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慰謝料コラム

職場でのダブル不倫・w不倫が急増!慰謝料請求されてから解決まで弁護士が解説

職場でのダブル不倫・w不倫の実態と慰謝料請求のリスク

職場でのダブル不倫(w不倫)は、近年急速に増加している社会問題の一つです。その理由としては、共働きがごく一般的になってきたことも挙げられるでしょう。職場で長時間を共にする同僚や上司との関係が、いつの間にか深くなり、お互いに既婚者でありながら浮気関係に発展してしまうケースがしばしば見受けられます。
 
当事務所での相談実績を見ると、職場におけるダブル不倫案件は、決して少なくありません。要素が片方だけの案件(職場不倫、ダブル不倫)はもともと多いですが、特に最近の職場環境の変化等により、両方の要素が揃っているケースも目立つようになってきています。双方夫婦(4人)が同じ会社に勤めている、というケースもあります。
 
職場での不倫は、一般的な不倫とは異なる特徴があります。まず、毎日顔を合わせる相手との関係であるため、関係が始まりやすく、また終わりにくいという特徴があります。社内での人間関係が複雑に絡み合い、単純に別れることができない状況に陥りがちです。さらに、関係清算済みであると信じてもらうことが難しく、関係再開や再度の不貞を疑われがちである、異動退職を要求される可能性も高い、という特徴があります。
 
ダブル不倫の場合、不倫した二人ともが既婚者であるため、不倫の被害者が二人存在することになります。ダブル不倫ではない場合、例えば既婚男性と独身女性との不倫であれば被害者は妻一人だけですが、それとは異なってきます。ダブル不倫の慰謝料問題を複雑・困難にしている要因の一つはこの点にあり、それぞれの婚姻関係の今後の方向性がどうなるか、配偶者(=被害者)の婚姻関係の意向なども事実上影響してきます。
 
職場でのダブル不倫が始まったきっかけとしては、当事務所の相談内容を分析すると、職場の懇親会や飲み会を通じて親しくなった、共同でプロジェクトを進める中で個人的関係が深まっていった、というものが多いです。お酒が入ると、セックスレスや家庭内で会話がないことなど夫婦関係の赤裸々な不満が話題に上りやすいですし、残業や出張など、通常の勤務時間を超えて一緒に時間を過ごすうちにプライベートな話題が増え、お互いの家庭の悩みを相談し合うようになったりもするようです。
 
「仕事の悩みを聞いてくれる」「私の話を聞いてくれる」といった思いが、いつの間にか「異性として深く分かり合えそう」という感情に変わっていきます。配偶者には理解してもらえない気持ちをこの人なら理解してくれる、夫婦関係で悩んでいるのは私だけではない、同じ悩みを共有している、といった思いから、心理的な距離が縮まってしまうようです。既婚者同士だからこそお互いの状況を理解し合える、という錯覚に陥りやすいのも特徴です。
 
そのようにして始まった不倫関係が、いずれかの配偶者に発覚してしまうと、二人の関係を解消する方向になることがほとんどでしょう。ところが先に述べたとおり、関係再開の疑念を持たれがちであったり異動退職を求められたりする可能性があるうえ、双方の夫婦関係の方向性等に注意しながら進める必要が出てきたりする点などで、通常の場合よりもリスクが高くなってきます。考慮すべき要素が多く複雑であるため、解決に向けた進め方が難しくなることも多いです。

職場でのダブル不倫・w不倫がバレやすい理由と注意点

職場でのダブル不倫がバレる理由について、当事務所の相談実績を分析すると、職場で発覚してそのことが配偶者の耳に入ってしまったというパターンよりも、配偶者に自宅での態度や帰りが遅いこと等を怪しまれて発覚してしまったというパターンのほうが、圧倒的に多いです。職場でのダブル不倫の特別な発覚パターンは後に見ていきますが、それが顕著に多いという印象まではありません。
 
バレるきっかけとして実際上最も多いのは、不倫当事者(あなたと交際相手)が、配偶者にLINEやメールを見られるケースです。配偶者としては、費用を掛けずに容易に調べることができる代表的手段だからです。
 
この点、職場不倫のケースについてもし違いがあるとすれば、社用携帯や会社のメールアドレスなどのやり取りを見られてしまうケースがある、という点でしょう。ただ、社用携帯や会社のメールアドレスでのやりとりが証拠として使われる(提出されてくる)ことは、実際にはそれほど多くない印象です。その理由としては、これらを私用で使うことが問題になったり会社に内容をチェックされたりする可能性が懸念されることから、そうしたやりとりをそもそも避けている(私物携帯などでやりとりしている)、ということが考えられます。
 
