手方が納得せず解決に向かわないこともあります。延々交渉しているのに明確な解決が実現しない、相手方から次々要求が出てきてゴールが見えない、という状況に陥る可能性があります。そのような場合、債務不存在確認訴訟の提起も一つの方法ですが、弁護士に依頼せず進めるのは困難です。

弁護士なしで交渉する場合の注意点

弁護士なしで慰謝料減額交渉を行う場合、以下の点に注意する必要があります。

 

・感情的にならず冷静に対応する: 相手方が感情的になっていても、あなたのほうは冷静かつ誠実な態度で臨むこと、要求を唯々諾々と受け入れないことが重要です。

・法的根拠に基づいた主張をする: 慰謝料の減額を求める理由を、具体的な事実と法的根拠を踏まえつつ主張しましょう。

・合意必須と思わない: 「示談合意しなければならない」と焦ると、不利な内容に応じてしまう結果になりがちです。

・証拠を揃える: もし客観的な証拠があれば訴訟で提出できますし、そのことは交渉においても有利に働いてきます。

・示談書を作成する: 交渉がまとまったら、必ず示談書を作成して取り交わし、合意内容を明確にしておく必要があります。

 

このように、慰謝料減額交渉をする際には注意しなくてはならない点が複数存在するため、それぞれについて確認しておきましょう。

弁護士に依頼すべきケースとは?

特に以下のようなケースでは、弁護士に依頼することを検討すべきでしょう。

 

・相手方の弁護士から連絡が来ている場合: 自分で交渉しても訴訟提起を示唆されて失敗することが非常に多いですし、相手方弁護士の作成する示談書の内容をきちんとチェックしたり修正交渉したりすることも重要ですので、弁護士に依頼すべきです。

・慰謝料の請求額が高額である場合: 相手方の怒りがそれだけ強く請求意思が固いことを示しており、あなた自身で交渉しても難航が予想されます。

・相手方から呼び出されている場合: 弁護士に依頼することで、呼び出しに応じる必要はなくなりますし、不利な内容に約束させられる事態を防ぐこともできます。

・相手方が感情的で交渉困難な場合: あなたが交渉しても相手方の感情を収めたいばかりに不利な約束を強いられる可能性がありますし、弁護士に依頼すると相手方も依頼して、弁護士間で交渉が進むことも期待できます。

・交際再開の場合: 「一旦不倫が発覚し、謝罪して事なきを得たが再度交際してしまった」というような場合、あなた自身で交渉しようとしても、交渉実行にあたり必要な最低限の信頼関係構築も困難なことが多いです。

・相手方からの連絡に対応できない場合: 弁護士に依頼すれば、相手方からの連絡は弁護士に入りますので、心理的・時間的負担などを軽減することができます。

・不倫の事実がない等、慰謝料不発生を主張する場合:請求自体に正当性がない場合は、毅然とした対応をすることが重要ですし、あなたが慰謝料支払義務無しを主張しても相手方が「証拠はある、逃げるのか」などといって更なる行動に出てくることも予想されますので、弁護士に依頼すべきです。

 

弁護士に依頼することで、あなた自身で相手方に対応する必要がなくなるうえ、有利な結果に繋がる可能性が高まります。ご自身の状況を考慮し、弁護士への依頼を検討しましょう。

 

(その他、不倫慰謝料を請求された側が弁護士に依頼するメリットはこちら)

 

不倫慰謝料減額交渉のプロが教える!よくある質問と対策

Q: 相手が感情的で話を聞いてくれない場合は?

