このコラムの監修者

-
秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
慰謝料コラム
不倫問題を当事者間で解決する際に、双方の一致点などを記した書面をやり取りすることがあります。
※当事者:不倫をした人(加害者)と、配偶者に浮気された人(被害者)のことです。
そのような書面で用いられるタイトル・表題としては、示談書、合意書、和解書、覚書、誓約書、念書、といったものが多いかと思われます。
タイトル・表題が何かにこだわるのではなく、「書面の内容は何か、どういう役割・意味があるのか」という実質面をきちんと理解しておくことが重要です。
不倫問題を巡る双方の一致点というのは、当事者間で何らかの約束をした、事実や認識の確認をした、といったようなことです。
たとえば、約束でいうと「慰謝料●円を払います」「もう二度と関係を持ちません」といったものがありますし、事実や認識の確認でいうと「不貞期間は令和7年1月から4月まででした」「既婚者だと最初から知っていました」といったものが典型です。
これらを書面の形にしておくことで、内容を明確にしておき、約束を守らせたり誤解や言い逃れを防いだりすることに役立ちます。
書面の内容として、当事者双方の約束等が含まれる場合があります。
この場合、示談書、合意書、和解書、覚書といったタイトルを用いることが多く、当事者双方が署名押印して一部ずつ取り交わす形になります。
「被害者だけが所持していて、不倫した人は所持していない」というケースもしばしば見られますが、後で内容が分からなくなっては意味がありませんから、双方で持っておくべきものです。
清算条項が設けられていない場合もしばしば見られますが、「この書面で最終的に解決する」という趣旨からすれば、それは適切ではありません。
書面の内容として、不倫した人が一方的に反省や再発防止などを誓うことがあり、たとえば「申し訳ありませんでした。二度と関係を持たないと誓約します」「慰謝料を支払います」といった内容の書面を被害者に差し入れることがあります。
この場合、誓約書、念書といったタイトルを用いることが多く、不倫した人だけが署名押印する形になります。
「不倫した側が一方的に差し入れて被害者が所持しており、不倫した側の手元には何もない」というケースも多いようですが、被害者としても、不倫した人に誓約内容を認識しておいてもらわないと困るのですから、写しを交付するなどの方策をとるべきでしょう。
特に不倫した人の立場からいうと、記載されるのはあくまで自分の約束等だけで被害者のものは記載されませんので、「この誓約を果たせば全て終わりだ」という保証がなく(書面になっておらず)、したがって必ずしもきちんとした解決をもたらすものではないという点には、注意が必要です。
「被害者のほうでインターネット上のテンプレート等を拾ってきてこれらの書面を作成する」という形も多いようですが、テンプレートや被害者の作成したものを鵜呑みにせず、具体的な事情や当事者間の合意内容を丁寧に反映させることが大切です。
被害者の立場からいうと、約束させたい内容や認めさせたい内容などに漏れがあったりすると困りますし、書面が意図する内容になっているかどうか、きちんと確認が必要です。
不倫した人の立場からいうと、被害者が書面の内容修正や取り交わしに応じてくれない場合も多いうえ、「そもそもその書面を作成しても完全な解決の保証はない」という場合もよくあるため、本来は弁護士に依頼して進めるほうが無難です。
当事者双方で作成する(サインする)書面もあれば、不倫した側だけが作成する書類もあります。
「タイトルは示談書となっているが、不倫した人が一方的に誓ったうえサインしているだけで、実質的には誓約書である」というケースもありますし、その逆のケースもありえますので、記載されている実質的な内容のほうに着目すべきです。
被害者としては「その書面で何をしたいのか、何を獲得したいのか」を考えて、その内容に落とし込むことになります。
不倫した人としては「その書面で何をさせられるのか、何を失うのか」を考えて、内容修正を交渉するなどしていくことになります。
どちらにせよ、書面を作るのは内容をはっきりさせておくためですから、「それを作ることによって何を明確にできるのか/何が明確にされてしまうのか」逆にいうと「何を明確にできないのか/何を明確にされずにすむのか」ということを、事前に慎重に検討しておく必要があります。