職場不倫のほうが、職場の人の目があることによって、関係が発覚する可能性が相対的に高くなる可能性はあります。以前と比べて頻繁に話すようになった、一緒に残業することが増えた、休憩時間を合わせるようになったなど、些細な変化から疑われてしまったり噂されたりすることもあるでしょう。そのため、職場でのダブル不倫については、特別な発覚パターンがあります。
 
具体例としては、例えば、①A夫婦とB夫婦が全員同じ会社で働いていた→A夫とB妻の仲が職場で噂になって不倫が発覚した、②A夫妻とB妻は同じ職場であった→A妻が結婚退職した→同僚が不倫を見かねてA妻に密告した、というようなケースです。このように、職場を介することでダブル不倫の発覚可能性が高くなってしまう場合もあるということは、注意すべきでしょう。
 
職場で不倫関係がバレたとしても、不倫慰謝料問題に発展するかどうかは別問題です。「職場で関係がバレてしまったが、交際相手の配偶者に知られることはなかった」ということで、不倫慰謝料を請求されないこともありえます。ただし、不倫慰謝料請求権が時効となるためには、交際相手の配偶者が不貞を知ってから3年あるいは不貞から20年が必要です。そのため、「今のところ請求されていない」からといって安心するのは早計です。
 
ダブル不倫であることのリスクの一つとして、交際相手の配偶者が不倫の事実を知り、そのことをあなたの配偶者に教えてしまう可能性があることにも、注意が必要です。交際相手の配偶者は、あなたの配偶者と同様に不倫の被害者の立場にあります。そのため、あなたの配偶者にシンパシーを感じ、そのような行動をしてくることがあります。
 
職場でのダブル不倫の場合、会社や上司等との関係で不倫がどのように問題になってくるのか、という点も気になるポイントでしょう。これについては、後述します。

職場でのダブル不倫・w不倫の慰謝料請求とその特徴

職場でのダブル不倫における慰謝料額について、実務経験から言えることは、職場不倫であるからといって、あるいはダブル不倫であるからといって、そのことだけが理由で特別に高額になるということはほぼない、ということです。慰謝料額を左右する重要な要素の一つは、離婚(婚姻破綻)の有無です。もし離婚・破綻が無ければある程度の金額に留まる可能性が高く、離婚まで実際に至った場合はそれ相応の金額になる可能性が高いという、一般的な不倫と同様の基準が適用されます。
 
しかし、事件を解決していくにあたって、職場不倫であることによって、あるいはダブル不倫であることによって、特有の複雑さが出てきます。職場不倫という点からは、関係再開を疑われたり異動退職を要求されたりしがちである点で問題になりがちです。ダブル不倫であるという点からは、二つの慰謝料請求が逆方向で重なり合っている点で複雑になりがちです。
 
例えば、「A夫婦とB夫婦がいる。A夫とB妻が同じ職場で不倫関係にある」とします。
 
A夫がB夫から(B妻がA妻から)退職、異動、接触禁止や違約金を求められることは、しばしばあります。多くの場合退職までは受け容れがたいでしょうが、接触禁止や違約金を一切断るというのは心情的にしづらいことも多いでしょう。かといってこれらの条項を設けたばかりに後日紛争となってしまうと意味がありませんし、どう対応すべきかやっかいな問題になります。
 
A夫がB夫から慰謝料請求を受けたとして、A夫としては、妻に不倫の事実を知られずに解決することを希望することがあります。しかし、妻が事実を知ってしまい、B妻への慰謝料請求を行う可能性もあります。妻がB妻へ請求したところ、B夫から双方慰謝料ゼロを提案されたが、妻はそれに納得してくれない、というような状況になることもありますし、いろいろ検討すべきことが出てきます。
 
不倫慰謝料を請求する立場(A妻・B夫)からいえば、自分が請求することだけを考えていればよいわけではなく、逆に自分の配偶者が請求される可能性も考慮しなければなりません。これが、慰謝料を請求する人にとってのダブル不倫特有の面倒な部分であり、慎重に考慮する必要があります。
 
