不倫の求償権請求をするorされたときには弁護士をつけたほうがいいの? | 慰謝料請求に強い弁護士

  • 0358354050受付時間 平日9:00~20:00
  • お問い合わせ
新型コロナウイルス対策オンライン面談・電話相談 実施中

慰謝料コラム

不倫の求償権請求をするorされたときには弁護士をつけたほうがいいの?

求償で弁護士を入れるべき?

 

目次

はじめに

ABが夫婦で、Bの不貞相手がCだとします。

不倫慰謝料をAがCに請求し、その問題は決着がつきました。

その後でCがBに請求するのが、求償権の請求です。

求償権の請求は、不倫慰謝料を最終的にどちらがどれだけ負担するかという問題です。言ってみれば不倫交際の後始末の問題です。

求償権請求の問題については、弁護士をつけずにCB二人が話し合ってある意味円満に解決していることが、実際は非常に多いものと推察されます。

しかし場合によっては、弁護士をつけたほうが良いこともありえます。

今回は、不倫の求償権について説明し、求償権請求で弁護士をつけたほうが良い場合について解説します。

不倫の求償権って?

求償権とは

求償権というのは、立て替えた分を払えという権利のことです。

不貞(不倫)は二人でしたことです。なのに、CだけがAに不倫慰謝料を払わされて終わりというのでは不公平です。Cの払った不倫慰謝料に、Bを立替えた分が含まれているのであれば、立替分の精算が認められるべきです。

不倫の求償権というのは、CがBに対して、「自分の払った不倫慰謝料にはBを立替えた分が含まれているので精算してほしい」と請求する権利のことです。

(備考)「BがAに慰謝料を支払って、その後にCに対して求償請求をする」というケースもありえます。本稿では単純化のため「Cが払ってBに求償請求する」という場面を想定します。

(備考2)民法改正による影響が出てきうるところですが、改正前の最高裁判例の立場に沿って説明しています。この立場の背景には、加害者BC間の負担の公平よりも被害者Aの保護を優先すべきだという考え方があると言われています。

関連記事 求償権とは

立替分と責任割合

責任割合というのは、「不倫(不貞)について、BCどちらがどれだけ悪いか」という割合のことです。「BCどちらも等しい責任がある」という状況なら、責任割合は50%ずつです。

「不倫慰謝料は200万円である。Cの責任割合は50%である。CはAに不倫慰謝料を200万円支払った」という場合を考えてみましょう。

Cは不倫について50%の責任しかないのですから、支払った200万円のうち100万円は自分の責任の分ですが、残り100万円はBの分を立替えたものです。

自分の責任割合50%(100万円)を超える100万円は立替えたものだから精算して欲しい、とBに求償請求できることになります。

求償請求と反論

もっとも、①不倫慰謝料の額について、Bが「200万円という額は妥当ではない」と争ってくる可能性があります。不倫慰謝料が200万円と決まったのは、あくまでAC間での話だからです(Bが訴訟告知を受けてCが敗訴判決を受けた場合は別ですが)。

②仮にBが不倫慰謝料の額を争わないとしても、責任割合についてCと認識が食い違うかもしれません。

求償請求でBCが争っていく場面では、たとえば次のように主張を交わすことになると思われます。

C「Aに不倫慰謝料を200万円支払った。私の責任割合は高くても20%だ。160万円は立替えたものだから支払え」

B「200万円と決まったことに自分は関知していないし、仮に200万円だとしても責任割合はせいぜい50%ずつだ」

関連記事 不倫慰謝料請求と訴訟告知

求償請求の多くは穏便に解決?

求償請求でBCが争っていくケースよりは、既に述べたように、穏便に決着するケースのほうが実際上多いようには思われます。

たとえば「AC間で決まった不倫慰謝料200万円を、等分して負担しよう」というような場合も多いようです。

あるいは、AC間で決まった不倫慰謝料額を最終的にBが全て負担するという場合もありうるでしょう。

CがAに200万円を払った後で、BがCに200万円を払うということです。

どういう内容にせよ、不倫慰謝料の内部負担をどうするかについてCB間で話をして、双方が納得する形で落ち着きそうなら、わざわざ弁護士を入れる必要まではあまりないでしょう。

求償権放棄について

CがAに、Bに対する求償権を放棄すると約束することがあります。

求償権放棄をする主な動機は、CにとってはAに支払う不倫慰謝料を減額するため、AにとってはCからのBへの接触を許さないため、です。

当然ながら、CがAとの約束で求償権を放棄している場合、Bに求償権請求をすることはできません。

もし「求償権を放棄したのにBに請求した」ということがAに露見したら、Aとの間でも再度紛争になりかねません。

不倫の求償権請求で弁護士をつける場合

上記のように、求償権請求では、弁護士を入れる必要までないことが多いでしょう。

ところが、弁護士をつけて求償権を請求する場合、あるいは弁護士から求償権を請求されている場合、というのも実際にはあります。

求償権請求にどうして弁護士を入れるのか?