このコラムの監修者

秋葉原よすが法律事務所
橋本 俊之弁護士東京弁護士会
法学部卒業後は一般企業で経理や人事の仕事をしていたが、顔の見えるお客様相手の仕事をしたい,独立して自分で経営をしたいという思いから弁護士の道を目指すことになった。不倫慰謝料問題と借金問題に特に注力しており,いずれも多数の解決実績がある。誰にでも分かるように状況をシンプルに整理してなるべく簡単な言葉で説明することを心がけている。
不倫・浮気の慰謝料請求の時効(はじめに) 不倫・浮気の慰謝料請求には一定の期限があります。 期限を過ぎて消滅時効が成立すると、慰謝料を請求する権利は消滅します。 ごく簡潔にいうと、以下のとおりです。 ※ 本コラムの記事は慰謝料を請求する方向けに書かれていますが、請求を受けた側にとっても、時効が成立しているかどうかを確認するための法的基準は同じで・・・
【はじめに】不倫の誓約書を守らなかった…違約金、家族への通告等を防ぐために 「不倫が発覚して、誓約書(念書)でもう二度と会わないと約束したのに、破ってしまった…」 「交際相手から連絡が来て、またやりとりをしてしまった…」 相手方から突きつけられた高額な違約金(違反金)や、法的措置という言葉に絶望していませんか? 率直にいって、誓約書(念書)を作・・・
遠方の裁判所から不倫慰謝料の訴状が届いたら 不倫慰謝料を請求する訴状が届いた。しかも、自分の住んでいる地域とは違う遠方の裁判所からだった。このような場合、多くの方が「どうしたらいいのか分からない」と強い不安を感じることでしょう。 ここでは、不倫慰謝料を請求された側(被告)であるあなたが、遠方の裁判所から訴状を受け取ったときにどう対応すべきかを解説していきます・・・
貞操権侵害の慰謝料と相場は? 貞操権とは、一言でいうと「性的関係を持つか持たないかを決める権利」「性的なことがらについての自己決定権」です。 (民法で定義があるわけではありません) 貞操権侵害で慰謝料が認められるのは、「既婚者なのに独身だと騙されて肉体関係を持ち、結婚前提で交際していた」という場合が典型です。 貞操権侵害の慰謝料の・・・
はじめに 「会社を辞めろ。今後一切夫に関わるな」というように、相手方(=交際相手の妻)から、強く退職を要求されることがあります。 交際相手が同じ職場の上司だったとか同僚同士の不倫の場合には、しばしば問題になることです。 会社を辞めろと言われても、当然ながらそう簡単に辞められるわけではありません。 とはいえ「ただでさえ不倫がバレて激高されているのに、要求を断っ・・・
不倫で誓約書・念書を求められたら、書かされたら?(はじめに) 不倫が交際相手の配偶者(=以下、「相手方」と表記)にバレてしまって、話し合いたいと相手方から呼び出されることがあります。 話し合いは、相手方と交際相手とあなたの3人ですることもあれば、相手方とあなたの2人だけのこともあるでしょう。 不倫について話し合う中で、「誓約書」や「念書」にサインを要求される・・・
はじめに 「不倫慰謝料200万円を払え、今後一切夫と連絡するな」という要求をされているその最中に、当の夫(=あなたの交際相手)から連絡が入ることもあります。 相手方(=交際相手の妻)から連絡するなと言われているのに、連絡を取ってしまっても大丈夫なのでしょうか? そもそも何の用事で連絡してきたの? 交際相手からの連絡といっても、その内容はさまざまです。 「妻が・・・
はじめに 「今回の不倫については慰謝料50万円で手打ちにするが、二度と不倫しないように違約金を約束させたい」 「今は慰謝料ゼロでいい。ただし今度不倫したらペナルティを与えたい」 このようなご希望をいただくことがあります。 離婚せずに配偶者とやり直す選択をされた方にとっては、不倫相手に近づかせないのが再優先だからです。 違約金がペナルティの典型で・・・
はじめに 「肉体関係はないから、不倫慰謝料(不貞慰謝料)を払う義務もないですよね?」 そのようなご質問を受けることがあります。 確かに、不倫慰謝料を支払わなくてはいけない典型的なケースは肉体関係がある場合です。 しかし、「肉体関係がなければ慰謝料を支払う義務はない」とは限りません。 婚姻関係を破綻に至らせるような接触→慰謝料の可能性 不倫慰謝料請求は、民法の・・・