慰謝料の相場について考えると、一般的な不倫と同程度で、性的関係がある場合は50万円から300万円程度が目安となります。ただし、これは離婚・婚姻破綻の有無、婚姻期間、不倫期間、不貞回数、頻度などによって、大きく変動します。上述のとおり、職場不倫であるとかダブル不倫であるからといって特別に高くなるということはないのが実情です。
 
重要度の高い順に見ると、慰謝料額を左右する要素として最も重要なのは、やはり離婚・婚姻破綻に至ったかどうかです。不貞発覚後も同居を継続している場合と離婚した場合では、慰謝料額に大きな違いが生まれます。慰謝料を支払う人が女性であるから金額が低くなるとか、男性であるから高くなるというようなことはなく、この点は同様に扱われます。
 
こうしたこととは別の問題として、ダブル不倫においては、双方夫婦の婚姻関係の方向性が異なることから慰謝料額に差が出てくる可能性はあります。例えば「A夫妻は離婚しない→A妻がB妻から得る慰謝料は相対的に低額に留まる、B夫妻は離婚する→B夫がA夫から得る慰謝料は相対的に高額になる」という可能性はありえます。婚姻破綻の有無の違いが、慰謝料額に反映してくるわけです。
 
もっとも、これらは裁判で解決する場合のおおまかな目安です。話し合いでの解決となる場合には、当事者の意向等も絡んでくることになります。極端な例を挙げれば、「デートはしたが肉体関係は1回もない。婚姻破綻もない。ただ、どうしても訴えられたくない」「何が何でもすぐ示談したい」といった理由で、高額の慰謝料を支払う内容で示談せざるを得ないという場合なども、想定できなくはありません。

職場でのダブル不倫・w不倫で会社から受ける処分のリスク

「職場でのダブル不倫で、会社から懲戒処分を受けるのだろうか」という質問を受けることがあります。当事務所の経験上では、実際に処分を受けたというケースは、ほとんど聞いたことはありません。これは主に二つの理由が考えられます。
 
職場でのダブル不倫の場合、不倫慰謝料を請求する立場(A妻・B夫)からすると、「請求相手だけならともかく、自分の配偶者まで懲戒処分を受けてしまうのでは困る」といった懸念を有しているのではないかと考えられます。その点も踏まえれば、殊更会社に不倫のことを通告される、その結果処分がなされるという可能性は、それほど高いわけではないように思われます。
 
もし人事権者にまで不倫関係がバレたとしても、会社の懲戒処分は、客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当であると認められない場合は無効とされています(労働契約法15条)。この点、企業秩序に悪影響を与えたとか業務の正常な運営を阻害したような場合には、処分が有効とされることもありえます(処分内容等にもよります)。ただ当事務所の経験上では、会社が「プライベートな問題なので関知しない。当事者間で解決すべき」という姿勢を取ることも実際には多いようです。
 
なお、職場での不倫が問題になった場合、会社から処分を受けなくても、自主的退職を選択する人も散見されます。バレたことで職場に居づらいとか、関係をきっぱり清算したいといった理由によるものです。あなた自身の意思でそのように決断したのであれば問題はありませんが、慰謝料を請求してきた人が「自主的退職」を要求してきたからといって、それに応じる義務はありません。
 
当事務所で扱った事例では、職場不倫が発覚して慰謝料を請求され、相手方に弁護士がついたあとも退職を強く要求され続けたケースがありました。最終的には判決となり、金銭による解決となりました。少なくとも現在の民法上では、不倫・不貞(不法行為)の責任は金銭支払(損害賠償)という形で取ることとされていますので、退職を強いられることはありません。

職場でのダブル不倫・w不倫の当事者の心理と考えておくべきこと

職場でのダブル不倫に陥る当事者としては、交際相手の配偶者から不倫慰謝料を請求されるリスク以外にも、いくつか考えておかないといけないことがあります。

自分の婚姻関係や家庭生活を損なってしまう可能性

あなたの配偶者に発覚して、離婚問題に発展したり離婚慰謝料を請求されたりする可能性があります。そこまで行かなくても、夫婦関係が不和となり、家庭内の居心地が非常に悪くなることもあります。もっともこうしたことは、浮気した配偶者にとっての共通の問題です(職場でのダブル不倫に限ったことではありません)。