それは端的にいえば、「円満決着が見込めなさそうだ」とCBどちらか(あるいは双方)が判断したからでしょう。

以下、請求する側C/請求された側Bの各視点から考えてみます。

不倫の求償権を請求する側C

求償権請求に応じてこなさそうな場合

求償権請求をしてもBが応じてこないとか、応じてこなさそうなこともあります。

「Bは、不倫がバレて給料振込口座をAに管理されるようになったので、すぐに動かせるお金がないらしい。私自身で求償権請求をしても『お金がない』の一点張りではぐらかされそう」

というような場合が考えられます。

金額や責任割合について言い分がある場合

「求償権請求に応じないとは言わないが、自分の知らないところで決まった200万円を当然の前提として請求されても困る」

「50%なら認めるが、それを超えるなら払わない」

Bが求償権請求に対してある程度支払意思を示しているとしても、このように金額や責任割合で折り合わないこともあるでしょう。

たとえば、関係解消を巡ってCB間で温度差があったような場合が考えられます。

不倫慰謝料の額や責任割合・交際経緯等で言い分に差があって話がまとまらない場合、そのままでは、CはBから金銭(立替え分)を回収することができません。妥協していくらかでも回収するのも一つの方法ですが、もし自分の言い分を撤回せず回収していきたいのなら、弁護士への依頼を検討することになります。

自分でBに接触するつもりはないとAに示せる

求償権請求を弁護士に依頼するメリットの1つに、自分でBに接触するつもりはない、とAに示せることがあります。

特にAとの話し合いでBに接触するなと強く要求されていた場合、求償権請求のためとはいえ、自分でBに接触するのは憚られるかもしれません。弁護士をつければ、関係継続のために接触しているわけではない、ということを明らかにすることができます。

求償権請求に弁護士を付けることでAから疑念を持たれるのを回避したうえで、動かせるお金がないなどというBの言い逃れを許さず(=任意に支払わないなら訴訟提起や将来的な給与差押えも辞さない)、責任割合などについての自分の主張を展開していくことができることになります。

不倫の求償権を請求された側B

「求償権請求されるかもしれない」←??

「Cから今後もし求償権を請求されたら自分はいくら払わないといけないのですか?」

と言う人も居ますが、それは先走りしすぎです。

もしかしたらCは、Aに対して求償権放棄を約束しており、請求してこないかもしれません。

求償権放棄を約束していなかったとしても、求償権という権利を行使するかどうかはCの自由です。

「Aへの支払完了で、不倫のことはもう全て終わったことにしよう」という気持ちにCはなっていて、求償権請求を実行しないかもしれません。

Bとしては、Cから求償権請求を実際に受けてかつ話がまとまらなさそうな段階に至って初めて、どうすべきか検討すればよいのです。Cがまだ何も言ってきていないのに一人で焦っていても、意味がありません。

弁護士から請求された場合

Cが弁護士を付けてきたということをどう捉えるべきでしょうか?

求償権請求を当事者同士で穏便に話し合えない、自らの言い分を主張したい、とCが考えたからだと捉えておくべきです。

自分で接触するつもりがないと示すというたったそれだけの理由で、Cが自分で費用を掛けて弁護士を入れてくることはまずないでしょう。あえて弁護士を入れてきたからには、それを超える動機がある、と考えておくのが無難です。

もしかしたらCには、金銭的なこと以上に、交際からAとの不倫慰謝料事件解決に至るまでの経緯において、Bをどうしても許せないなどと思うことがあったのかもしれません。そのことを、求償権請求の場面で持ち出したいのかもしれません(責任割合についての争いとして表面化することになります)。

「求償権の金額はさほどじゃないから裁判までしてこないだろう」

そのようにBが甘く見ていると、本当に訴えられて、交際経緯においてBの悪質性が高かったからCの責任割合は低いなどと主張されたり、証拠を色々提出されたりするかもしれません。

もし弁護士から求償権請求を受けたのなら、Cの行動はかなりの覚悟を持ってのことであろうと推察されます。Bとしては自分で話をするより、弁護士を入れて対応すべきです。

「弁護士を入れると敵対的だと受け取られるのでは?」

そういう心配はありません。

むしろ弁護士同士で話を進めることにより、理性的に交渉ができ、合理的ラインで合意がまとまるかもしれません。

まとめ

求償権は、立替えた分を払えという権利です。

不倫慰謝料はBC二人で背負っているものなので、CがBの分を立替えて支払っている場合には、CはBに求償権請求をすることができます。求償権請求は、事実上、CB間で円満に話し合って解決していることが多いのではないかと思われます。

求償権請求で弁護士を入れることもあります。

Cとしては、円満決着が見込めない場合等は、弁護士を入れるのを検討することになります。とはいっても、経済的合理性の観点等から、弁護士を入れずに済ませることも少なくはないと推察されます。

Bとしては、Cが弁護士を付けて求償権請求してきた場合、特にきちんと対応する必要があります。交際経緯について色々な言い分を申し述べたい、場合によってはその正当性を裁判所で争いたいといったように、金銭的なことを超える強い意思をCが持っている可能性があるからです。むやみに自分で対応するより、弁護士を入れて対応すべきでしょう。

このコラムの監修者

  • 橋本 俊之
  • 秋葉原よすが法律事務所

    橋本 俊之弁護士東京弁護士会

    法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。

その他のコラム

  • 不倫慰謝料を請求された

不倫を会社・職場にバラすと脅迫されたらどうすればいい?