不倫慰謝料を請求してきた相手方が感情的になっており、話を聞いてくれないということはよくあります。謝罪の言葉すら受け入れてくれないこともあります。

このような状態が続く場合、弁護士に依頼することで、冷静な話し合いができる可能性があります。相手方も弁護士に依頼して、弁護士同士での話が進むこともよくあります。

なお、あなたがどれだけ誠実に対応していても、相手方が話を聞いてくれない、話がまとまる気配がないということならば、それ以上の交渉は無意味です。交渉を終了させ、あとは相手方の出方を待つことになりますが、「相手方が訴えてきたらその裁判の中で戦う」ほか「相手方に対して債務不存在確認訴訟を提起する」といった方法もあります。

 

(参照:債務不存在確認訴訟についてはこちら

Q: 減額に応じてもらえない場合は?

減額交渉が難航する場合、慰謝料(損害賠償請求権)の成立を疑わせる事情、あるいは減額につながる事情を具体的に指摘するなどして、再度交渉を試みましょう。例えば「不貞行為や交際はなかった」「交際相手から既婚と打ち明けられたのは○○ころなのでそれ以前については慰謝料は発生しない」といったような事情を主張したうえ、誠意をもって交渉に臨むことが重要です。

それでも交渉がまとまらない場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。裁判になった場合のメリット・デメリットや今後の対応方法なども含めて、総合的なアドバイスを受けることができます。

弁護士に依頼すれば、相手方も弁護士をつけてきて交渉が進むことがありますし、訴訟で決着をつける選択肢も出てきます。さらに場合によっては、相手方が弁護士に依頼せず請求が中断・保留となり、そのまま時効を迎える可能性も出てきます。

Q: 不倫慰謝料の相場が分からず、交渉が進められない場合は?

不倫慰謝料の相場は、「離婚・婚姻破綻がない場合:数十万円~100万円程度、ある場合:200~300万円程度」です。もっとも、個別の状況によって大きく変動するため、一概にいくらとは言えません。

相手方に「これが相場だ」と言ったとしても、それで相手方が納得するとは限りません。あなたのやるべきことは、どのような事情が減額材料になるのかを把握したうえで、自分に有利になる事情や証拠を集めておくことです。

なお、相場よりも高い額であったとしても、あなたが合意すればその額を支払う義務が生じてきます。そのような合意をしてしまう不安を無くすためには、弁護士に依頼して対応すべきです。

Q: 不倫慰謝料減額交渉の期間はどれくらい?

おおむね2~6ヶ月程度ですが、相手方の態度や弁護士の有無などによって変わってきます。

相手方が離婚しない場合は比較的早期に解決できることが多いですが、離婚方向の場合、相手方が離婚問題に決着をつけてから協議したいと希望してきて、なかなか進まないこともあります。

あなたが弁護士に依頼すると、弁護士とのすり合わせが必要となるため時間がかかる側面もありますが、逆に、弁護士が相手方と無駄な交渉をしないため時間節約につながる側面もあります。「示談のまとまる兆しが見えないまま、相手方からの無理な要求が続き、その対応で精神的に疲弊してしまう」といった事態は避けられます。

Q: 慰謝料減額交渉を自分でやるリスクは?

最大のリスクは、不利になりがちな点です。不倫の負い目があるためどうしても心情的に要求を拒否しづらいですし、相手方から家族や勤務先に不倫をばらすことを示唆されてしまうと、要求に応じてでも何とか内密に処理したい、という気持ちになってしまいがちです。

穏便に交渉をまとめたつもりでも、示談書を取り交わしてくれなかったり示談書の内容に問題があったりして、後日紛争になることもあります。

なお、相手方の要求を完全拒否したり無視したりしていると、相手方が弁護士をつけてきたり訴えてきたりする可能性が高くなりますので、完全拒否等していればそれで済むというわけではありません。

Q: ぶっちゃけ、弁護士に依頼するかどうかの基準は?