職場を巻き込んだり会社生活を損なったりする可能性

職場の同僚などにバレていないとしても、あなたや交際相手の配偶者が不倫のことを知って、そのことで職場(上司)に相談するということが、あり得ないわけではありません。その後会社から処分まで受けるかどうかは別にしても、職場を巻き込み迷惑を掛けてしまう可能性もあります。今の仕事を続けてキャリアを積みたくても、それが事実上叶わなくなってしまうかもしれません。
 
職場でのダブル不倫が職場や会社に発覚して、事実上職場に居づらくなることがあります。不倫交際中に積もり積もった罪悪感から、発覚後は「あの人と一緒の職場で働くのも嫌」という気持ちに転じてしまうこともあります。すなわち、職場での人間関係という外的環境だけのことではなく、自分の中で仕事を続ける意欲を失ってしまうこともあります。

「お互い既婚者だから安全」という誤解

ダブル不倫の当事者には、「お互い既婚者だから結婚を求められることがない」「秘密を共有しているから安全」と認識している人もいます。しかし実際は、交際相手が「早く離婚して自分と一緒になってほしい」と詰め寄ってきたり、不倫の事実を自らあなたの配偶者にバラして離婚を進めさせようとしてきたりすることもあります。お互い既婚者だからというだけで安全だと考えるのは、危険な錯覚です。

慰謝料請求された後の関係性

例えば、不倫慰謝料を請求された平社員の女性が、「社長(男性)から迫られて、私の立場ではとても抵抗できなかった。従属的立場だった」といった主張をするケースがあります。そのような主張をしたことが交際相手である社長に伝わると気まずかったり反論されたりするかもしれませんが、かといって、女性としては拒めなかったという気持ちが実際あるにもかかわらず、主張せずにおくのも抵抗があるでしょう。慰謝料請求された後に展開する主張の内容によっては、交際相手との関係性がギクシャクしたり、そのことで会社に居づらくなったりするかもしれません。

職場でのダブル不倫・w不倫における慰謝料請求への対応

慰謝料請求を受けた場合の対応について、最も重要なことは「弁護士をつけて争う」ということです。
 
慰謝料請求をしてきた側だけに弁護士がついている、という場合だと、あなたとしては、ある意味「されるがまま」の状況になってしまいます。
 
300万円の請求に対して、あなた自が「20万円なら」と言ったとしても、弁護士がついていると「それではとても依頼者が納得しないです。裁判所に行って裁判官に判断してもらいましょう」という話になりやすくなります。あなたが自分で毎月、平日日中に裁判所に出頭すること自体が現実的ではないうえ、言い分を法的に構成して裁判官に伝えることは容易ではありません。「やはり訴えないでください(取り下げてください)、300万円に近い額でも構いませんから」といったような結果になることが多いのです。
 
職場でのダブル不倫の案件について、当事務所の実際の解決実績を見ると、適正な慰謝料額での和解を実現できています。例えば、250万円の請求を120万円で解決、500万円の請求を50万円で解決、300万円の請求を90万円で解決、300万円の請求を150万円で解決、といった実績があります。これらの事例についてはすべて示談により解決しており、依頼者の負担を大幅に軽減することができました。
 
双方で金額に開きがあり示談で解決できない場合でも、裁判官から適正な額での和解を勧めてもらうことによって、話し合いで解決できる可能性が出てきます。また、どうしても話し合いがまとまらない場合でも、裁判官に適正な額の判決を書いてもらうことで、合理的な内容で事件を解決させることができます。
 
このように適正な慰謝料額での解決を実現するためには、場合によっては訴訟という手段を通じてでも減額を試みることが重要ですので、専門家である弁護士の力を借りることが不可欠です。お金を支払う前に、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
 
慰謝料請求への対応で重要なのは、感情に流されず、冷静に対応することです。交際相手の配偶者から厳しい言葉を浴びせて心が折れそうでも、あなた自身がいくら不倫を反省しているとしても、「言い値で払います」といった態度を取ったり安易に書面にサインしたりすることは避けるべきです。当事務所では、慰謝料1000万円という記載がある書面にサインしてしまった事件の依頼を受けたこともありますが、このような書面にサインしてしまうと、サインしていない場合に比べて不利になってきます。
 
慰謝料以外の請求(求償権放棄、接触禁止や違約金など)の内容についても、妥当なものなのかどうかをしっかりと検討する必要があります。相手方が感情的になって法外な金額等を請求してくることもしばしばありますが、それに応じる義務はありません。弁護士と相談して、適正な範囲での解決を目指すことが重要です。
 