はじめに 不倫を会社・職場にバラすと相手方(=交際相手の配偶者)から言われることは、決して珍しくはありません。 二人が今も同じ職場だとか上司部下や同僚同士の関係にあるという場合に、しばしば問題になります。 相手方の言葉は「慰謝料1000万円を支払え。嫌なら職場や家族にバラす」といった直接的な(脅迫めいた)言い方かもしれませんし、あるいは「今後このような関係に・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で慰謝料請求されたら、どうしたらいい?

1 はじめに   不倫や不貞行為がバレて、交際相手の配偶者から慰謝料を請求されたとき、どうしたらよいのでしょうか? この記事では,不倫・不貞行為の慰謝料を「請求された側」の適切な対処法や予備知識を弁護士が解説していきます。 (注)「交際相手」=不倫関係を持った相手,「相手方」=慰謝料を請求してきた人(=交際相手の配偶者)のことを指しています。 2 ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫がバレて住所を教えろと言われたら?

はじめに 「不倫がバレて住所を教えろと言われています。教えないといけませんか?」 結論から言うと、相手方に住所を教える義務はありません。 しかし、住所を教えずにいればそれで済む、とは限りません。住所を教えるのも教えないのも、メリット・デメリットの両方があります。 もしあなたが弁護士に依頼すれば、相手方に住所を教えることなく解決できることもあります。 以下、細・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求したい

風俗嬢に不倫慰謝料を請求できるの?

はじめに 夫のお気に入りの風俗嬢に不倫慰謝料を請求することはできるのでしょうか? 「単に客から指名されたのでサービスを提供しただけだ」 風俗嬢の立場から言えば、そのようにもいえそうです。 裁判例でも、店内での肉体関係について、不倫慰謝料は発生しないとしたものがあります。 もっとも中には、風俗嬢が店外で夫と不貞関係を持っているというケースもしばしば見受けられま・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

示談書なく口約束で不倫慰謝料を支払って大丈夫?

示談書を作らず口約束で済ませると、後で争いが生じたりする可能性があるため望ましくありません。交渉結果をきちんと示談書にまとめてから支払うべきです。

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で略奪して同棲中。慰謝料請求されたらどうなる?

はじめに 不倫で略奪というと穏やかではありませんが、不倫関係を続けるうち、交際相手が配偶者と別居して、あなたのもとに転がり込んできて同棲中、というようなケースも少なくはありません。 その後、交際相手の配偶者(=相手方)から不倫慰謝料を請求された場合、どうなるのでしょうか? 結論を先取りして述べれば、関係解消済みの場合に比べれば不倫慰謝料額が上がってしまう可能・・・

詳しく見る
  • その他

不倫慰謝料の示談書(請求側・される側双方の視点から)

はじめに 不倫慰謝料問題について話し合って示談することになったら、双方で約束したことを書面にまとめることになります(示談書)。 示談書は示談の証として作成するものですが、その内容や作成経緯によっては、後になって有効性が争いになることもありえます。 はじめに示談書について簡単に説明します。 その後、不倫慰謝料を請求された側/請求する側それぞれの視点から、どのよ・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫慰謝料はどれくらい請求されるの?

はじめに 不倫がバレると、慰謝料を請求されるかもしれません。 そのことは、多くの方がご存じかと思います。 それでは、実際にどれくらいの額が請求されているのでしょうか? 実際には、300~500万円ほどが多く見受けられます。 場合によっては、100万円以下の額を請求されることもありますし、1000万円近くのこともあります。 「請求されている額(=請求額)」は、・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

「交際相手にも求償放棄してもらいたい」と要求できる?

求償放棄とは 不倫慰謝料を、交際相手の妻(=相手方)から請求されたとします。 そして、交際相手に対する求償権の放棄も要求されたとします。 ここでもし、あなたが次の内容で相手方と約束したとします。 「相手方に不倫慰謝料100万円を支払う。求償権を放棄する」 この場合あなたは、その100万円について、交際相手に対し請求することができなくなります。 不倫慰謝料10・・・

詳しく見る
  • 不倫慰謝料を請求された

不倫で妊娠。どうする?慰謝料請求されたらどうなるの?

はじめに 不倫と一言でいっても、実際には色々な交際の形があります。 一夜限り、セフレ関係、結婚(再婚)前提のお付き合い、すでに同棲中、…etc。 いずれにせよ、不倫であなたの妊娠が発覚したなら、今後のことを真剣に考えて対処する必要があります。 今回は、不倫で交際相手の子を妊娠するとどういう問題が出てくるのか、交際相手の妻(=相手方)から請求される不倫慰謝料は・・・

詳しく見る
離婚のご相談 Consultation
03-5835-4050