大まかにいえば、請求額が相場より高額な場合、相手方から連絡を受ける精神的負担が大きい場合、自分で対応できない場合(訴えられたときを含む)などは、依頼するメリットを感じやすい傾向にあろうかとは思われます。依頼すると着手金などの費用が掛かってきますので、請求額が小さいとしり込みしてしまうかもしれません。

当事務所では、経済的メリットの点もさることながら、連絡が来るのが苦痛で何とかしてほしい、きちんと決着をつけて終わらせたい、ということで依頼頂く方が多いです。

「少額だし自分で対応できそう」という場合であっても、後日の紛争を防ぐべくきちんとした示談書を交わす必要もありますし、依頼するメリットはあります。

Q: 減額材料が何もなさそうな場合は?

減額材料が本当に何もなさそうだとしても、相手方の請求額がそのまま裁判所で認められるかは全く別問題ですので、減額交渉を試みる意味は十分あります。相手方のほうも紛争の長期化や、弁護士への依頼、訴訟提起の手間・費用などを懸念して、譲歩してくる可能性もあるからです。

交渉の結果、仮に「請求額からの減額一切なし」で終わらせるとしても、その慰謝料を支払えば本当に解決となるように示談書を取り交わしたり、その前提として、後々問題にならないよう示談書の内容を精査したりする必要があります。

減額材料がなさそうだからといって請求額をそのまま受諾するのではなく、できるだけ減額させたうえで適切な内容の示談書を締結し、きちんと事件を解決させるために、交渉をしていくべきです。

 

(その他、不倫慰謝料を請求された側のよくあるご質問はこちら)

 

まとめ|不倫慰謝料減額は戦略次第で可能!まずは弁護士へ相談を

不倫慰謝料の減額は、決して不可能ではありません。本記事で解説した戦略を理解し、冷静かつ誠実な態度で交渉に臨むことで、減額の可能性を高めることができます。減額につながる有利な事情を把握し、証拠を集め、話し合いがまとまれば示談書(合意書)作成へと進むことになります。

 

しかし、不倫慰謝料の減額交渉をあなた自身で行うというのは、不倫をしてしまった負い目があったり、家族に発覚したくない気持ちに付け込まれたりして、困難を伴うことが実際には少なくありません。不利な約束をしてしまうこともあります。そのため、相手方から不倫慰謝料の請求を受けた時点で、弁護士に相談することを強くお勧めします。

 

もし、不倫慰謝料の減額でお悩みでしたら、まずは当事務所へご相談ください。当事務所ではこれまで不倫慰謝料問題を数多く手がけており、請求する側の対応も予測しながら進めることが可能です。経験豊富な弁護士が、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、減額交渉を有利に進めるためのサポートをいたします。

初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。下記メールフォーム、またはお電話にてご連絡をお待ちしております。

(監修:弁護士橋本俊之)

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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不倫で慰謝料請求されたら、どうしたらいい?

1 はじめに 不倫や不貞行為がバレて、交際相手の配偶者から慰謝料を請求されたとき、どうしたらよいのでしょうか?   この記事では,不倫・不貞行為の慰謝料を「請求された側」の適切な対処法や予備知識を弁護士が解説していきます。   (注)「交際相手」=不倫関係を持った相手,「相手方」=慰謝料を請求してきた人(=交際相手の配偶者)のことを指して・・・

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不倫がバレて住所を教えろと言われたら?

はじめに 「不倫がバレて住所を教えろと言われています。教えないといけませんか?」 結論から言うと、相手方に住所を教える義務はありません。 しかし、住所を教えずにいればそれで済む、とは限りません。住所を教えるのも教えないのも、メリット・デメリットの両方があります。 もしあなたが弁護士に依頼すれば、相手方に住所を教えることなく解決できることもあります。 以下、細・・・

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不倫慰謝料はどれくらい請求されるの?

はじめに 不倫がバレると、慰謝料を請求されるかもしれません。 そのことは、多くの方がご存じかと思います。 それでは、実際にどれくらいの額が請求されているのでしょうか?   実際には、300~500万円ほどが多く見受けられます。 場合によっては、100万円以下の額を請求されることもありますし、1000万円近くのこともあります。   「請求さ・・・

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