ダブル不倫であっても、もしあなたの配偶者に慰謝料請求するつもりが無いのであれば、通常の不倫と同様に考えれば良いでしょう。しかし請求する場合には、先に述べたように検討すべき点が増えてきます。あなたの状況に応じて、最適な解決方法を考えていく必要があります。

職場でのダブル不倫・w不倫が発覚した後の適切な対応

職場でのダブル不倫が発覚した場合の初動対応について、注意すべき点を挙げます。

配偶者による職場への乗り込みリスク

あなたや交際相手の配偶者が、二人は同じ職場であると知っていることも多いでしょう。自ら会社に乗り込んできて一騒動となることもあります。もっとも、弁護士に依頼して誠実に話し合うつもりがあることを伝えれば、そのような行動を実行してくることはほぼありません。

会社へ乗り込まれた場合の対応

もし本当に会社に押しかけてきた場合、業務妨害にも該当しうるわけですから、その旨を会社から説明してもらい、事態を沈静化させることが考えられます。もちろん、社外においてきちんと話し合う意思がある、ということを伝えましょう。

呼び出しには応じない

慰謝料を請求する側・される側双方とも弁護士がついていない場合によくあることですが、「不倫について話がしたい」と呼び出されることがあります。あなたがこれに応じて出向いてしまうと、ほとんどの場合、不利な内容の書面にサインさせられる結果となります。このような場合、「出向くことはできない。しかし話し合いを進めたいので弁護士に依頼した」という対応を取ることが適切です。

関係清算に伴う対応等

発覚後の対応として、ほとんどの場合は「二人の関係を清算する」という選択をすることになるでしょうが、あなたや交際相手の配偶者に、関係が終わったことを信じてもらえない可能性があります。二人が同じ職場で働き続ける場合、いくらプライベートでの接触を避けるよう努力していたとしても、「本当は関係が続いているのではないか」と疑われてしまうこともあります。法的には「不法行為に該当する行為がなければ損害賠償義務は発生しない」ということにはなりますが、事実上疑われ続けてしまうこともありうるでしょう。
 
発覚後に証拠を隠蔽しようとする人も居るようですが、これは避けるべきです。後で説明しますが、隠蔽しようとする証拠というのは多くの場合交際相手とのやり取りでしょうし、これを消すことによって、自分に不利な状況を招く可能性があります。
 
あなたの夫婦関係・家庭での対応も重要な要素です。誠実に向き合い、今後の関係について真剣に考えていく必要があります。

証拠隠滅を図ることの危険性と早期相談の重要性

不倫が発覚したと知って、証拠隠滅、特にメッセージやLINEなどを消すことがありますが、これは適切ではありませんしリスクの高い行為です。

自分に有利な証拠も失うリスク

LINEなどを全部消してしまうと、不倫交際の経緯を立証する有力な材料を失うことになってしまいます。不倫交際といっても、例えば「独身だと偽られていた、既婚者であると知らなかった」とか「関係に応じなければ不利益があると匂わされた」といった事情が存在する場合もあります。しかし、こうした自分に有利な事実を立証する手段を失ってしまいます。

早期相談の重要性

相談を後回しにして自分で対応すると、往々にして不利な状況に追い込まれてしまいます。実際に当事務所で扱った事例では、交際相手の配偶者に呼び出され、1000万円とか500万円とかいった大きな額を払う約束にサインさせられた、というケースが複数あります。その後で相手方と交渉するにしても、「自分でサインしたことも守らないのか」などと反発を受けることは珍しくありません。
 
逆に、対応せず無視を続けると、話し合いの機会を逸してしまいます。無視していて訴状が送られてきた、というケースも当事務所で扱ったことがあります。相手方から「不誠実だ」という主張が出てきて、和解の機運が遠のくこともあります。
 
相談が遅れると、サインした書面が存在する状態で減額交渉するしかない、訴えられたので裁判に対応するしかない、ということになりがちです。早期に相談すれば、これからどう対応すべきかという点で、自由度が大きくなってきます。したがって、慰謝料請求を受けたらその段階で、早期に弁護士に相談することが適切です。

職場でのダブル不倫・w不倫における示談交渉の特徴

職場でのダブル不倫における示談交渉でよく問題になってくるのは、以下のような点です。

継続的な接触への懸念

今後も同じ職場で働き続ける方向性の場合、交際相手の配偶者に「結局また関係を持ってしまうのではないか」と疑われてしまうことも多いです。「言葉だけではなく態度(示談内容)で示してほしい」「本当に関係を持たないなら、巨額の違約金を設けても実害はないはずだ」といった要求をされることもしばしばです。あなたとしては、このような要求に応じるのか否か、応じるとしてもどの程度までなら問題ないのかを検討する必要がありますが、いずれにせよ、示談成立に向けての一つの障害になってくる可能性が高いです。

転職や異動、接触禁止の要求

このような懸念から、示談の条件として転職や部署異動を求められることも多いです。あなたにはそうした要求に応じる義務はありませんが、他方で、そのような約束無しに示談できないと言っている人(交際相手の配偶者)に対して、示談を強いることもできません。転職、異動を伴わない接触禁止の内容で示談することも考えられますが、そのような内容で示談する義務は、どちらにもありません。

「業務上の必要性がない限り、接触しない」といったような内容で、示談が成立することもあります。しかし、現実に仕事上で密接に関わっているような場合などには「そのような約束には実効性がない」と懸念され、話がまとまらないことがあります。「接触禁止の内容を縮小するなら慰謝料額を増額してほしい」と要求されることもありえます。

違約金の内容

「違反一回ごとに100万円」「再度不貞したら一回ごとに500万円」というように、約束違反をした場合には違約金を払う、という約束を求められることも多いです。「二度と関係を持たないのなら、金額がいくらだろうと約束できるはずだ。約束できないというのは関係を持つということだろう」と圧迫されることも、よくあります。どういう状況で約束違反が発生するのかがあいまいであったり、違約金の額が不相当に高額であったりすることはしばしばありますので、約束前に慎重に検討することが必要です。

四者ゼロ和解

「A夫もB妻も慰謝料を支払わない。その内容で、四人(A夫婦&B夫婦)で示談する」ということを指しています。もっとも、当然ながら、そのような示談が成立するためには四人が合意する必要があります。実際にはその合意は難しいため、「A夫がB夫から請求された事件と、B妻がA妻から請求された事件は、別個に解決される可能性が高い」と認識しておくべきです。

職場でのダブル不倫・w不倫に関する弁護士への相談の重要性

職場でのダブル不倫についての慰謝料問題は、法的な専門知識なしに解決することは困難です。当事務所では、以下のようなサポートを提供しています。

初回無料相談

不倫慰謝料を請求された方からのご相談は、初回30分無料(原則)で承っています。現在の状況を詳しくお聞きし、今後想定されるリスクと対応策をご説明します。

適正な慰謝料額での交渉

これまでの取り扱い経験や裁判例などに基づき、相場に見合った適正な金額での示談を目指します。感情的になった相手方から法外な金額を請求されるケースも多いですが、適正な内容で解決するためには法的解決も辞さないという方向性で対応すれば、減額できることも多いです。

ご希望を踏まえた解決方向と秘密保持

「最優先は、職場でのダブル不倫を配偶者に知られないこと」「できるだけ減額してほしい」「絶対に退職には応じたくない」「とにかく早く解決したい」・・・等々。様々なご希望を踏まえて解決に向けた道筋を立てていきます。もちろん相談内容は厳格に秘密保持し、職場や家庭に影響が出ないよう最大限配慮します。

まとめ

職場でのダブル不倫・w不倫で慰謝料を請求された場合、一般的な不倫に輪を掛けて複雑になってきます。慰謝料額自体は一般的な不倫の場合と大きく変わりませんが、勤務継続に対する強い懸念から話し合いがまとまりづらいことや、あなたの配偶者が慰謝料を請求するかどうかによってあなたの方に事実上影響が出てくる可能性もあります。このように、解決に向けて進めていくにあたって障害となる要因が多くなってきます。
 
特に重要なのは、早期に弁護士に相談することです。呼び出されて法外な約束にサインしてしまうケースや、無理な約束をしてしまって違約金を請求されてしまうケースは後を絶ちませんが、弁護士に相談していれば避けられた事態です。自分で内密に処理しようと思う気持ちが先走って、早期かつ有利に解決できる可能性を自ら狭めてしまうのです。
こうした失敗を避けるためには、慰謝料請求を受けた段階で、速やかに弁護士に相談することが不可欠です。一人で悩まず、まずは無料の範囲でのご相談は如何でしょうか。あなたのご希望も踏まえた最適な解決策をご提案いたします。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

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